二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 第零章/The Strongest Fighter? ( No.13 )
- 日時: 2012/09/04 10:30
- 名前: SHAKUSYA ◆fnwGhcGHos (ID: x40/.lqv)
- 参照: 第五篇/She is the Strongest Fighter (半径50cmの英雄)
真夏の空気が、ひどく冷たい。
眠気に耐えられず寝ていた人も、その冷え冷えとした空気に、何事かと眼を覚まし、冷気を肌に感じてマスターの方を向いた。全員が緊張の面持ち。私は無論初めてだが、メンバーにも初めてのことなのだろう。
彼は、怒っているのだ。キレていると言ったって過言じゃない。
「まず、皆が疑問を呈した『こちら』と『あちら』とは何なのか。——にわかには信じがたいかもしれないが、我々の居る『こちら』は、簡単に言えばゲーム中の登場人物が住む世界。『あちら』は、ゲームを遊ぶプレイヤーの世界だ。つまり彼女はゲームのプレイヤー、彼女からすれば、私達はただのイメージだった」
組んだ手に、震えるほどの力が篭っている。声もまた、行き場の無い激情に震えていた。
無論、信じてくれと言われたって信じられない話だ。誰も彼もがマスターの言うことに首をひねったが、聞きかえす人は誰一人としていなかった。
その代わり、黙って私を見た。
けどそんなに見られたって、私には『あっち』から来たなんてことを証明するものは何もない。手に握っていたはずのコントローラーは、何処かに落としてしまっている。しいて言えば私自身はただのゲーム馬鹿で、スマッシュブラザーズのくせに闘えないことが証明代わりになりそうだけれど、そんなの周りに幾らでもいるし。
「私達は、一部を除けば一言たりとも自己紹介などしていない。にもかかわらず、彼女は我々の名を知っている。それが、彼女が『あちら』から来た証明だ。『あちら』では我々の情報など簡単に分かるからな」
低く煮え立ったマスターの言葉に、ファルコが納得の表情で顎に手を当てる。
「そう言や、初対面でランバルディって呼ばれたな……なるほど、それのせいか」
「しかし、試合の観戦者って可能性もなきにしもあらずだ。むしろそっちの方がある」
ファルコを相棒とする遊撃隊隊長、フォックスの鋭い指摘。それを、ファルコが真顔で否定する。
「試合じゃ下の名前までは言わねぇ」
「……ああ」
一応二人は納得した模様。が、他のメンバーからはまだまだ信用のない顔。
このままジト眼に晒され続けるのもイヤだったので、私は思いつく次第、スマブラメンバーを呼んでいく。
「あなたはルカリオ、ネスにリュカ、ピカチュー、ピチュー、プリン、カービィ。さっき紹介を頂いたアイスクライマーの二人。ゼルダ姫にピーチ姫、パジャマに甲冑はマルス王子とアイク団長、それからメタナイト郷、隣でクッキーほお張ってるのはデデデ大王。眠そうな顔してるのはリンクと、それからロイかな。それにクッパ大魔王、ガノンドロフ、ファルコン隊長。遊撃隊のフォックス、ファルコ、ウルフ。約一名、リビングの隅っこでダンボールに篭ってるのはスネーク。ヨットゥ、いやヨッシーとサムスは台所? 山盛りクッキーにあんまり興味なさそうなのはドンキーにディディー。何か臭いのはワリオのですか。それからピクミンだけテーブルの上にいるけど、オリマーのほうは何処でしょう。あ、ゲームアンドウォッチにはさっき手伝ってもらいました。そこで翼を弄ってるのはピット親衛隊長。あら、ロボットとかポケモントレーナーとかミュウツーが居ませんね。ソニックは叩き起こされたついで、走りにでも行ってますか。それから、マリオとルイージにはいつも乱闘でお世話になってます。マスターハンドさんにはさっき助けてもらいました。——そうだ、クレイジーハンドさんはいずこに?」
四十人余名を全員呼ぶのは、結構大変だ。でも、これで証明になったか。
顔を見合わせ、或いは怪訝そうに、或いは不思議そうに私を見る大多数の中、ガノンドロフだけは憮然とした表情で腕を組んでいた。呼び捨てで呼んだことが気に入らなかったのございますか魔王様。
「認めざるを得まい。こやつは我等と違う世界に居たと」
なんだ、認めたくなかっただけか。
魔王が上げたつるの一声で、他の皆もしぶしぶといった感じながら承知してくれた。まだまだ疑問の視線は痛いけれども、それの半減した効果は大きい。ほっと安堵の溜息一つ。
To be continued...
ガノンドロフさん、ようやくまともに登場。重量級組がほとんどしゃべってない(;´・ω・)
ちなみに、小夜子の挙げたメンバーが今回出る方々全員。
多分この小説中で一番長いセリフ……。