二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: D.gray-man -天空の鏡- ( No.9 )
- 日時: 2012/07/09 21:58
- 名前: ラン (ID: qs8LIt7f)
第二夢 -それが役目-
さっきの壁の染みは、アクマだった。アクマが壁と合体していただけだった。推測だが、この壁はアクマの仕業。アクマを倒せば、壁は壊れ、村人だけでなく...アクマも助けられる。
「今回お前いらねーからな」
「駄目だよ!私だってやりたい!」
「いいから黙って見てろ。さっきの壁でさえ危なかったろ」
「...それは」
「イノセンス発動」
カナタはふところから数枚のふちなしの、長方形の鏡を取り出した。トランプを並べるかのように宙に並べ、呟く。
「さぁ始まりだ。迷路にようこそ」
そう呟いた途端、一枚一枚の鏡が巨大化し、密室を作った。中にはアクマが数体写る。でも本当は一体だけだった。一枚の鏡がアクマを写し、また一枚の鏡がアクマを写す。
こうすると、アクマは混乱する。前後左右上下...何処に行っても、顔があり、顔がある。行こうとしても、何かにぶつかって行けない。そんな恐怖を抱えつつ、アクマは思う。部屋が小さくなってると。
鏡は段々小さくなり、直にアクマが入りきらない大きさになる。アクマは鏡の部屋に潰され、破壊される。
「...終わった」
壁がどんどん消えていく。村人は涙を流しながらそれを黙っていた。太陽が沈む。その前に太陽は、村人の涙を輝かせた。カナタも鏡を戻し、太陽を見つめた。そして、ハルナも。
「本当にありがとうございました!なんとお礼したらいいか...」
「お礼なんていいですよ。このくらい」
二人は家を出ようとし、扉に手を掛けて言った。
「それが...俺達の役目なので」
「...?」
カナタが笑うと同時に、村人全員が頭にハテナマークを浮かべた。そんな事は無視して、二人は家に帰っていく。自分達の新しいホームへ。
「あ〜...久しぶりに帰るな」
「だね。一ヶ月、任務終わったらそのまま任務行ってたもんね」
「ホントシネよあのクソ野郎」
「駄目だよそんな事言ったら」
「...」
カナタ達の家...<黒の教団>エクソシスト達が集まる場所。エクソシストにとっては、かけがえのない家だった。
「カナタ」
「ん」
「...その...」
「居るだろきっと。もし居なくても...これから来るはずさ」
「そう...だよね」
ハルナが物心ついた時から探していた人。奇怪な...赤い腕を持って産まれて来たため、両親は気味悪がって捨てた。写真でしか見たことがないから、詳しくはわからない。両親から聞いた事があったが「お前は一人っ子だ」しか言ってくれなかった。
昔サーカスを見に行ったとき。その赤い腕の子はいた。ハルナはそれを見逃さなかった。きっとあの人が...——。