二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【スマブラX小説】The Promise ( No.88 )
- 日時: 2012/11/11 17:36
- 名前: SHAKUSYA ◆fnwGhcGHos (ID: ptFz04.o)
- 参照: 第二篇/Silent Saneness (狂者は嗤い乍ら泣き喚く)
さて。
大分深いところまで潜ったが、小さい頃に鍛えた甲斐あって、息はまだまだ余裕だ。
湖底は遠浅だが、普通の湖に比べると深い。ならば自分の限界までと潜ろうとして、私はふと見た遠くの方に、白いものが引っかかっているのを見つけた。湖底に繁茂した水草のせいで見辛いが、眼を細め、動きを最小限にとどめて、全神経を視力に費やして、見つめる。
水草に絡め取られ、湖底で浮き沈みを繰り返す、それは——
人。
「!」
迷う暇も、驚く間もない。
脳内会議は満場一致、「助けろ」と指令を下す。その前に一度息を補充してから、再び素潜り開始。さっきよりも速く、さっきよりも深く、僅かにある水流に逆らって泳ぐ。魚の群れはちょうどよく私の前に道を開けてくれていた。が、何分距離が遠すぎる。
……まだ大丈夫。まだ続く。大丈夫。
悲鳴を上げ始めた肺にそう言い聞かせ、より強く水の間をすり抜け、掴みどころのない壁を蹴って、私はようやくその人の近くまで近づいた。
見る限り意識はない。そして、こんな所で暴れ回ったのだろうか、四肢に水草が不自然なほど絡みついている。水草はちょっと引っ張ればすぐ千切れる脆いものだが、それを解く力もなかったのか。
とにかく、色々考えていても仕方がない。二分近く潜って息も限界だ。
私は最後の息を使って、長々と絡まっている水草を片っ端から引きちぎり、八割方どうにかしたところで浮上。息を素早く整えてからもう一度潜り、残りを千切る。
ぐったりした腕を掴み、水を蹴りつけて、水面を目指した。人とはこれほど重いものか、そう思わず驚嘆してしまうほどの重みが、腕にかかる。思わず放り出したくなるほどだが、そんなこと言っていられない。再び弱音を吐き始めた本能を宥め賺し、腕を掴む手に一層の力を込めて、水を掻き分ける。
——そろそろ水面に近づく。
そう思って渾身の力を込めかけた、その時。
「……っ!?」
腕が、私を引っ張った。
迷う間、驚く暇などない。私が目を白黒させている間に、助けようとしていたはずの人物は私を水面まで引っ張り挙げ、しかも湖畔まで猛然と泳ぎ始めた。一方で私は状況についていけず、こんな所で問いただすわけにもいかず、ただ顔が水に沈まないようにして、されるがまま。
To be continued...
もうここまで来たら分かって欲しいってもんです。