二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

バカと鴉と召喚獣 ( No.11 )
日時: 2012/07/10 23:37
名前: 蒼月悠斗 (ID: zWzUF/vQ)

『何さ、入ってきな』
「はい、2年Fクラスの鴉です。以前、注文を頂いた部品をお届けに参りました」
「そうかい、ごくろうなこった」
「……学園長とも有ろう方が、そんな言葉遣いはいかがなモノと思うんですが」
「はん、そんなことは関係ないさね。用事が済んだなら出て行きな。それと、これを持っていきな」
「あ、ありがとうございます?では、失礼します。あ、うちのFクラスが問題起こすと思いますが、ご了承ください」


 そう言って、学園長室を出た足で、今度は教頭室に向かう。一度も入ったことないから、緊張してくる。


「教頭先生、入ってもよろしいでしょうか?」
『ああ、入ってきたまえ』
「はい、では失礼します」


 そう言うと、ドアを開ける。そこには、イスに座って、仕事をする竹原教頭の姿があった。


「2年Fクラスの鴉です。注文を頂いた教材などをお届けに参りました。それで、どちらに置いていけばいいんですか?」
「ああ、あとで他の先生に頼んでもらうので、隅にでも置いてください」
「はい、では失礼します」


 僕は言われた通りに、台車に乗せていた物を置いておく。


「では、またの注文をお待ちしています」
「ああ、ご苦労様。また、頼むかもしれないがすまないね」
「いえいえ、仕事ですから」


 そう言って、教頭室を出た。
 そして、教室に向かって、試験を受けに行く。減らされていないけど、残りの3教科を受けていないから。


「んー、困ったな。そういえば、貰ったこの腕輪は何かな?」


 多分、学園長室に入った時に学園長に渡された腕輪。説明書もあったから、読んでみた。


「ええと…『この蒼緑の腕輪は、教師の代わりに立ち会いが行える。ようは、お前さんに教師代理をお願いするさね。まあ、全教科担当してもらうさ』…皆になんて、言おうかな」


 僕は蒼緑の腕輪を左腕に填める。多分、欠陥品だと思うんだけど。学園長のことだから、平均点以上じゃないと、発動しないかも。


「はあ…、気が重くなってくるよ」

 教室のドアを開けて、入る。
 相変わらず、僕の卓袱台と座布団だけ高級である。まあ、嬉しいからいいんだけど。そう思っていたら、ドアが開いた。


「おはよー」

 そう言って、入ってくる明久。

「おう、明久。時間ギリギリだな」
「ん、おはよう雄二」

 明久は雄二に近付く。

「皆には、何か言われなかったの?」
「ん?何がだ?」
「Dクラスの設備のこと」
「ああ。皆にはきちんと説明したからな。問題ない」
「ふーん」

 明久はすぐに、興味を無くしてしまった。そう言えば、明久は島田さんに何かしたみたい。あとが怖いな。


「それより、お前はいいのか?」
「何が?」
「昨日の後始末だ」
「あ、聞きましたよ。島田さんに何か被せたんですってね」


 僕は怖いから、遠くから話しかけた。おや?皆も明久から離れたよ。とうやら、後ろに立つ鬼女がいるから。

「吉井っ!」
「ごぶぁっ!」

 どうやら、殴られたみたい。床に倒れた明久の視線が、島田さんのスカートに行く。

「し、島田さん、おはよう…」
「おはようじゃないわよっ!」

 かなり、ご立腹みたい。まあ、あんな事すれば、誰でも怒りますよね。

「アンタ、昨日はウチを見捨てただけじゃ飽き足らず、消化器のいたずらと窓を割った件の犯人に仕立て上げたわね…!」

「彼女にしたくない女子ランキングが、更に上がりましたね」

「そうよ、鴉が言うとおり上がったじゃない!」

 僕は肩に停まっていた3丁目の賢吾という名の烏と、朝食を食べていた。なんでも、好物は意外にリンゴみたい。驚きだね!

「でも、いつもはここで殴っていたけど、アンタにはもう充分罰が与えられているようだし、許してあげる」
「うん。さっきから鼻血が止まらないんだ」
「いや。そうじゃなくてね」
「ん?それじゃ何?」
「一時間目の数学のテストだけど」

 そう言って島田さんは楽しそうに告げる。

「監督の先生、船越先生だって」

 その瞬間、明久はドアを開けて、廊下を疾駆する。てか、いつの間に何があったの!?
 僕が不思議そうに思っていたら、秀吉が教えてくれた。
 どうも、雄二の策略に引っ掛けられて、いつの間にか船越先生のお相手にされてしまったみたい。

「……僕にはどうすることも出来ない」
「そうじゃな。わしらには、何も出来ないじゃろ」
「あ、島田さん。明久の写真集はどうですか?」
「んん……、買ったわ!」
「毎度あり、一冊300円だよ」


 そう言って、島田さんに袋に詰めた明久の写真集を渡し、お金を受け取る。
 ちなみに、ムッツリーニと共同製作してみました。話しかけたら、ちょうど僕に用事があったみたい。なんでも、製本の技術がないから、僕に製本してほしかったらしい。まあ、僕もムッツリーニの写真技術がほしかったから、了承した。提携して、ムッツリーニ商会の製本と印刷を任された。もちろん、見返りに写真集などは僕が販売させてもらう事になっている。


「鴉よ…、仕事するのが好きなんじゃな」
「うん、楽しいから」

 僕は秀吉の耳元で囁く。

「(秀吉のお姉さん、僕の店で× ×を買っていったよ)」
「(なんじゃと!関節をヤられなかったのじゃ!)」
「(大丈夫だよ、もう手に入らない絶版本だから)」
「(なるほど、機嫌を損ねると手に入らんのじゃからのう)」

 ヒソヒソと話してから、席に座る。