二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- バカと鴉と召喚獣 ( No.3 )
- 日時: 2012/07/10 23:28
- 名前: 蒼月悠斗 (ID: zWzUF/vQ)
「必要な物は、極力自分で調達してください。では、自己紹介でも始めましょう。廊下側の人からいきましょう」
福原先生の指名を受け、廊下側から始まる。
「木下秀吉じゃ。演劇部に所属しておる。今年一年、よろしく頼むぞい」
お!秀吉は演劇部だったんだ。知らなかったなぁー。
「…………土屋康太」
口数が少ないみたい。それと、ムッツリ商会を経営しているみたい。あとで、聞いてみようと。
「島田美波です。海外育ちで、日本語は会話はできるけど読み書きが苦手です。でも、英語も苦手です。育ちはドイツだったので。趣味は——吉井明久を殴ることです☆」
怖い!この人は危険だ。いつか、犯罪者になるよね!?
明久の紹介も終わって、ようやく僕の番が来たみたい。立ち上がり、言う。
「僕は鴉です」
そう言った途端、教室は静まりかえった。
「……彼はちょっとした事情で、鴉と名乗っています」
「なんで、ですかー」
「……説明してください」
「はい。僕は——両親の育児放棄によって、名前すら付けてもらえませんでした。それに、近くのゴミ捨て場に捨てられてしまったのを、烏に助けられました」
中々に重い事情に、皆は唖然としてしまった。まあ、まさか近くにいる人が育児放棄されていたとは思わなかったんだろう。
「だから、名前は烏と言います」
そう言って、座る。
不意にドアが開いて、息を切らせた女子生徒が現れる。
「あの、遅れて、すいま…せん……」
「「「えっ?」」」
クラス中が騒がしくなる。まあ、普通はびっくりするだろうね。
「丁度よかったです。今自己紹介をしている最中なので、姫路さんもお願いします」
「は、はい!あの、姫路瑞希といいます。よろしくお願いします…」
小柄な身体をさらに縮こめるように、声を上げる姫路さん。
「はいっ!質問です!」
「あ、はいっ。なんですか?」
「なんで、ここにいるんですか?」
その言葉は、聞きようにとっては、失礼にあたる質問だった。
彼女は容姿も一目につくほどで、テストの点も常に一桁以内に入っているほどである。
「そ、その……振り分け試験の最中、高熱を出してしまいまして…」
文月学園の振り分け試験は、難しく出される問題数は多い。それに、試験の最中の退席は無条件で0点扱いにされる。それほどに、厳しいテストである。
そんな姫路さんの言い分を皮切りに、クラスの皆に言い訳が上がる。
「そう言えば、俺も熱(の問題)が出たせいでFクラスに」
「ああ、科学だろ? アレは難しかったな」
「俺は弟が事故に遭ったと聞いて、実力を出し切れなくて」
「黙れ、一人っ子」
「前の晩、彼女が寝かせてくれなくて」
「今年一番の大嘘をありがとう」
想像以上に、バカだらけだった。
「そんな言い訳を言う時点で、バカだね」
「鴉よ、それは天然なのじゃ?」
「うん?」
僕の一言が、皆の心に突き刺さる。
「で、ではっ、一年間よろしくお願いしますっ!」
そう言うと、瑞希は逃げるように席に向かう。席に着くなり、安堵の息を吐いて卓袱台に突っ伏す姫路さん。
どうやら、明久は姫路さんに聞きたいことがあるみたい。僕も近付いてみた。
「あのさ、姫——」
「姫路」
タイミングが悪かったらしく、遮られてしまう。
「は、はいっ。何ですか?ええと…」
「坂本、坂本雄二。ところで、体調が悪いのか?鴉も」
「ええと…」
「んんー」
「あ、それは僕も気になる」
明久が割り込むように、口を挟む。
「よ、吉井君!?」
「明久が不細工ですまん」
「目もパッチリして、顔もラインも細くて綺麗だし、全然不細工ではありません!その、むしろ…」
「確かに見てくれは悪くないな。そう言えば、知人にも明久に興味を持つ奴が居たな」
その言葉に、姫路さんが興味を示す。
「えっ? それは——」
「そ、それって誰ですかっ!?」
姫路さん、明久が落ち込んでいるんですが…。
「確か。久保——利光だったかな」
久保利光→♂(性別/オス)
「…………」
「おい、明久。さめざめと泣くな」
パンパンと、教卓を叩いて注意する福原先生。
「そこ、静かにしてくださ…」
バキィッ バラバラバラ……
「……替えを用意してきます。待っていてください」
そう言って、福原先生は出て行く。