二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【スマブラX小説】The Promise ( No.119 )
日時: 2012/12/21 22:29
名前: SHAKUSYA ◆fnwGhcGHos (ID: 4HUso7p7)
参照: 第四篇/Dichroite Pendant (いつか役に立つ何か)

 「つい先程……会合から帰ってきた、直後に、クレイジーが……私の所へ来た」
 瞬時に、空気が氷の冷たさを硬さを帯びる。
 緊張気味に身構えた私とサムスを真正面から見つめ、喉の奥から汽笛のような細い息を漏らしながら、マスターは今にも死にそうな声で、途切れ途切れに続けた。
 「幸い、フィンが近くに居たからな……辛うじて、プログラムを壊すことなく、退けられたが……右目も、右手も潰された。癒えるまでの暫(しば)しは、戦場に居ても、木偶の棒だ……」
 私は何も言えなかった。しかし、サムスは細めた水色の眼で、マスターを冷ややかに見下ろした。
 「それを言う為だけに、最も優先すべき事項を置き去りにしたと? 貴方もつくづく間の抜けた神だ」
 「は……?」
 マスターは怪訝な顔。
 一方で私は大きく頷く。そうだ、サムスの言うとおりだ、きっと。
 「貴方はこの世界の管理者であり、クレイジーに対抗出来る手段を私達以上に持った存在だ。そんな者が死ねば、この世界は、彼女の居る世界は、一体どうなる? こんな話、誰とて想像を絶する。起きてしまったことを逐一報告する暇があるならば、貴方は一刻も早く、受けた傷を癒すべきだった」
 此処まで言葉は巧くないし鋭くもないが、私も同意見だ。
 私達二人を相手に、マスターが眉根を寄せて反駁する。
 「しかし——」
 「しかし、何だと言う? メンバーにとって恐れるべきは、指揮を取る貴方の死だ。貴方の恐れるべきも貴方の死だ。指揮者のいない楽隊は足並み揃わず、将校無き師団など烏合の衆でしかない」
 何処までも透徹した、修羅場を潜り抜けて来た人特有の正論。マスターの弱腰な屁理屈が入り込む隙間など、剃刀の一枚ほどもない。数度激しく咳き込み、奥歯を噛み締めて右手を押さえたマスターは、サムスの静かで激しい論調に弱弱しく首を横に振った。
 「お前には勝てる気がせんな……」
 「口舌に勝つも負けるもないと思うが。私はドクターを呼んでくる」
 退出するその瞬間まで、バウンティハンターは冷たいまま。
 その彼女に叩きのめされ、すっかり覇気を失って項垂れたマスターの隣に、私はそっと腰掛ける。

To be continued...

此処での創造神様はあまり口が上手いお方ではない設定。
闘えない、口も上手くない、そんでもって脆弱とヘタレ三拍子が揃った神様に、それでもメンバーがついて来るのは、マスターが万物に対してあまりにも優しすぎるから。
「こいつについていけば間違いない」ではなく「こいつは自分達が盾にならないとだめだ」思想です。ダメ神様ですね。

ちなみにサムス姐さんは徹底的に冷静沈着、でもちょっとくらい人間臭い、ツンデレみたいな人という設定です。

だんだんあとがきが長くなってまいりました。