二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【ダンボール戦機W】バン×ヒロと怨炎の幻想(ミラージュ) ( No.832 )
日時: 2012/10/01 22:07
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)

短編1の続き(健太視点)

2時間後、徐々に意識が戻った頃には夜になっていた。

「うっ、うーん?」

ぼんやりとした視界に天井が映る。
家の中にいるのだと気付いて、ゆっくり起こす。
周りを見回すと、バン兄さんがいた。

「おっ、やっと目覚めたようだな」

俺に気付いて立ち上がり、ソファベットの前に座り込んだ。
その様子を見る限り、ケンカしたことを知っているらしい。

「あ、兄貴・・・・・・」
「まったく、なかなか帰ってこないから心配したんだぞォ?」

缶ビールを持ったまま、溜息をついていう兄を見て驚く。
もしかして、俺を迎えに行ったということか?

「もしかして、迎えに行ったの?」
「ああ、カズに言われてきたんだ。そしたら、おまえがベンチで寝てるからさ」

苦笑しながら、背負って歩くの大変だったと語ってくれた。
どうやら、心配かけてしまったと思いながら申し訳ないことしたと思って落ち込んだ。

「ごめん・・・」
「いきなり謝ることないって・・・・・・俺は別に気にしてないから」
「あの、ケンカした原因は聞かないの?」

ビクビク怯えながら、バン兄さんを見て尋ねる。
缶ビールを煽りながら飲み干したのと同時に見つめた。

「ああ、俺のことで揉めたんだろ?」
「何で・・・それを--------------------」

知っているのかと言いかけた瞬間、拳骨が炸裂した。
あまりの痛さに顔を顰めて、思わず泣きそうになった。

「そんなことで揉めるなんてダメじゃないかぁー」
「だって、兄貴をバカにしたんだもん」

それが許せなくて、キレたというのは間違いなかった。
兄がいないと寂しいのを感じたくなかったからだろうか。

「俺のことをバカにした?」
「うん・・・・・・酒浸りだって言われて、カッとなった」

そんなことでケンカに至ったというのか。
バン兄さんは黙りこくったまま、酒を煽った。

「なんだ、そんなことでケンカしちまったのか?」
「うん・・・・・・」
「ケンカは良くないってこと分かってるんならさぁ、気にしない方が良いんじゃないか?」

バン兄さんは苦笑しながら、俺の頭を撫でた。
兄は優しいから、結構大好きな人なんだ。

「兄貴・・・」
「んー?」

缶ビールが空になったのを確認して、ゴミ箱に投げ捨てた。
何か言いたいのか分からないし、どうしたら良いんだろうか。
そんな俺を見て、バン兄さんは優しく問いかけた。

「どうした、健太?」
「兄貴はさ、俺のことをどう思ってるの?」

バンなりに何か捉えたことが気になった。
それでも、どう思っているのか知りたいと思ったからだ。

「そうだな、健太はケンカっ早いところがあるなって思うよ」
「えーやっぱり、そうかなぁ・・・・・・」
「うん。でも、俺の大切な家族の一員だし、弟だと思ってる」

バン兄さんはソファベットに寝転がる。
酔いが回ってきたのか、眠そうな目で俺を見る。
そんな目で見なくても良いのに・・・と思いながら、目を反らしてしまう。

「なあ、健太」
「・・・何?」

隣に寝転がるバン兄さんを見て呟きながら聞き返す。
バン兄さんは俺を見て溜息をついた後、すぐに話しかけた。

「おまえは1人ぼっちなんかじゃない・・・おまえがいつも孤独に苛まれていたのは分かってんだよ」

俺が孤独に苛まれていた?
そんなことになってたなんて気付かなかった。
確かに1人ぼっちであることの寂しさを感じていたからかもしれない。

「黙りこくってなんかいないで、辛いことや苦しいことがあれば、俺に何でも話してくれればいい」

バン兄さんは俺の様子を見て気遣いながら見守ってくれる。
何でも話したいのは山々なんだけど、俺の悩みを聞いてくれる人なんかいないと思っていたからだ。

「でも、俺の悩みを聞いてくれる人なんかいないし・・・」
「なーに言ってんだよ、ここにいるだろォ?」

ハッと我に振り返りながら、兄を見つめる。
バン兄さんは俺を抱きしめながら、励ましてくれた。

「俺のことを信じるか信じないかはおまえ次第だ。それだけは分かってほしいんだ」

このとき、兄のことを信じるしかないと思った。
悩みを聞いてくれるのは、長兄のバンしか居ない。
孤独に苛まれながら生きてきた俺の気持ちを察していたのだろう。

「兄貴・・・」
「俺は悩みを持ったままじゃ明かせないと思うんだ」
「うん・・・」
「だから、悩みがあるときは遠慮なく話してくれよな」

背中をポンポン叩きながら励ましてくれる兄の存在が心強かった。
バンにできるだけ悩みを話すことを決意し、少しずつ明かした。
友達のこととか相談しながら話していくうちに眠気が迫ってきた。

「眠い・・・・・」
「うん、疲れたなら寝ていいよ。俺も寝るから」

バンが言ったのと同時に目を閉じる。
徐々に深い眠りに引きずり込まれていく。
だんだん、夢の中に入っていくようになった。
今宵もいい夢が見られますように-----------------------

The End------------------------------