二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去 ( No.103 )
- 日時: 2012/10/18 00:17
- 名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)
第8章の続き
(ストーリーモード:バン)
少しだけ残っていた酒を一気に飲み干し、レジで勘定を払って済ませた。
店を出た後、ゆっくりと階段を駆け上る。酒を飲み過ぎて、ふらつきながら歩くのはいつものこと。
「飲み過ぎたかなぁ・・・・・・」
ハルたちと会う約束をしているので、飲まずにはいられなかった。
それでも、幼馴染が迎えに来てくれることなんかもあるから起こしてくれるとありがたいくらいだ。
「まぁ、俺も年取ったかな・・・・・・・ハハッ」
ヒックと呻きながら、千鳥足で歩いて思い出す。
ハルに蹴られて起こされたことなんかもあったな、あの時は流石に飲み過ぎてしまったとつくづく思った。
(ハルに起こされたら、ひとたまりもないよなぁ)
幼馴染だからこそ分かる、まさに以心伝心というか。
心が通じ合えるのは確かなことで、幼馴染として認識できるようになったのは高校生になってからだった。
飲み過ぎたのもあるけれど、幼い頃からずっと接してきたからこそ分かることもあるのだ。
「リンのヤツ、何やってんだ」
溜息をつきながら、妹のリンのことが気がかりになった。
歩を進めながら、トキオシティ駅前に向かった俺はさりげなく、寝たい気分になったこともあったのを思い出した。
(そういえば、ベンチで寝てしまったことなんかもあったっけ)
その時はハルが迎えに来てくれて、気持ち良さそうに寝ていた俺を叩き起こしてくれたこともあった。
心配性なのは分かるけど、あれだけ飲み過ぎたら反省しそうになるのは間違いない。
(心配しすぎなんだよ、ハル・・・・・・)
幼馴染の言いたいことは何となく分かったので、待ち合わせ場所のトキオシティ駅前に向かって歩き出した。
数分後、トキオシティ駅前に到着したが・・・・・・シーンと静まり返っていた。
「・・・・・・あれ?」
ここで待ち合わせするんだったよな、まだ来てないのか。
ハルたちはまだ電車に乗っているのだろう。
「なんだよ、来てないんなら待つしかないのかぁ」
彼女たちが来るまでの間、駅前に設置されているベンチに座って待つことにした。
夜空に舞う満月を見上げながら、天を仰いだ。
(ハルたちが来るまで寝ながら待っていようかな)
綺麗な満月を見上げながら、そっと目を閉じた。
少しずつ、意識がまどろんでくる。俺は深い眠りに落ちた。
(少しだけでいいから、寝かしてくれ)
その思いはゆっくりとかき消されていく。
あれから何分くらい経っただろうか、深い眠りに落ちていた俺の肩を優しく起こす。
「----------ン、バンってば!」
「・・・・・・ぅんー・・・・・・・」
眠そうに身じろぎながら、少しずつ意識が戻ってきた。
重そうな瞼を開けるのに時間がかかったが、ようやく視界にボンヤリとハルの姿が映る。
「バン、こんなところで寝てたら風邪引くって!」
「・・・・・・ハルゥー・・・・・・いつ来たんだ?」
寝惚けながら、ハルを見て眠そうに目を擦りながら言う俺。
そんな俺の様子を見て呆れていたが、ハルは苦笑しながら応えてくれた。
「さっき、やっと着いたんだよ。周りを見回したら、ベンチで寝てるんだもん」
「そうかぁー」
寝惚け気味にハルの姿を捉えながら、隣にいる青年を見た。
そこにいたのは、秒殺の皇帝・海道ジンだった。
「ジンも来てたんだな」
「うん、久しぶりだね。バン君、酒を飲んでいたのかい?」
「ああ、そこの近くにある居酒屋で飲んでた。そういえば、俺に何か用?」
居酒屋で飲んでたことを思い出しながら、ハルたちに用件を聞く。
ハルとジンは顔を見合わせながら、何を話そうか悩んでいる様子だった。
訝しげに見て、これは何かありそうだと確信した。
「リンのことで話があってきたんじゃないのかぁ?」
「うん、そのことで来たんだけど・・・・・・」
ハルは『えっとぉ・・・・・・』って言いながら、ちょっと困ったような顔をして溜息をついた。
彼女の様子を見る限り、何かあったことは確かなようだ。
「リンがどうかしたのかぁ?」
「うん・・・・・・8時か8時半頃、ジンと一緒に空手部のところに行こうと思ってたんだ。その時にミソラ学園高校の正門前でリンと優ちゃんが何やら話しこんでたのを見かけたよ」
ハルの話によると、高校の空手部に遊びに行こうと思っていたところだったという。
そこで、正門前で話していたリンと優の2人を目撃して話し込んでいるところに割り込んだそうだ。
「それまでは良かったんだけど、隙を突かれて抜け出されたんだ」
ジンがハルに続いて、話を進めてくれた。
リンと優の様子がおかしかったので、話しかけてみようかと思っていたときに抜け出したらしいのだ。
「隙を突かれたって・・・・・・どういうことだよ?」
「それが、私もまったく分かんないのよォー」
ハルは肩を竦めながら、何かありそうだと言い出す。
彼女の様子を見て、話を聞いていたジンもコクリと頷く。
「僕もちょっと引っかかってね、どこかに行く可能性も有り得るんじゃないか」
ジンの言葉を聞いて、去年の記憶を思い出しながら探った。
確か、直太が悪ガキ軍団と一緒に廃墟ホテル探検しに行ったことがあったのを思い出す。
(確か、直太が廃墟ホテル探検しに行ったことがあったな)
そういえば、あの日も夜中だった・・・・・・この状況は間違いなく、どこかに出かける可能性があったはずだ。
そう考えれば、リンの行く場所は廃墟ビルの可能性も有り得ることになるのだ。
「ジン、ハル・・・・・・もしかして、夜遊びしに行く可能性もあるんじゃないかぁ?」
「夜遊び・・・・・・あっ、もしかして-----------------」
ハルは俺の言いたいことが何となく分かったようで、リンが何をしでかすか理解できた。
「夜の探検!?」
「ああ、好奇心旺盛なところが優ちゃんの性格だからな。その性格を生かさないことには、気がすまないかもしれないと思って行ったんじゃないのかぁ?」
同級生の望月幸介なら、優のことで何か知っていそうな気がする。
優はリンの同級生であり、空手部のチームメイトに当たる。
ハルもそのことを知っていたので、2人とは面識があった。
「そ、それもあり得るね・・・・・・」
「だとしたら、リンは廃墟ビルかもしれないしなぁ」
そう言いながら、頬を掻いていたその時だった。
ズボンのポケットに入っているCCMの着信音が鳴った。
『プルルル・・・・・・・』
左手でCCMを取り出しながら、テレビ電話を通した。
画面に現れたのは、優の兄・望月幸介だった。
『バン、優のこと知らないか?』
「ううん、見てないけど・・・・・・もしかして帰ってないのかぁ?」
『ああ、帰ってないよ。リンちゃんと一緒にどっか行ったかもしれないんだ』
望月の言葉を聞いて、ハルを見やる。
やっぱり、どこかに行った可能性が高い。
「やっぱりなぁ・・・・・・おい、望月」
『なんだよ?』
「優ちゃんと何か話さなかったか?」
望月のことだから、優と話していることも有り得る。
そう考えれば、行き先が分かるかもしれないと思ったからだ。
『ああ、そういえば・・・・・・3、2日前あたりに話したな』
「その時、なんて言ったか分かるか?」
『確か、廃墟ビルに行くとか言ってたな・・・・・・』
廃墟ビルに行ったかもしれないということか。
やっぱり、リンは間違いなく廃墟ビルに行ったことになる。
優の提案に乗せられて行ったということは有り得ないかもしれない。
「どこの廃墟ビルに行ったか分かるか?」
『ええと、トキオシティの裏通りにあるって言ってたな』
トキオシティって・・・・・・・今、俺らがいるところじゃないか!
その裏通りに廃墟ビルが存在していようとは思っていなかった。