二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 黒子のバスケ〜二人で一つ〜 ( No.75 )
日時: 2012/08/23 20:50
名前: このみ (ID: 3/dSGefI)
参照: http://yaplog.jp/momizi89/



第7Q 「ビデオと笑顔」




プールから帰って、次の週の月曜日。
この日は練習試合が組み込まれていた。
相手は弱くも強くもない中学校。
圧勝することは目に見えている。
それでも、手を抜く事はしない。

『よいしょ……っと。この角度でいいかな……』

ベンチのすぐ横。そこになつきはいた。

「なつきっち〜?なにしてるんスか?」
『涼ちゃん。あのね、ビデオを撮るの』
「ビデオ?」
『うん』

そう言いながらビデオの角度を調節した。
これでコート全体が映りそうだ。

「なんでっスか?」
『皆の動きとか、一度見ただけじゃわからないし、相手がどんなチームなのかも保存しておけるからね。
いろいろ便利なんだよ。
それに、皆がもっと上手になって、そのビデオと比べてみれば成長のスピードが見て取れるでしょ?
あとテツ君は……私は肉眼じゃ見つけられないから……ね』
「成程……いろいろ考えてるんスね、なつきっち」
『少しでもさっちゃんの役に立ちたいからね、頑張るよ』

なつきは、情報収集はもちろんのこと、過去の分析に長けていた。
対してさつきは未来の成長の程度等、予想の方に長けていた。
二人はその情報を合わせてアドバイスや練習メニューを作っているのである。

「あ、試合はじまるっぽいっス」
『行ってらっしゃい、頑張ってね』

それから暫くして、試合開始の合図が鳴った。










結果。
もちろん、圧勝。
帝光のスコアは100を超え、相手をへこませていた。
そのビデオを、なつきは誰も居なくなった部室で見ていた。
一年の時のビデオと見比べながら。
ちなみになつきがいなかった三学期はさつきが撮っていてくれたようだ。
おかげでどんな様子だったか見比べられる。

『皆強いなー……。あ、そういえば……』

ビデオを見ながら分析した結果を書いていたノートを閉じて、メガネをはずしながらボソリと呟く。

『灰崎君、なんでやめちゃったんだろう……』

体育館に居ない灰色の髪の男子の顔を思い浮かべながら、なつきはビデオの片付けをした。


ビデオの最後の最後に映っていたのは、皆が笑いながらハイタッチをしているところだった。