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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 第十二幕 鈍《にび》 ( No.22 )
- 日時: 2012/07/08 21:10
- 名前: 無雲 (ID: C5xI06Y8)
「・・!・・・まに・・・!!どけ・・うよう!!」
老朽化が進んでいるのかギシギシと軋む廊下。
その耳に着く音の合間に、何者かが怒鳴っている声が途切れ途切れに聞こえてくる。
しかもその声は一人ではなく、複数の人間が発しているようだ。
銀時はこんな大勢の客が来ているとは聞いていなかったため、訝しげに眉をひそめた。
第一、このタイミングで自分に会いに来る者とは一体誰なのだろう。
桂は会えば分かると言っていたが、銀時には心当たりがない。
———まあ、会ってみりゃはっきりするか。
これ以上考えても無駄だと、銀時は思考回路を停止させる。そのまま廊下を進み、桂に指示された部屋の近くまでやってきたときだった。
「だぁから、坂田さんはもうちょっとで来るからちょっと落ち着こう?」
「落ち着いていられるか!さっさとそこをどけ、叩き斬られたいのかクソ鼬。」
銀時は思わず足を止めた。彼の耳に届いた声は銀時にとって聞き覚えのありすぎるものだったのだ。
「ま、さか・・・。」
今朝方見た夢が脳裏をよぎる。
響く爆音。仲間達の断末魔。そして自分の名を呼ぶ部下の声。
銀時は止まっていた足を再び動かし、部屋の前に立つ。そして勢いよく開け放った。
「あ・・・。」
部屋の中が水を打ったように静まり返る。
部屋の中には二、三十人の青年と一人の女。皆、驚愕の表情で銀時を凝視している。
そんな彼らの中心に新岡と胸倉を掴み合っている青年がいた。深い紫色の目は見開かれ、青みのかかった黒いポニーテールは新岡と掴み合ったためか少し乱れていた。
「銀、時様・・・。」
「・・・・棗?」
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