二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

 薬指  ( 黒ばす長篇 ) ( No.61 )
日時: 2012/12/04 17:32
名前: 兎欠 (ID: vj3b3W/M)
参照: http://nanos.jp/zotbox77/

02. dolce




「指輪をつけているということの大切さが分かっていないようだね、小春。」

「ち、違いますよ誤解です。急いでたから・・・!」



机に置かれているシルバーリングを右手の薬指へとはめる。
征十郎さんはその手を握りしめて唇まで持っていくと軽いキスをした。






何かの本で読んだことがある


薬指にするキスは、[永久に愛する]という意味があるのだと。



いま、彼は私の薬指に、指輪にキスをしたのだ。
それはつまり。



「小春、右手の薬指。その意味が君にはわかるかい?」

「え?」




期待はいつだって外れない。

征十郎さんは私が欲しい言葉をいつもくれた。
だから、今だってそう


オッドアイの瞳をそらさずに見つめられるのは、次の言葉が素敵なものだと予想して




「僕は君を愛している。未来なんて先の話は嫌いだ。君は僕と婚約する」


する、なんて強引な言葉でさえ嬉しくて仕方がない。


断りなどできないし、するわけがないです。




「私も征十郎さんがすきですよ」




微笑むあなたの顔も、
少しだけ怖いあなたの言葉も、
バスケが大好きなあなたの姿も。



ぎゅう、と抱きしめられる暖かさに未来を感じて目をつむった——。





     (  小春、少し成長したみたいだね。  )
     (  なにがですか?  )
     (  胸が  )
     (  征十郎さんのバカああああ!!!  )


     dolce (伊)【甘く柔らかに】