二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【ダンボール戦機W】バン×ヒロと怨炎の幻想 ☆番外編☆ ( No.977 )
日時: 2012/10/08 15:33
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)

第4章に入る前に短編を描いちゃいます!!
今回は成人式です!(同窓会も含めて)

短編4(バンハル編)
タイトル:成人式(ハル視点)

2057年1月上旬、ミソラ二中の卒業生が集うホテルで行われることになった。
当時、中学3年生だった私たちはまだ子供だった。幼馴染のバンたち男子はいつもふざけ合いながらよく遊んでいることが多かった。

(懐かしいな)

数日前、成人式に関するハガキが届いたので、その時に参加しようと思って決めた。
バンもスーツ姿で着て参加することになりそうだと話してくれた。
ちなみに夜は私服で集まって、2次会で飲み会が行われるらしい。

(この日は待ちに待った成人式!)

私たちのいたミソラ二中は午後の部になっている。
着物を着るのは、幼い頃に着て以来だったので緊張しているが、それなりにリラックスできていた。

『ピンポーン』

インターホンが鳴ったので、着物を着用したまま下駄を履いて出た。
ガチャッと玄関のドアを開けると、スーツ姿に着替えたバンが目の前にいる。

「よっ、ハル! どうだ、このスーツ姿」

バンは上下に黒のスーツ、白のシャツに紺のネクタイを締めている。
靴は黒の革靴を履いており、普段とは違う雰囲気を醸し出していた。
これがイケメンキャラなのか、いわゆる草食系にしか見えない。

「うん、なかなか似合ってるよ! あ、ネクタイが曲がってるわ」

苦笑しながら、バンの前に立ってネクタイを調整する。
何か夫婦みたいな感じが醸し出されているのは、気のせいだろうか。
それでも、バンは照れくさそうに頬をポリポリ掻いている。

「おかしいな、ちゃんとつけたのになー」
「しっかりしなさいよ、男なんだからさーちゃんとする!!」

バシッと背中を強く叩きながら、気合を入れさせる。
バンは顔をしかめながら、痛そうに背中を擦る。

「あいててて、何すんだよ」
「何すんだよって言うより、真面目にしないからでしょ!!」

幼馴染として接しているため、長年付き合っているのは事実だ。
バンがいつも居眠りして起こすのは、私の役目と言っていいだろうか。
幼い頃から育んできたバンとの友情や絆はいつしか、かけがえのないものになっていた。

「良いじゃないかぁ、俺は別に気にしてないんだしさ」
「あんたがそういうからでしょ、もう!」

幼馴染を見て、ハラハラしそうになりかけたことか。
バンは優しいから、いつも気遣ってくれた。そういうところが大好きだった。

「じゃあ、そろそろ行こうか」
「うん、そうだね!!」

バンに促され、成人式の会場に向かって歩き出す。




数分後、トキオシア公園近くの豪華ホテルに到着した。
そこで開かれる成人式の会場になっていて、カズやアミ、テルなども来ていた。

「うわーたくさん来てるなぁ!!」

周りを見回すと知っている友達が何人かいたので、懐かしそうに会うのが久しぶりでたまらなかった。
そんな私の様子を見たバンは苦笑しながら溜息をつく。

「そんなにはしゃぐことないだろ?」
「え、そう?」
「うん、それにおまえの着物姿はなかなか似合ってるよ」

私が着用しているのは赤に近いものになっていて、帯は少し赤めになって縛られている。

「そう、ありがとう」
「でも、気にすることないんじゃないか」

クラス別に分けられていて、その席に男女3人ずつ座ることになっている。
私とバンは名前順が近いので、その奥の方に座りこんだ。

「隣同士で座り込むのも良いよな」
「そうだね、みんなに会うのが久しぶりだもん」

ワイワイ喋りながら話していると、フッと電気が消えた。
ステージとなる場所にスポットライトが当てられ、成人式の司会を務める人が出てきた。

「ミソラ二中の卒業生の皆様、お待たせしました。これより、今年度の成人式を行います」

司会者はそう言いながら挨拶した。
同時に歓声がどよめき、ワァァァ--------------------と湧き上がった。
パチパチと拍手する音が聞こえたので、いよいよ始まるんだという思いが沸いてきた。

「いよいよね」
「ああ、そうだな」

バンも頷き、私とアイコンタクトをとりながら拍手する。
成人式に参加するか悩んだけど、バンも行くって言っていたので再会を待ち侘びていたのだろう。



成人式の最中、自由に話したい人とかいたので、久しぶりに再会した。

「久しぶり、ハル!!」

同級生だった大宮匡子(おおみや きょうこ)、名井秀歌(ない しゅうか)、赤城直海(なおみ)などの女子と再会して喜び合った。

「うわー久しぶりじゃん!!」
「うんうん、ところで夜に2次会があるけど・・・・・・行かない?」

直海が思い出したのか、用件を話した。
その用件を聞いた瞬間、バンが言っていたのを思い出す。

【そういえば、成人式の夜に飲み会があるんだとさ】

その時に聞いた言葉が引っかかっていたので、何となく気になっていた。
直海から聞いて、そういうことだったのかと納得した。

「なるほどね、そういうことなら行こうかな?」
「よーし、決まりね!!」

直海が男子の方に向かって伝えると、中学の同窓会みたいなのやりたいと言っていたそうだ。
それも兼ねて、飲み会も盛大にやろうっていうことで再会を楽しみにしている。

(バンはどうなんだろう?)

バンは男子数人とふざけあいながら、楽しそうに明るく話しつつもはしゃいでいる。
久しぶりの再会に躊躇いながらも、明るく接している姿を見て微笑ましく思った。

「ギャハハハ、そんなこと言うなよ」

ハルとは幼馴染だって言ってんのにさぁーと言いながら、浅見の頭を撫で回しながら弄るバン。
そんな姿を見て、あんなにはしゃぐのを見るのは初めてだった。




成人式が終わった後、外に出た私は溜息をついた。

「はー疲れた・・・・・・・」

肩が凝りそうだと思いながら、トントンと右肩を叩く。
バンも楽しそうだったから良かったけど、問題は今夜の同窓会だ。

(バンは行くのかな?)

そう思いながら、歩を進めようとしたとき。
後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。

「おーい、ハル!」

バンが手を振りながら追いかけてくる。
明るく笑顔を見せながら、私のところまで追いついてきたかと思ったら・・・・・・息を切らしていた。

「ハァハァ・・・・・・ハルがいないから探したよ」
「あ、ごめん・・・・・・」
「いや、良いんだよ。今夜の飲み会は行くか?」

バンは暑いとか言いながら、ネクタイを緩めた。
高校の時みたいな感じだと思いながら、溜息をついた。

「バン、相変わらずだね」
「んー?」

バンはポケットに両手を入れたまま、首を傾げる。
やっぱり持つべきものは幼馴染なんだと改めて思った。
目の前には大切な恋人がいるから、兄がいなくてもやっていける自信があるのだと実感した。

「どうした、ハル?」
「ううん、なんでもない」

首を振りながら答える私を見て、思わず溜息をついた。

「なんでもないっていうほどじゃないだろ、ヒョウちゃんのことが忘れられないんだな」
「うっ、何で分かるの・・・・・・」

頬を赤く染めながら照れる瞬間、バンには何でも分かってしまいそうで怖かった。
幼馴染だからこそ分かる、大切な存在を失いたくないのだということを---------------

「バーカ、中3の頃からずっと見てきたから分かるんだよ」

バンはイタズラっぽく笑いながら、右手で私の頭を撫でた。
そんな幼馴染がいるのかと思うと涙が込み上げてきそうになる。

「・・・・・・っ!」

その優しさに何度か触れてきたか、バンには何度も救われたのを覚えているのだ。