二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 星空の軌跡 | 001. ( No.10 )
- 日時: 2012/07/23 20:04
- 名前: ゆう ◆Oq2hcdcEh6 (ID: fOW/FHMu)
| 001 始まりの予兆
帝光中学校バスケットボール部——……部員数は100を超え、全中3連覇を誇る超強豪校。その輝かしい歴史の中でも特に「最強」と呼ばれ無敗を誇った————10年に一人の天才が5人同時に居た世代は「キセキの世代」と言われている。
——が、「キセキの世代」には奇妙な噂があった。誰も知らない、試合記録もない。にも関わらず、天才5人が一目置いていた選手がもう一人、……幻の6人目がいた——と。
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部活への勧誘が激しく、彩音は口許を押さえた。人、人、人。人混みが元々好みではない彩音にとって、これはもう地獄と言える。歩いているだけで部活の勧誘に誘われ立ち止まり、何度も何度もしつこく誘われる。彩音はキョロキョロと辺りを見回し、お目当ての水色を見つけた。
テツヤッ、と声を上げて彼女は漫画を読みながらフラフラと歩く、目立たない少年に抱き着いた。テツヤと呼ばれた少年は無表情のまま、抱き着く彩音を無視してすたすたと歩く。
「くーろーこーてーつーやー!」
「何ですか」
「バスケ部だよね?」
「そうですけど」
「あたしマネジやりたいな」
「はあ」
少年——黒子テツヤは鬱陶しいというふうに彩音を引き剥がし、彩音からの問いかけに淡々と抑揚のない口調で答える。
マネージャーになるという彩音に黒子は本当に出来るのか、という風な視線を向け、それからどうでもいいという風に首を横に振った。好きにしろと言わんばかりの態度に彩音がにこにこと笑う。
そんなこんなでバスケ部の受付のところに来てしまったみたいだが、受付をしている女子生徒は何だか目付きの悪い男子生徒(新入生だろうか、)を見ていて黒子と彩音に気付きもしていなかった。
たまたま気がついた男に紙を受け取り、名前と出身校を記入してすたすたと去っていく。彩音は彩音で黒子に追いつくので必死だ。
「黒子、テツヤ……有彩、彩音……って、」
「?」
「帝光バスケ部出身?!」
そんな声が後ろから聞こえた気がして、ぱっと彩音は振り向くけれど、黒子はスタスタと先に行ってしまうから彩音は慌てて後を追いかける。変わらないなあ、とぼんやり思っていると、ブレザーのポケットに入れておいた携帯が震えた。
「……亜美、?」
「無彩さんから電話なんて珍しいですね」
「や、メールだよ」
「へえ」
「赤司くんとのラブラブ写メ来てるんだけど」
「ゴミ箱に」
携帯を開き画面を見れば、にっこりと笑顔の亜美と、亜美の隣でくすくすと笑っている赤司の姿が映っていた。写真嫌いなのに珍しい、と呟く黒子に彩音がはしゃいでるんじゃないなんて呟いた。
「マジバ食べたいな」
「バニラシェイク飲みたいです」
「おごってあげるから行こう」
「良いですよ」
「え、ふつうそこは遠慮するでしょ」
「奢ってくれるんなら着いていくってことですよ」
「えー」
「別に、強制はしませんが。亜美さんに彩音と黄瀬君のラブラブ写メでも」
「奢ります」
そんな下らないやり取りも愛情表現、二人はゆっくりと歩き出した。
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「へえ、」
「どうしたの赤司」
「……これ、見てみなよ。凄い笑えるから」
「?」
「"言うことを聞く犬"だよ」
「ぶはっ、」
prev | next / 赤司様と亜美が見たものはその内分かります。