二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: SKETDANCE 二次 ( No.31 )
日時: 2012/10/01 22:26
名前: ぴーち ◆gZYpD2nS.I (ID: jwGQAuxW)  

*相合い傘①*
†ヒメコ視点†

 それは、部室でのこと。
 いつも通り、来る気配がない依頼人を待っとるとき、アタシはボッスンと話しとった。

「ほんでなー、A組の中谷さん、テストで自己最高得点とったんやて!すごない?きっとえらい努力したんやなー、頭さがるわー」

「んー」

…………まぁ、いつも通りアタシが一方的に話しとるだけやけどな…。
 ジャンプ片手に生返事を返すボッスンにアタシは珍しくムッとした。

「なぁボッスン、聞いとる?」

「んー」

「………じゃあアタシ今、何て言うた?何て言うたか言うてみいほれ」

「んー」

「やっぱ聞いとらんのやないかいボケェ!!」

アタシは容赦なくボッスンの胸ぐらを掴んだ。

「あ、ちょ、おい!放せって!!」

「うるさいハゲ。今血ぃ三分の一ぐらい抜いたるから大人しくしてろや」

「え!?今、サラッと怖いこと言ったよね!?ヤだよ!?大人しくしねーよ!?…て、あ」

「あ?」

アタシはボッスンの襟首を掴んで外に出ようとしとったから、ボッスンは外を見て呟いた。
 アタシはつられて外を見ると、雨が降っとった。

「あちゃー…アタシ傘持ってきてへんわー」

「俺もねえや」

『俺は折り畳み傘がある』

と、今まで一言も話さんかったスイッチが言った。

「あ、いいなー、入れさせてくれよ」

『2本持っているから1本貸してやろう』

そんな勝手な話をして、アタシは焦って割り込んだ。
「ちょお待てや!ほなアタシは!?アタシはどないすんねん!」

「かっかっか、ずぶ濡れで帰るってか」

「黙れや!ほなアンタのその傘譲れや」

「え、そしたら俺が濡れんじゃん!ヤだよ、そんなの」

『なら2人で使えば良い』

「「え?」」

ちょ、何言うとんのーー!?
 え、マジか、こいつマジで言うとんのか?
 あり得へんやろ、だってそれって…

「あぁそうだな。そうしようぜヒメコ」

「はぁぁあ!?アンタバカか!?ホンマアホちゃうの!?」

「えぇ?な、何で?」

な、言わな分からんのかコイツ!

「せ、せやから…」

「??」

「…………………あ、相合い傘って、カップルとかがやるヤツやろ…」

もう、ホンッマに乙女になんちゅーこと言わせてんねんコイツら!
 アカン、やっぱ一度しばいとこか…。

『別に男女の友達でも、やる人は居るんじゃないか?』

アタシは一瞬、何も考えられなくなって、文字通り、頭ん中が真っ白になった。

「そうだぜ、別に気にすることじゃねーだろ」

「そ、そうか」

むー、2人に言われるとそんな気もせえへんことも…ないわな、うん。
 半ば思い込ませるように言い聞かせた。
 どっちみち、濡れるよかマシやから文句は言えへんけども。

「んじゃこれ以上ひどくなる前に帰るか」

「せやな…」

アタシの心臓が、メトロノームでも追いつけへんくらい早くなったんは、絶対気のせいやないと思う…………。