二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去 ( No.111 )
日時: 2012/10/13 17:38
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)

短編1の続き(ハル視点)

私服に着替え終えたのと同時に出かける用意をして、1階の玄関に駆け下りる。
その時、母さんが居間から出てきた。

「あら、これからどこ行くの?」
「シブヤタウンまで行ってくるわ。バンを迎えに行かないといけないからさ」
「そう、気をつけていってらっしゃい」
「うん、行ってきます!」

母さんに手を振りながら、自宅を出た。
ガレージに止めてある1台の車に乗り、シートベルトを閉める。
いつも入れているヘッドマイクを取り出し、頭につけた。

(これがあるから、バンと連絡が取れるんだけどな)

世の中はまったく、便利なものが増えている。
ヘッドマイクもその1つだが、バイトで貯めて買ったものだ。
バンたちと連絡を取り合えるようにしたので、いつでも車を出せるようになっていたからだ。

「それじゃあ、出発しますか!」

車のキーを入れ、エンジンをかける。
ブロロロ・・・・・・・という大きな音がけたたましく聞こえた。
車を発進させて、私はシブヤタウンに向かうことにした。

「バン、聞こえる!?」

ヘッドマイクで声をかけても応答せず。
その様子だと寝ている可能性が高いから、着いたら起こすしかない。
バンのことだ、飲みに行くのは良いけど・・・・・・私の身にもなってほしいよね!!

「ったく、あのバカ・・・・・・本当に何してんだか、困らせないでよ」

溜息をつきながら、ゆっくり運転していく。
私も車に乗ることが多いので、バンを迎えに行く時とかはシブヤタウン駅前の駐車場に止めている。

(バンのことが心配だからな・・・・・・飲み過ぎはよくないこと分かってて、それを承知で飲んでいるかもしれないけどさ)

幼馴染だからこそ分かることもあるし、飲み過ぎたら困るっていうのもある。
せめて電話に出ることくらい、本当に自覚してほしい。

(着いたら、徒歩で探すしかないな)



しばらくして、やっとの思いでシブヤタウンに到着した。
シブヤタウン駅前の駐車場に止めて探すことにする。

「ここに来たのは良いけどさ、あいつがどこにいるかも分からないままじゃあねぇ・・・・・」

そう言って顔を顰めながら、溜息をついた。
バンのヤツ、どっかで寝ちゃっていることも有り得るだろうな。
着いたって言っても、そこまで辿り着くかも分からないままだ。

「とりあえず、片っ端から探し出すか!!」

服の裾をまくって、本気モードに突入する。
幼馴染だから放っておけないというのもあるので、街中を探検しながらも人探しのつもりで捜索しながら歩いていく。

「うーん、駅の裏側にいるのかな?」

北口付近はどこにもいなさそうだから、南口のどこかにいるはずだ。
とりあえず、階段を上りながら南口に向かって走り出した。
数分後、南口を出た頃には真っ暗闇になっていたので、キョロキョロと辺りを見回す。

「うーん・・・・・・どこにいるんだろ、バンのヤツ」

そう思いながら、南口周辺の商店街を歩いていた。
その時、高架下の居酒屋のようなお店の扉が開いていることに気付く。

「ん?」

そこにいたおばあさんと目を合わせた。
とりあえず、この人に聞いてみようかなって思いながら考え込んでいたその時だった。

「あっ、あれは・・・・・・」

道の端っこで寝ている幼馴染の姿を発見した。
バンのヤツ、気持ち良さそうに寝ている。しかも仰向けに寝転がっているし、爆睡しているのだろう。

「バンッ!」

バンのところに歩み寄り、視線を合わせるようにしてしゃがみこむ。
肩を優しく揺らしながら叩いて起こす。

「バン、起きてよ!」
「・・・ぅ・・・んー・・・・・・・」

眠そうな声がしたかと思えば、また寝息を立て始めた。
何となく眠いのは分かるけど、いい加減にして起きてもらわないと困る。

「いつまで寝てんの、起きて!!」
「んぁ・・・・・・?」

ハッとして目を覚ますバン。
目の前に私がいることに気付いて驚く。

「ハル・・・・・・何でここに?」

何が起こっているのか分からないというような顔をしている。
そりゃ、私がここまで迎えに来たなんて想像していなかったかもしれない。
見つけたら、ただじゃすまないということでぶん殴ってやろうかという野望を抱いて実行しようとしたその時。

「あんた、奥さん?」

振り返ると、さっきの居酒屋にいたおばあさんだった。
私はおばあさんに言いながら、バンを見て言う。

「いえ、奥さんではないです。こいつの幼馴染なんですけど」
「幼馴染だったのかい、この人は1時間か1時間半くらい寝てたよ」

バンを見て言いながら呟くおばあさん。
こいつ、1時間or1時間半も寝てたんかい!!
どうりで、何度も電話して繋がらなかったのはそういうことだったのか。

「私は見てたんだけど、もう眠たいから声をかけようと思ったところだったのよ。そしたら、あんたが通ってね・・・・・・もしかしたら、『あ、この人は知り合いだー』って思って、声をかけてみたのよ」

おばあさんの話を聞く限り、私がバンの友達だと分かったらしい。
それで、私に声をかけてくれたのだろう。

「そうなんですか? 見ててくださったんですか、ありがとうございます!」
「若い人かな、そこの物陰からずっと見てたから見張ってたんだよ」
「ええ、そうだったんですか! すみません、ありがとうございます!」
「多分、荷物を狙ってたんだと思うわ。私が外に出て見てたら、そのうち、どっかに行ったけどな」
「うわぁー! そうなんですか、怖いなぁ・・・・・・でも、おかげで助かりました。ありがとうございます」
「良いのよ、たいしたことにならなくて済んだから良かったよ」
「本当に申し訳ないです。ありがとうございます」

こんなやりとりをしながら、おばあさんと話していたその時。
寝惚け顔で起き上がって、座り込むバン。

「何の話してんだよー」

バンはヒックと呻きながら、飲み過ぎたことを自覚しているのかどうかも分からない。
そんな彼の様子を見ていたおばあさんがバンのCCMを見ながら質問してきた。

「あんた、寝る前に電話してたでしょ。あんなに酔っ払っているのに、電話できるものなのかい? 携帯というものを知らないけど、あんな簡単にできるんだ?」

おばあさんの話を聞きながら、左手でCCMを握っていたバンは眠そうに見上げて応える。

「それができるんですよォ〜、なぁ?」
「この方が荷物を見ててくださったから、荷物をとられなくて済んだんだよ!」
「そうかぁ〜」
「そうだよ、ちゃんとお礼を言いなさい!」

バンは私の話を聞いてるのか、聞いていないのかも分からない状態で眠そうに応えながら、面倒くさそうに見つめる。
この酔っ払い、本当に分かってんのかねぇ・・・・・・腕を組みながら溜息をついた。

「ありがと、ございます」
「ふざけんな、この・・・・・・」

バンの様子を見て、だらしない姿になっているこの有様。
ブチッとキレた。その怒りが爆発したのは言うまでもない。

「しっかりしなさい!」
「そうだよ、しっかりして!!」
「なめない方が良いと思うよ」
「そ・・・そうだよ! なめんなよー!!」
「とっとと帰らんかい!!」
「そうだよ、そうした方が良いって!!」

私とおばあさんの怒りを含めた説教が始まった。
その様子を見たバンは私とおばあさんを交互に眺めながら、困惑気味に戸惑う。

「なんか、凄く怒られてるんですけどォ〜・・・・・・」
「当たり前でしょ! この・・・・・・」

この後もさんざん、2人でバンに文句を言いながら説教した。