二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

第四幕 漆黒【しっこく】之壱 ( No.6 )
日時: 2012/07/07 19:50
名前: 無雲 (ID: C5xI06Y8)

快援隊の船、快臨丸———。
その中では今日も上司と部下の熾烈な戦いが繰り広げられていた。
「ええ加減にしてください隊長!あんたがどっか行くたびその尻拭いすんのはウチ等なんですよ!」
「お願いじゃぁ、ゆっきー!今いかんと、なんかこう・・大変なことが起こる気がするんじゃ!」
「何訳の分からんことを!それとゆっきーじゃありません、佐柳高雪さなぎたかゆきです!」
快援隊隊長の黒毛玉・・・坂本の前に、白に近い灰色の髪をした青年が仁王立ちしている。
いつもは陸奥が担っているその役目を彼がこなすのは、実は今日が初めてではない。
「陸奥さんが商談でおらんからて、好き勝手してええと思っとんですか。ほら、早く仕事に戻ってください。」
廊下に尻餅をついている坂本を見下ろしながら言う佐柳はにっこりと笑う。だがその黒い目は一ミクロンも笑っていない。
因みに何故坂本が尻餅をついているのかというと、いつものようにどこかへ行こうとした坂本の赤コートの襟を佐柳が後ろから引っ張ったからだ。また、その際したグキッという嫌な音を佐柳は華麗に無視している。
「で、でもs「た・い・ちょ・う・?」はいすみません。喜んでやらせていただきます。」
笑顔のまま首をことりと傾けた佐柳の背後から立ち上るどす黒いオーラ。そのオーラに坂本は一瞬で態度を百八十度転換した。
「頭ぁ、電話が・・・あ、まずかったですか?」
廊下の角から灰色の目をした青年が顔を出した。その手には電話の子機が握られている。どうやら坂本を探していたようだ。
空気を読んで立ち去ろうとする青年の袖を、坂本の手がガシリと掴んだ。
「弥太ああぁぁ!ゆっきーが苛めるぜよぉぉ!!」
「ちょ、何言うとんですか!弥太郎さん、ウチ何もやっとりませんからね!」
黒いオーラを引込め、慌てて弁解する佐柳。だが、その言葉は青年———弥太郎の耳に届いていなかった。
「・・・雪、おまん兄やんを苛めたんかや・・・?」
弥太郎は子機を後ろへ放り投げ、佐柳の方へと近づいていく。その手には———十文字槍。
(どっから出したのかとか、そんなもん常に持ち歩いてんのかとか気にしてはいけない。だってそういうものなのだから。)
「や、弥太郎さん・・・?」
後ずさりする佐柳は若干の冷汗をかいている。プライベート以外で弥太郎が坂本のことを兄やんと呼ぶときはろくなことがない。
「失礼しまっす!」
身の危険を感じた佐柳は弥太郎に背を向けて脱兎のごとく駆け出した。
しかし———。
「逃がすかぁぁ!」
ウサギをも超越したチーターのごとき速さで弥太郎が追いかけてきた。
ウサギ対チーター。
勝敗は火を見るより明らかだろう。
快臨丸の中に佐柳の絶叫がこだました。


オリキャラ№3
佐柳高雪(さなぎ たかゆき)
髪色・白に近い灰色(以降、灰白色と表記。)
目色・黒
黒柱隊銃撃部隊隊長。(快援隊水夫長)
髪は肩にかかるくらいの長さ。
実は女で、本名は雪乃ゆきの。戦死した父のかたきをとるために
女ということを隠して黒柱隊に入隊。
現在、佐柳の正体を知るのは攘夷4、弥太郎、新岡を初めとするほんのわずかな人間だけである。讃岐弁を使う。  
弓や銃を得意とする遠距離攻撃型。
好きなものは小説。嫌いなものは天人とうどん県(というネーミング。)