二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 黒子のバスケ〜二人で一つ〜 ( No.398 )
日時: 2012/11/04 20:27
名前: このみ (ID: q7aY8UsS)

パロディ カゲロウデイズ


8月14日 紫



何度も何度も、彼女が死ぬ夢を繰り返し見た。
どうやったら死なないで済むのか。
色んなパターンを何度もした。
でも彼女が死ぬという結果は変わらなかった。
ある時は転落死。ある時は通り魔に襲われ。
どうして、どうして。
何故彼女が死ななければならない?
何故彼女は助からない?
何故彼女は…………笑う?
頭の中がごちゃまぜになる。
そもそも、彼女が死ぬという夢を見た、ということを思い出すのが、彼女が死ぬ直前なのだ。
急に思い出して、ヤバイと感じ、回避しようとするも、出来ない。
他に方法は、ないのか。
ある。
一つ、試していない方法が、ある。
でも、俺は自分が大事な人間だから、それを実行する勇気はない。
だから他の方法を探す。
でも、漸く分かった。
彼女を助ける方法は、これしかないと。
だから、俺は。

彼女が道路に飛び出そうとする瞬間、彼女の細い腕を掴み、引き寄せる。
それと同時に、駆け出した。
ドンッという衝撃音と一緒に、体が軋む。悲鳴をあげる。口から血が吹き出た。トラックが当たった部分が熱い。
ああ、この熱さは夏の暑いとは違うな。
これから死ぬというのに、頭は冷静だった。
重たい体を少しだけ動かして彼女を見る。
彼女の瞳はゆらゆらと揺れ動いていた。

『どうして……』

どうしてって、なつきが好きだからだよ。
力なく笑いかけると、彼女は口をキュッと結び、拳に力をいれた。そして、何かを睨み付けている。
それがなんなのか、どういう意味なのかは分からなかったが、俺はまた重たい体を少しだけ動かして黒猫を見る。
いつもニヤニヤとしていた黒猫は、顔を歪めていて。

「ざまあみろ」

って俺が笑ったら。
そこで意識は途切れた。
けれど、最後に見たなつきの顔は、まるで。


今までなつきが死ぬところを見て、認めまいとしていた、俺の顔にそっくりだった。



(いいんだ、これで)
(だから、なつきは生きて)