二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【スマブラX小説】The Promise ( No.85 )
日時: 2012/11/08 01:08
名前: SHAKUSYA ◆fnwGhcGHos (ID: ptFz04.o)
参照: 第一篇/Serious mood (朝早くからムードブレイカー)

 「実はなぁ」
 朝の清々しい空気に似合わない、気まずさと重苦しさの混じる静寂を破ったのは、既に食べ終わったバナナを手にするネクタイゴリラ、もといドンキーコングの清々しいまでに明るい声。何故この真面目な話に彼なのかは正直疑問に思いつつも、言葉は紡がず耳を傾ける。
 軽薄な声は朝だからか音量控えめだが、不思議とよく通った。
 「おれ達にもよく分かんねーのよ、その辺の事情。最古参の奴らがマスターに何度も何度も尋ねたんだが、あいつ頑として答えちゃくんねぇ。だが大事な理由だってこた分かる。……って、なーんか信用してねーなぁその顔は。それじゃ一つ、あんた、弓の字見ただろ。それにドクターから宿屋角の噂も聞いてるだろ」
 ドンキーコング、以下ドンキーはびしっと私を指差し断言する。何で知ってるんだこのゴリラ野郎。
 「弓の字って、“LONERY”? ドクターから噂も聞いたけど」
 ロンリー。英単語的に取るなら、孤独と言う意味だ。それ以外の意味は分からないのだが。
 「そー、それそれそれ。あいつの噂によりゃ、宿屋の角で歌ってる奴の名前、それらしい。おれにゃあ意味はさっぱりだが、あんたなら分かるんじゃねーの? まっ、おれが知ってるウラ事情みてーなのはこのくらいだ。後は他の奴に聞くなり自分で調べるなりしてくれ。じゃーなっ」
 言うなりドンキーはくるりと踵を返し、ドシドシと重い足音を立てながら台所を出て行く。何でドンキーがいきなり横槍を入れたのかは不明と言うことにしておいて、とりあえず私は別のことをリンクにぶつけてみた。
 「ドクターってホントに地獄耳ですよね」
 「あの人は街中の掲示板のような人ですからね……この世界に流れる噂の七割は耳に入っていると思っていいでしょう。まあ、メンバーの中で一番遠くまで、しかも長く出かける人ですから。好奇心も凄いですし」
 つまり、言った先々の噂話を何でも耳に入れてくると。リンクの声も呆れ気味。
 けれど、雑多で分類もしにくいはずのそれらを全部、しかもかなりの精度で記憶出来るドクターもドクターだ。流石に、三メートルの書棚十架と床上の医学書、総計数千冊を全部読みこなすだけのことはある。
 ……この世界では超人が超人たるだけに飽き足らず、常人さえも超人なのか。
 何だか色々萎えそうになったが、ヨッシーがサーターアンダギーに掛かりきりなので、自分の持ち場を離れるわけにはいかない。何故『こっち』に『あっち』の、しかも沖縄地方の食い物があるのかはあまり気にしないことにして、私はより一層力を込めて生地を混ぜた。

To be continued...

地味にドンキーが初登場。何気に知識ゴリラ(?)です。
相棒ディディーの登場はもうちょっと先。

次篇からが本当の波乱万丈。