PR
二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: イナクロ〜なくしたくない物〜6000越え!? ( No.313 )
- 日時: 2013/11/04 20:32
- 名前: 柳 ゆいら ◆JTf3oV3WRc (ID: J69v0mbP)
☆番外編☆第十四話 「髪」
風花が教室に入ると、案の定、冷たいものが降ってきた。
風花は一ヶ月のおきまりのパターンに、すっかり慣れてしまった。
あいかわらず、みんなは風花をあざわらっている。
「いい気味ね♪ でも、なーんか最近、ものたりないのよねえ。」
(これ以上、なにを求めようっていうの……。)
「だぁかぁらぁ……、風花ちゃん、髪長くて邪魔そうだし、切ってあげようかなって。」
「え!?」
風花は、いつもとちがうパターンに、思わずしりぞく。
風花が髪をのばしている理由は、ただひとつ。両親を失った妹・友撫のためだ。風花は、髪の長い友撫の母に、少しでも似せるため、髪をのばしている。
友撫が少しでも、母親のことを、思うように鳴ってもらいたくて。
なのに、これではその努力もすべて、水の泡だ。
「い、いやッ。」
「むだよ。逃げられないもん♪ みんな!」
女子の数名が風花にかけより、ガシッと風花の腕をつかみ、身動きができぬようにした。
風花の顔が、恐怖の色に染まる。
はさみを右手に持つ女子が近づくにつれ、風花の恐怖はふくらんでいく。
目の前に連れて来られた風花を見て、はさみを持った女子はにやりとほほえみ、
「覚悟してね♪」
といって、はさみを髪に近づける。
「や……!」
風花の口からぽろりと、そんなことばがもれ、ほおに涙が伝った。
「いや—————————ッ!」
ザクッ……
パラリ、パラリ……
「あはは! 最高のカッコね!」
解放された風花は力が抜け、その場につぶれた。
足下には、耳元までに切られた水色の髪が、大量に落ちていた。
PR