二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

第二十一幕 甚三紅《じんざもみ》 ( No.31 )
日時: 2012/08/04 12:56
名前: 無雲 (ID: C5xI06Y8)

 ビュッ、と竹刀が空気を裂く。
 沖田は額ににじんだ汗をぬぐい、少しだけ乱れた呼吸を整えた。
 今は夕暮れ時。サボりの常習犯である彼がこのような時間まで鍛錬をするのには、ある理由があった。

 数日前、彼が声をかけた人物。
 黒い長着に黒袴という格好の彼に、沖田は妙な違和感を覚えたのだ。
 それが何なのか、沖田自身にもよくわかっていない。
 だが、すれ違った時に鼻をかすめたあの匂いは間違いなく血。咄嗟とっさに打ったバズーカもあっさりとかわし、爆煙に紛れて消えたその身のこなしは見事なものだった。

 彼は何者なのか、そしてあの匂いは。
 (ッチ、訳が分からねぇ……。)
 沖田は竹刀を握りなおすと再び素振りを始めた。
体を動かしていると頭がさえるという。それは沖田も同じのようだった。

 何百という素振りのせいで赤くなった掌をさすり、沖田は竹刀を下ろした。
 そろそろ終わりにしようと道場の中心に背を向ける。
その時、

 カタ……ン

 音が、した。

 それと同時に背後に気配が現れる。
 その気配からの鋭い殺気を感じた時、沖田の体は反射的に動いていた。
 手にした竹刀を振り返りざまにぐ。
 しかしそれは空を切り、背後の人物にあたることは無い。
 斬撃を利用して気配と正面から対峙たいじした沖田は、そのすさまじい殺気に冷や汗を流した。

 「テメェ、何者なにもんでぇ……。」

 狐面を付けたその男はその問いに答えることなく、腰帯に差した鎌を抜いた。
 銀色のやいばが、夕日の最後の光を受けて赤く輝く。

 それはまるで血刀けっとうのように紅く、美しい。



本当は物語の中で徐々に明らかにしていく予定でしたが、めんどくさくなったので
オリキャラの二つ名を公開!かなり中二くさいです。

・棗:鬼狼きろう、夜叉の番犬

・紅葉:紅蓮の鎌鼬

・閃:神速の雷閃らいせん

・弥太郎:氷結貂ひょうけつちょう

・高雪(雪乃):しろばね

*二つ名は増えるかもしれません