二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 黒子のバスケ〜二人で一つ〜 ( No.150 )
日時: 2012/09/17 15:07
名前: このみ (ID: C5PYK3fB)

第10Q 「僕等はどこまでも、 part3」

朝練は何事も無く、無事に終わった。
授業も、何もなかった。
ただ、放課後は、何もない、というわけにはいかなかった 。

「これ……」
『…………』

部活に行く途中、さつきが教室に忘れ物をした、と言って 戻ってきた。
教室に入り、机に向かった。
そこに置いてあったのは一枚のメモ。
半分に折りたたまれたそれを広げると、汚い字で −桃井さつき、桃井なつき、16時までに三階女子トイレに こい—と書いてあった。
さらにその下には、 −来なかった場合、お前らの周りのやつが標的になる—それはつまり、自分たちが行かなければ、友人たちに酷い 事をするという意味だろう。
キセキの皆、仲良くしてくれる数少ない友人。
その人たちが自分たちの所為で嫌な想いをするのだけは嫌 だった。
だから————。

「行こう、なっちゃん」
『うん』



体育館。

「…………遅いな」
「三十分も遅れるなど、あの二人にしては珍しいのだよ」
「なにかあったんでしょうか……」

時計は16時27分を示していた。が、二人が現れる気配は一 向にない。

「青峰、探してこい」
「あ〜?なんで俺なんだよ」
「お前が一番暇そうだからだ」
「んだよそれ」
「いいから行け。僕の言う事は?」
「……ぜったーい」



三階女子トイレ。

「ちょっと顔が良くて胸があるからって、調子のってんじ ゃないわよ!」
「どうせマネージャーやってんのも男目当てでしょ?」
「黄瀬君に色目使いやがって、このブス!!」
「青峰君と幼馴染だとか知らないけどぉ〜、近付くのやめ てくんない〜?」
「マジむかつくんですけどぉ」
「びしょびしょにしてやろうぜ」
「あははっ!部活出れないじゃん!!!!」

バシャッ!

「っ!!」
『さっちゃん!!』

水を浴びさせられ、上から下までびじょびじょに濡れたさ つきになつきが駆け寄る。
守るようにギュウっと抱きしめ、見下ろしてくる女子を睨 んだ。

「なに、その目」
「なんか文句でもあんの?」

パァンッ

一人の女が、なつきにビンタをした。

「なっちゃん!」
「いい気味!真っ赤に腫らして大好きな部活にでも出れば? 」
「ていうかぁ、そんなにバスケが好きなら女バスにでもはいればぁ?」
「本当だよ。なに、マネージャーって」
「ムカつく」
「こいつにも水ぶっかけてやろうぜ」

水もかけられ、二人でびしょびしょになる。
それで満足したのか、女たちは二人に顔を近付け、

「男子バスケ部マネージャーをやめろ。いいな?」

そう言い残し、トイレを去っていった。

「なっちゃん、大丈夫!?」
『さっちゃんこそ……』

なつきの頬は赤く腫れあがり、とてもじゃないが他人に見 せられるような顔ではなかった。
しかもびしょ濡れ。
これでは部活に行くどころか校内も歩けない。
ジャージは教室だし、取りに行くのは難しい。
どうしようかと二人で固まっていると、トイレの外から声が聞こえた。

「おい、さつき!なつき!いるか!?」
『「っ!!」』

それは紛れもなく、幼馴染みの声で。
二人は咄嗟に個室に入った。
そこで息を潜める。

「いねーのか……?……あ?んだこれ、水……?」

さっきあの女たちがかけた水が、外にまで流れ出たようだ。

「なんだよ、これ……。びしょ濡れじゃねえか」

中に入ってきたのだろう、すぐそこで声がした。
鍵はかけていないが、扉は閉じている。他の個室も閉まっているし、ここに人が入っているなど思わないだろう。

「つーか女子トイレってこんな風になってるんだな……」

知らなくて当然。知っていたら変態だ。

「いねーな……。どこ行ったんだよ、あいつら」

大ちゃんの声が遠ざかっていく。トイレを出たのだろう。
二人はトイレを出ると、とりあえず一息ついた。


体育館。

「居なかったぜ」
「おかしいな。全て探したのか?トイレまで」
「探した。トイレの中にも入ったぜ」

何故かドヤ顔で言う青峰に、黒子が変態ですねと言い放った。
赤司は顎に手を添えて考えていたが、やがて部員に指示を出し、練習を再開させた。
この時、時計の針は16時49分を指していた。



三階女子トイレ。

『さっちゃん、教室にジャージあるよね………?私……取ってくるから……ここにいてね』
「それなら私も……」
『流石に二人は目立つから……ね?すぐ戻ってくるよ』
「ご、ごめんね…」

なつきがトイレを出ていき、さつきはトイレの掃除を始めた。

暫くしてなつきがジャージを抱えて戻ってきた。
二人は着替えると、青峰にメールを送り、トイレをしっかり綺麗にしてから学校を出た。



体育館。

「峰ちーん、携帯鳴ってるよー」
「おう」
「青峰、マナーモードにしろと何回言えば分かるんだ?」
「…………すみません」

黒い笑みを浮かべ、鋏をシャキンシャキンいわせる赤司に素直に謝って、受信メールボックスを開いた。
そこには、「さつき」の文字。
見ると、そこには

——ごめんね、今日部活いけなくなっちゃった(;_q)
なっちゃんが風邪気味で……。
今日は部活お休みしますって赤司君と監督に伝えといて欲しいな(>_<)っ  (あ、テツ君にも!)
よろしくねー(*^^*ゞ——

と、書いてあった。

「赤司、」

ぽいっと携帯を赤司に投げる。急に投げたにも関わらず容易くそれをキャッチし、内容を読む。
読み終えると、青峰にそれを投げ返し、監督のもとに向かった。

「青峰君、桃井さんからですか?」
「ん?あぁ。今日休むってよ。なんかなつきが風邪気味なんだと」
「なつきっち大丈夫っスかね……」
「青峰君、お見舞い行くんですよね。僕がお大事にと言っていたと伝えてください」
「自分で言えよ」

そう言ったときには、そこにはもう黒子は居なかった。



これ以上書くと文字数オーバーなので、一旦切ります。