二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去 ( No.130 )
- 日時: 2012/10/13 19:51
- 名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)
短編1の続き(ハル視点)
その文句を言い切った後、おばあさんにお礼を言って帰った。
シブヤタウン駅の北口まで歩きながら、バンを見つめる。
「あんた、何でこうなったのか分かってる?」
「・・・・・・・んー・・・・・・分かってらぁ、説教なんかしなくて良いのによォー」
バンは顔をしかめながら、私の様子を見て伺う。
頬を膨らませながら、バンを見て顰める。
「どれだけ心配かけたか分かってんの?」
「なんだよ、酔っ払ったくらいで怒るなよ」
どれだけ心配かけたか分かってんのかな、コイツは本当に困ったヤツだ。
バンの酒好きは分かっていたけど、そこまで飲んでいたとは想像していなかった。
飲み過ぎはよくないと分かっていても、酒を飲んで飲まれるなと言いたいくらいだ。
「バン、酒を飲むのは良いけどさぁ・・・・・・」
駐車場までもう少しのところで、足を止める。
バンも首を傾げながら、歩くのを止めて眠そうに見た。
「ハル、その文句なら・・・・・・」
幼馴染の言いたいことが何となく分かっていたので、バンにさりげなく言い放つ。
「続きは私の家で話をしようか?」
それとも車の中で話そうかと言いながら促した。
バンはトロンとした目つきで私を見たが、酒を飲み過ぎたことに対して反省しているのだろうか。
「なあ、ハル・・・・・・」
バンはポケットに手を入れながら呟き始める。
幼馴染だということもあって、長く付き合ってきたからこそ分かる。
何か言いたそうな顔をしているバンを見て、先に歩を進めた。
「話は車の中で聞くから!」
「あっ、ちょっと待てよォー」
いきなり無視する気かと言いながら、私の後を追ってきた。
そんなバンの様子を見て思わず苦笑するしかない。
「慌てなくても良いの、このバカ」
ゴツンと頭を軽く小突いてからかう。
そんなバンの様子を見て、気遣うしかなかったから帰った方が手っ取り早いだろう。
程なくして、駐車場に止めてあった車の前までやってきた。
車の前に立って、鍵を開けた私は運転席に乗った。
「ほら、バンは助手席に座って」
「あっ、ああ・・・・・・」
バンは素直に助手席のドアを開けて、中に入る。
バタンとドアが閉まったのと同時にシートベルトをつけた。
「じゃあ、ミソラタウンに帰るよ!」
そう言った後、車のキーを入れてエンジンを発動させた。
すると、ブロロロ・・・・・・という大きな音が聞こえ、同時にアクセルを踏む。
「よっと、出口まで行かなきゃね」
ブオーッと車を動かし、ハンドルを握ったまま運転していく。
出口でカードを入れ、お金を支払った後に駐車場を出た。
「まったく、飲み過ぎなんだから・・・・・・」
困ったヤツだと言いかけた瞬間、助手席に座っているバンは夢うつに入っているのか眠りこけていた。
その様子を見る限り、酒を飲んでいた影響もあってか疲れ切っていたのだろう。
「ムニャムニャ・・・・・・ハルゥ・・・・・・・ムニャ・・・・・・」
寝言を言いながら、夢の中に入っているバンの姿を見て笑う。
気持ち良さそうに爆睡しながら寝ている様子を見ていると、自然に笑みがこぼれる。
「しょうがないなぁ・・・・・・まったく、もう」
春休みだというのに、飲み過ぎはよくないことを分かってほしい。
いい加減にしてほしいというのもあるけれど、文句を言うのはそれからだ。
「帰ったら、その時に起こすか」
バンに何の罰を与えようかと思いながら考え込んでいた時、あることを閃いた。
(そうだ、バンにどこで飲んだかっていうのを聞かなきゃな)
バンに話を聞いて、それから寝るとしようか。
しかし、頭の中はバンを説教するか、文句を言うことについて精一杯だった。
「手間のかかる幼馴染を連れて帰るのもどうだかなぁ・・・・・・」
気持ち良さそうに寝ているバンの姿を見て、溜息をついた。
しばらくして、ミソラタウンに到着した。
住宅街にある私の自宅前で車を止める。
「バン、着いたから起きて」
「んー・・・・・にゃ・・・・・?」
バンは寝惚けているのか、ボンヤリとした視界に私の姿が映った。
ようやく、視界が開けてきたようで私の家の前だと気付く。
「あーおまえんちだっけ、降りるわ」
「うん、その間に車を入れてくるから玄関前で待ってて」
「ああ、分かったよ・・・・・・」
眠そうにシートベルトを外して、バンは助手席のドアを開けて出る。
そんな彼の背後を見送った後、私はガレージに車を入れてきた。
「よし、大丈夫だろっ」
運転席のドアから出て、車の鍵を閉める。
玄関前で待っているであろう、バンのところへと向かった。
「・・・・・・あれ?」
バンは突っ立ったまま、うとうとしていた。
私が戻ってくるまでの間は座らないで待っていてくれたのだろう。
「まったく・・・・・・」
とりあえず、バンの肩を叩いて起こした。
「バン、起きて、家の鍵を開けるから」
「んー・・・・・・ああ、分かったよ・・・・・・」
退かしてくれたのか、家のドアの鍵付近に立っていた。
そんなバンの様子がおかしくて笑えたのもあったけど、玄関のドアに鍵をかけた。
『ガチャッ』
鍵を取り出し、ドアノブを回して入った。
バンも続いて、家の中に入る。
「お邪魔します・・・・・・」
玄関のドアを閉めて入ったのと同時に靴を脱いだ。
2階にある私の部屋に向かって、階段を駆け上る。
「もう少しだからー」
寝ないでと言わんばかりにバンを見て励ます。
バンは顔を顰めながら、うるせーとか言いながらも応えてくれる。
「どうぞ・・・・・・」
部屋の中に入ったのと同時にバンはフラフラと私のベットに向かったかと思いきや、ダイブして倒れ込んだ。
「ちょっ、バン!?」
「んー・・・・・・寝かしてくれねぇ?」
「話が終わってないでしょ!!」
バンに聞きたいことがたくさんあるのに、何でこうなる!!
それに寝る場所は私のベッドじゃなくて、そっちのソファベットだ!!
「バン、私のベッドで寝ちゃダメでしょ」
「あーそうだっけぇ・・・・・・そういや、何か話したいことでもあるのかぁ?」
寝転がったまま、私を見て呟きながら言うバン。
文句は山ほど言いたいことあるが、その前に話を聞かなきゃいけない。
「バン、どこで飲んでたの?」
「あー・・・・・・アキハバラかなぁ」
「アキハバラ!? あんた、そんなとこで飲んでたの?」
「そう、飲み過ぎちまって・・・・・・電車に乗った後に寝ちまったんだよ」
気付いたら、シブヤタウンにいたらしい。
その時に私のことを思い出して、迎えに来てもらおうかと思ったそうだ。
「それで、電話したところまでは良かったけど・・・・・・いつの間にか知らない間に寝ちまってさ、電話に出れなくてごめんな」
バンは私の頭を優しく撫でながら話してくれた。
私に心配かけたことは分かっていたようで、少しでも反省しているようだった。
「心配かけておいて、電話しないなんてどういうつもり!?」
「仕方ないだろォ・・・・・・飲み過ぎちまったんだから、しょうがないってー」
ごめんと言いながら、私の頭をそっと撫でてくれた。
バンの優しさに触れてきたから、そういうところが兄と似ているなって思っていたのだ。
「まあ、あの婆さんにも助けられたしな」
「バン、ふざけないでほしかったなぁー」
「あーそれは悪かったな、つい調子に乗りすぎた」
苦笑しながら応えるバンの姿を見て、溜息をつく。
その時、バンに押し倒されてしまった。
「うわっ!」
押し倒されたのを見て驚く私。
バンは眠そうに見つめながら話しかける。
「眠くなってきたから寝ようよ」
「電気を消そうか」
「そうだな・・・・・・」
部屋の電気を消した後、バンの隣に寝転がる。
穏やかな寝息を立てるバンの隣に横たわりながら、目を閉じる。
「おやすみ、バン・・・・・」
意識がまどろんでくる・・・・・・私たちは深い眠りに落ちた。
The End------------------------------------------