二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 第二幕 白銀【はくぎん】 ( No.4 )
- 日時: 2012/07/05 22:12
- 名前: 無雲 (ID: C5xI06Y8)
万事屋は静かだった。というのも、神楽はこの雨の中定春とともにどこかへと出かけ、新八は家に干してきた洗濯物を取り込みに道場へと帰ってしまったのだ。
よって今、万事屋には銀時しかいない。
「あ———、暇だ・・・・。」
独り言を言う銀時の周りには大量のジャンプが散らばっている。
あまりの暇さに今までため込んだジャンプを読破してしまったらしい。
暇なら仕事しろと言いたいところだが、ここ最近依頼が来ていないので仕事のしようがない。
銀時は回転いすをギイギイと鳴らしながら天井の板の目の数を数え始めた。
ものすごく地味な光景である。
「おいコラ今なんつった。地味だと?新八と同じ扱いすんじゃねぇぞコノヤロー!」
銀時が地の文に向かってツッコミ(?)を入れていると、デスクの上に置いてある電話が鳴った。
銀時は頭の後ろで組んでいた手を下して、けたたましく音を鳴らす電話の受話器をとった。
「はいもしもし、万事屋ですけど。」
———こんにちは、坂田隊長。
「・・・総か。お前が俺に電話よこすなんて初めてじゃねーの?」
聞こえてきた声に銀時は居住まいを正す。
銀時が言ったように、今まで緒方をはじめとする青嵐隊の者が万事屋に連絡してきたことなど一度もない。
おそらく一市民として生きている銀時への配慮なのだろう。
その配慮が今この瞬間されなくなった。
何か妙な予感しかしない。
———すいませんが今すぐ僕たちの拠点に来ていただけませんか?
「はぁ?てめぇらの拠点に?勘弁してくれよ、この雨の中外になんか出たら天パがひどくなるだろ。」
———そんなに変わりませんから大丈夫です。
「どーいうことだそれ!もとからひどいって言いたいのか!つか、何の用なんだよ。」
用件を聞くと、緒方は数秒間沈黙した。
それは本当に数秒だけの空白だったが、銀時はその中に含まれた緒方の動揺を感じ取り、何かがあったのだと察する。 それと同時にいつも厄介ごとを引き付けてしまう己がひどくいやに思えた。
「分かった、行きゃいいんだろ。その代り何かうまい菓子用意しとけよ。」
仕方がないといった風に言うと、緒方はホッとした声でそれを了承し電話は切れた。
銀時はふー、と息をついて受話器を戻し、デスクの引き出しの中からメモ用紙とペンを取り出した。
『神楽へ 少し出かけます。帰りは何時になるか分からないので今日は新八の家に泊まってください。』
メモ用紙にそう走り書きして、銀時は壁に立てかけてあった木刀を腰に差して玄関へと向かう。
ブーツを履いて玄関の戸を開けると雨音が大きくなった。
オリキャラ№2
新岡紅葉(にいおか こうよう)
髪色・深紅
目色・朱
青嵐隊諜報部隊隊長
肩くらいの長さの深紅の髪を首の後ろでちょろんと括っている。
かつて桂の下で活動していた忍の息子で、幼いころから桂や緒方(その他隊長格)
の活躍ぶりを聞かされた。そのため彼らをかなり尊敬しており、桂や緒方の後ろに四六時中ひっついている。
得物は二丁鎌と苦無。
好きなものは和菓子。嫌いなものは桂に刃を向ける者。