二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去 ( No.10 )
- 日時: 2012/10/09 23:21
- 名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)
2時間後、Cブロックの予選が終わった。
時間は夜11時になっていたので、決勝が行われるのは深夜2時からの予定だ。
「Cブロック予選決勝を勝ち抜いたのは、山野バンチーム!!」
ワァァァァ--------------------と歓声がどよめく。
流石はアルテミスに出場しているだけあって、豊富な経験を持つ実力派。
「予選突破しましたね!」
「ああ、そうだな」
Cブロックを制したのは、山野バンチーム。
その激闘を終えて、LBXバトルスペースから戻ってきた。
「お待たせー」
激闘を終えたかと思えば、椅子に座りながらも酒を飲む。
それでも、LBXバトルを楽しむことには変わらない。
「バン、酒を飲み過ぎないようにね」
「分かってるって! 決勝が深夜2時からだろ?」
酒を煽りながら、ゆっくり飲んでいる俺はテレビモニターを見つめる。
Dブロックの予選が始まり、1時半頃には終わるとのこと。
(うわぁ・・・・・・・流石に飲み過ぎたらヤバいかもな)
ヒロは楽しそうに酒を飲みまくりながら、陽気になって喋り捲っている。
代表として出るのは、俺になりそうだと思いながら考えた。
「ヒロのヤツ、あんなに飲んで大丈夫かしら?」
「さあな、酔い潰れたらおかしくないしな」
ハルがヒロの様子を見かねて言い出したことにも変わらないのに、飲み過ぎは良くない。
それでも、思いっきり楽しもうという気持ちを忘れたくなかったのだろう。
「でも、バンだって・・・・・・去年は飲みまくってたじゃない」
「うっ・・・・・・」
彼女に突っ込まれ、顔をしかめる。
確かに去年は酒を飲みまくって、たまには酔っ払って帰ることもあった。
俺が酔っ払って帰るときに、ハルと出くわしたこともあったから遊びに行っては寝てしまったことも何度かあったなーと思い出して苦笑するしかない。
「そりゃあ、飲み会に誘われることが何度かあったからな」
「でも、今日はそんな気分になれないの?」
ハルは苦笑しつつも、俺のお猪口に酒を注いでくれた。
彼女を見て、礼を言った後にゆっくり飲んだ。
「バン、飲み過ぎたら寝ちゃうでしょ?」
「まあな・・・・・・」
居酒屋の雰囲気は個人的に好きなので、そんなに嫌いなわけじゃない。
それなりに飲みまくったらいけないということで、自重するしかないのである。
「ヒロ、飲みまくると寝ちまうぞ?」
「大丈夫ですよ、バンさん! 僕は酔わない性質ですから!!」
酔わないねぇ・・・・・・そんなタイプに見えないと思うが。
それなりに飲みまくるって言うことは酒豪としか言いようがない。
流石にヒロを見たら、あれだけ飲みまくるって言うのはどうなのか。
「その証拠に頬が赤くなってるよ」
「平気ですよー僕だって、飲むこと自体は好きです!!」
「あ、そうなんだ・・・・・・」
ヒロのヤツ、あんなに飲んで大丈夫なのかと思いながら見守る。
ハルも同感していたらしく、ナオは慣れているから大丈夫だといって聞かない。
「ヒロは自力で帰れるみたいだから平気ですよ」
「だからって、飲み過ぎないようにして注意させるのが幼馴染の役目だろ?」
「そうなんですよね。あいつに言っても、『大丈夫だ』の一点張りですからね」
そうやって強がりながら、孤独との戦いを演じてきたヒロの様子が分かった。
その寂しさを紛らわそうと思ったのか、酒を飲んで帰ることだけ覚えたのだろう。
ヒロなりに考えて、酒を飲みながら生きることを実感するしかなかったかもしれない。
それは俺も同じだった・・・ハルが心配して迎えに来てくれたこともあったし、時には飲みに付き合ってくれたりして悩みを聞いてもらった。
(ハルがいたから、今の俺がいるんだ)
酒を飲まなければ良い人だということを認識させるためには、幼馴染として接する機会を設けるしかない。
彼女は暇な時があれば、飲みに付き合うことで俺の話を聞いてくれた。
「バン、どうしたの?」
俺の様子に気付いて見かねたのか、ハルに話しかけられた。
俺は別に何でもないと言って、物思いに耽った。
(毎晩、酒に溺れて寝ていた日々を思い出すなぁ)
去年はそんなに飲みまくっていたかと思うと、ハルに何度も心配かけられたことか。
そんなことを気にすることもなく、友達に誘われて飲みに行っては夜遅くまで遊びまくる毎日を送っていた。
(時には、ハルの家に行って寝泊りしたりして遊んだこともあったな)
酔っ払って帰る時、ハルの家に何度か遊びに行ったことがあった。
彼女の部屋のベッドに横たわって、すぐに寝てしまうこともあったけど・・・・・・ハルは溜息をついて、何度も俺を起こしてはソファベットに連れて寝かせてくれる。
(ハルのベッドにダイブしたとき、何度か咎められたことがあったな)
おまけにそのまま寝てしまい、なかなか起きない俺を気遣って毛布をかけてくれた。
そのおかげで風邪を引かなかったが、たまに2日酔いになることもあった。
(まあ、どうにかなる問題じゃないな)
ヒロのことは気にかけていたが、たまに調子に乗ってしまうことがあったから心配している。
後輩なので、飲むことを強制しないつもりでいるが・・・・・・何かあったら困ると思うので、少しずつゆっくり飲むことにした。
やがて、時間が経ち--------------------------
深夜1時になった頃には、既に酔い潰れて寝てしまった。
その時、テレビモニターのアナウンスが聞こえてきた。
「Dブロックを制したのは、奈良雄図チーム!」
眠そうに目を開け、顔を上げた俺はテレビを見た。
奈良雄図って・・・・・・あれ、警視庁の捜査一課で働いている警部だ。
「奈良ァ・・・・・・?」
舟を漕ぎながら、ウトウトする俺の様子を見ていたハルは心配そうに顔を覗き込んでいた。
「バン、飲み過ぎたね」
「ああ、ちょっとな・・・・・・・」
眠そうに目を擦りながら、上半身を起こす。
隣に座っていたヒロは既に爆睡中。しかも突っ伏して寝ている。
「あれ、ヒロもいつの間にか寝てたのか」
「そうみたいです。あれほど飲み過ぎるなって言ったのに・・・まったく、もう!!」
プーッと頬を膨らませながら怒るナオを見て、苦笑するしかなかった。
立向居・ハヅキ・直紀は酒に強い方なので、少しくらいなら酔わないタイプだ。
「バンとヒロが寝てるから、起こすのどうかなーって」
「なんだ、そりゃ」
直紀の言葉を聞いて、思わず苦笑する。
そういえば、この後に決勝戦が始まることを思い出す。
「そろそろ決めないといけないか」
「そうだね、ヒロを起こしちゃおうか」
爆睡しているヒロの肩を揺らして起こす。
「おい、ヒロ・・・・・・起きろ、代表を決めるぞ」
「・・・んー・・・・・・・」
ヒロは目を閉じたまま、眠そうに身じろいだ後に目を覚ます。
寝惚けているのか、俺を見る目はまるで虚ろな感じになっていた。
「ヒロ、目を覚ませ」
「・・・んぅ・・・・・・バンさぁん・・・・・・」
突っ伏したまま、眠そうに見つめる眼差しが俺を捉える。
捉えたかと思いきや、ヒロは目を閉じてしまった。
「おい、ヒロ!?」
「す---------------すか-----------------」
寝息が聞こえてきたので、そのまま寝かすしかない。
その時、ヒロの寝言が聞こえてきた。
「ムニャ、決勝・・・・・・任せておきますぅ・・・・・・・」
意外な言葉を聞いて驚く俺たち。ナオも呆気にとられて見つめてしまうほどになっている。
代表者は俺で良いのかと思いながら、気持ち良さそうに寝ているヒロを見つめた。
「うーん、俺が出るしかなさそうだな」
「そうみたいね、ヒロのことは私たちに任せて行ってきな!!」
ドンッと胸を押して言うハルを見て、コクリと頷く。
決勝で戦う各ブロックの出場者の中で唯一、アルテミス経験者は俺しかいない。
「ああ、決勝は任せろ!!」
ゆっくり立ち上がり、LBXバトルステージに向かう。
(絶対に勝たないといけない)
そこで待ち侘びた決勝では、どんなLBXバトルが展開されるのか?