二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナクロ〜なくしたくない物〜3000越え ( No.232 )
日時: 2013/02/18 19:53
名前: 柳 ゆいら ◆JTf3oV3WRc (ID: UNL2z9Yl)

3話   「セカンドステージチルドレン」



話がぶっ飛びジャンプしてるんだが……まず、ひとつずつ説明するな。


1.暗黒の騎士(?)役だった、レイ・ルクひきいるチームに、雷門組は打ち勝った

2.その試合中、天馬はアーサー王と、菜花は、元おどおりになったマスタードラゴンとミキシマックスを果たした

3.そんななか、俺と相崎は、オダブツになるかならないかで、賭けをしていた(ちなみに、俺はオダブツしないほうに賭けてた)……って、どうでもいいな

4.レイ・ルクたちに勝った天馬たちは、アーサー王とともに、洞くつを出ようとしている

5.俺と相崎は、そのうしろについていっている(といっても、すこしはなれた道のほうから、コソコソとな)


「なあ、相崎ー。」
「んだよ、しずかにしろ。」
「俺と相崎ってさ、この世界にいる意味、なんかあるわけ?」
「知らん。おれにきくな。」
「なんだよ、ったく。」
「こたえる理由ねーしな。」

相崎は、そっけなくこたえる。ったく、つれねーの。
それにしても、自分のセリフ、ぜんぶ文字数そろってるって、気づいてるのかな……。わらえる。

「ん? お、おい、あれ、なんだよ……?」
「へ?」

相崎のさす先を見ると、そこには、なんと、チロチロと赤い舌を出したり引っ込めたりしている、ヘビ! しかも——!

「なんだ、このサイズッ。」

そう。もう大蛇よりもデカいんじゃないかと思うくらいの、巨大サイズ! おまけにその目は、俺と相崎を、まっすぐ見つめているうえ、その目は、獲物をねらうひとみ。
巨大ヘビは、巻いていたからだをゆっくりとほどいていく。俺と相崎は、まるで金縛りにあったかのように、恐怖を感じて動けない。

「な、な……!」
「ちょっ、こ、この状況って……!」

食われる。
そういおうとしたとき、巨大ヘビが、シャーッと声をあげて、俺と相崎に、牙をむけた!

「うわあぁっ。」
「くっ。」

俺は思わず目をつぶり、歯を食いしばった。
もうやられた——……。
でも、いつまでたっても、いたみもなにも感じない。そのうえ、上のほうで、ききたくもない「キエッ、キエーッ」という声をあげているものがあった。

「え……?」

俺と相崎は、ゆっくりと目をあけた。そこには、信じられない光景が、ふたりの目のまえにあった。
ふたりがいたみもなにも感じていなかったのは、なぜか、緑色の光をはなつ、透明なかべのようなもので、ドーム状につつまれていたから。巨大ヘビは、そのかべがジャマして、ふたつの獲物にありつけていない。

「い、いったい、どうなっているんだ……?」

相崎が、うめき声をあげた。

「わ、わからな……。」
「ッッ! おい、月流、それ……?」
「へ……?」

相崎にいわれて、右手を見た。俺はその手を見て、きょうがくする。
なぜか……なぜか、緑色に光っていたんだ。このドーム状のシールドから放たれた光が、手にあたって反射しているんじゃないかと、一瞬は思った。でも、相崎の手は光っていないし、その手は、反射しているにしては、強い光を放っている。
もしかして、このシールドをつくりだしていたのは、俺——……?

シャー……

巨大ヘビはあきらめたらしく、長いからだを引きずりながら、闇のなかへ消えていった。
俺と相崎は、緑のドームのなかで、沈黙する。

「……なあ。」

その沈黙をやぶったのは、相崎だった。

「おまえさ……もしかして、セカンドステージチルドレンなんじゃないのか?」
「えっ……。」

俺は、思わずあとずさった。それと同時に、緑のドームも、糸がほどけるように、消えてしまう。

「わかんねーけど……。セカンドステージチルドレンじゃねーと、できないんじゃないのか、そんなこと。」
「そ、それは……。」

自分の右手を見つめてみる。
べつに、異常なところなんて、ひとつもない。ただひとつ、おかしいのは、すこし色がうすれているということだけ。《半個半幽》だからだ。

「まあ、気にしちゃいないけどな。ほら、天馬さんたち見失っちゃうから、いこうぜ。」

相崎は、そういって、先に歩きだした。
その声で、俺はやっとハッとして、相崎のあとにつづいた。

「なんなんだよ、これ……。わかんねえのか、アクア?」

俺がいっても、アクアからの返事はない。

(あれ? ねてる……のか?)

俺はひとり、小首をかしげて、出口に向かった。