二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【スマブラX小説】The Promise ( No.7 )
- 日時: 2012/08/28 22:10
- 名前: SHAKUSYA ◆fnwGhcGHos (ID: x40/.lqv)
- 参照: 第三篇/In the Kitchen/With Children(台所にて。子供勢と共に。)
玄関からすぐの両壁に、階段が一つずつ。そしてすぐ目の前は、なぜかもう扉になっていた。予想通り、一階はほとんどリビングと台所で占領されているらしい。後がつかえているとマスターに促され、私はおじゃまします、と一言上げて、恐る恐るドアを手前に引いてみる。
「うわぁ」
中は灯りを絞っているために薄暗く、そしてとんでもなく広かった。 六畳半の部屋が二十は軽く入るくらいある。食卓も兼ねているのか、最奥の台所付近にはどっしりしたテーブルと椅子がずらり。南に面した大きな採光窓の近くには、七十二型どころの騒ぎでないほどの巨大な薄型テレビが据え置かれている。
テレビの近くにはソファの類もあるし、中々上品なガラスのテーブルもある。それ以外にも結構調度は多めに置いてあるが、部屋がとんでもなく広い所為か、全体的には結構がらんとした雰囲気だ。冬は少し肌寒い感もあるかもしれないが、住み易さで言えば、モノで溢れている私の狭い住居と比べ物にならない。
「何もないんでびっくりしたろう?」
すこし呆れたようなマスターの声に、私は首を横に振る。
「いや、あんまり広すぎて……」
「嗚呼、確かに。あちらでは旧時代の宮殿にでも入らない限り、こんなに広い空間はないだろうからな。しかし知っての通り、彼等は全員で四十人を越えている。クッパだのガノンドロフだのと言った図体がでかいのも多いから、全員ここに入ると案外狭いものさ」
「へぇ」
手元にへぇボタンがあったら間違いなく二十へぇを出す自信がある。なくていい。
ついと背を押され、入り口で立ち往生していた私は中に一歩足を踏み入れた。フローリングの床はこれでもかと言うほど磨き上げられて、大きな窓から届く星の光までも、微かに映している。薄暗いだけに幻想的な雰囲気だ。いっそしばらく見惚れていたかったけれど、そういうワケにはいかない。
続けて二歩、三歩と入り、促されるままに中へ足を進める。そしてそのまま台所付近の席に直行させられ、一番台所に近い、他よりもちょっとだけ上等な椅子に私は座らされた。引かれた座布団のふかふかさが、あのとき抜けた腰にいい感じ。きっとマスターの席だ。
「皆は席に。王侯貴族諸君、お茶でも淹れてやってくれ」
マスターは立って皆に指示を飛ばしている。ふと見ると、額に脂汗がにじんでいた。さっき私を受け止めたときにぶつけた背中が痛むのか。かなり無理して堪えているのが素人の目にも丸分かりだ。そして、私はそんな人を見てみぬフリが出来るほど冷酷な女じゃない。
「あたし大丈夫です。マスターさんは座っててください」
「え? いや、しかし君は」
「大丈夫ですから」
どう見ても疲れ果てた顔で断ろうとするのを遮り、私は席を立つ。メンバーの大半がすこし不思議そうな、一部の人はどこか感心したような眼で私を見たけど、気にしない。ふらっ、と一瞬よろめきかけた身体を掴んで引き留め、私は彼を少し強引に座らせた。
To be continued...
スマブラ屋敷、潜入。
王侯貴族諸君は女性陣とエムブレム組の総称です。