二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去 ( No.150 )
- 日時: 2012/10/14 11:44
- 名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)
第8章の続き
(ストーリーモード:バン)
そして、現在に至る。
帰り道を歩きながら、リンと一緒に肩を並べている。
「・・・・・・というわけだ。まあ、こんな時間に探検するなんてダメだぞ〜?」
「だって、優が言い出したんだからさぁ・・・・・・」
「それはしょうがないって言ってんだろォ・・・・・・」
リンのふてくされた顔を見ながら、溜息をつく。
女の子が出歩いて良い時間ではないことを分かっていて、そのリスクを犯すって言うのはどうだろう。
それでも、リンが無事でいてくれたのが何よりだった。
「ったく、こんな夜中にほっつき歩いてると変なヤツに絡まれちまうぞ」
「ごめんなさい・・・・・・」
リンは素直に謝りながら、流石に反省したらしい。
そんなことも気にせず、リンを見やりながら考える。
(こいつが夜中に歩き回ってんのは、何か理由があったわけじゃないよな)
そういえば、リンが優と一緒に居た時にコソコソ話していたって言ってたな。
ハルとジンが目撃したのは、そういう内容だったらしいが・・・・・・・俺は酒を飲んで寝ていたから、彼女とジンから話を聞いただけだった。
「まあ、おまえが無事で良かったよ」
ポンと頭を撫でながら笑って話しかける。
俺を見たリンもそれにつられて、笑みを浮かべた。
「うん、そうだね」
「もう2度とあそこに行くんじゃないぞ」
廃墟は危険な場所でもあるし、探検しに行きたいというところだろう。
好奇心旺盛になっている優のことを考えれば納得すことができる。
リンは優に誘われていただけらしいが、好奇心に駆られて探検した気分になっているようだ。
「初めての探検は楽しかったか?」
「うん、楽しかった!」
リンは満足そうに頷きながら、俺を見て応える。
その様子だと満足したらしく、ジンと出会えたことも貴重な経験になったかもしれない。
「ジンのこと知ってるか?」
「ううん、知らないけど・・・・・・そんなに凄い人だったの?」
首を振りながら応えるリン。
ジンのことを知らなかったらしく、廃墟ビルの地下室に居た時に優から話を聞いて知ったそうだ。
「ああ、中1のときに行われたアルテミスという大会の決勝戦で戦ったことがあるんだ。その時、俺はアキレスを使って戦ったけど、結構楽しめたぜ!」
ジンとの戦いはまさに壮絶なものだったと言えよう。
当時はイノベーターの元で操られていた灰原ユウヤとも戦った。
その時のユウヤを思い出すと、精神的に追い詰められた状態になって暴走したことがあったのだ。
ジンと俺は力を合わせて、ユウヤのLBXだったというジャッジを撃破した。
「そんなことがあったんだね! 決勝戦で戦ったのかぁー」
「そういうことだ。ジンと俺は優勝の座をかけて真っ向勝負で挑み、激闘の末に制したのは--------------」
ジンとの戦いに挑み、死闘を演じながら戦うしかなかった。
アキレスの必殺ファンクション・超プラズマバーストでジンのLBXを撃破した。
「俺だよ・・・・・・まあ、あの時はチャンピオンになれるとは思ってなかったな」
「おおー! 凄い、バン兄さんはチャンピオンになったんだね、そういうことだったのかぁー!!」
リンは俺の話を聞きながら、納得できる部分もあったのだろう。
そういえば、Lマガを読んだことがあるのかな?
「そういや、Lマガ読んだことあるの?」
「うん、あるよ! 中学の時にバン兄さんが載ってたの見たことあったんだ」
俺が載ってた特集に関するLマガを読んだことがあったらしく、その時にチャンピオンだったことを知ったらしい。
「まあ、でも凄いよね!」
「ああ、そうだな・・・・・・」
まあ、あの時はチャンピオンになれて良かったと思う。
大学3年生になった今もチャンピオンとして有名人になっていたのだ。
「バン兄さん・・・・・・」
「んー?」
リンがいきなり歩くのを止めたので、俺は首を傾げながら振り返る。
すると、リンが嬉しそうな顔をして抱きついてきた。
「バン兄さん!」
「うわっ! どうしたんだよ、リン?」
いきなり抱きしめられたかと思えば、人懐っこい笑顔で甘えてくる。
そんなリンの様子を見ていて、微笑ましそうに見つめた。
「リン、これからは夜に遊びに行くんじゃないぞ?」
優しく諭しながら、リンの頭を撫でる。
大人しそうなリンのことだから分かってくれるだろう。
そう思いながら、ゆっくり撫でていたその時だった。
(・・・ん?)
よく見たら、リンの首に何か傷痕がついていた。
もしかして虐待されたのだろうか・・・そういえば、話を聞いてなかったのを思い出す。
(リンのヤツ、大人しそうな子だなって思ったけど・・・・・・これは何かありそうだな)
その傷痕を見る限り、親戚の家で何かあったのかと思いながら考える。
リンのことだから、流石に言いたくない理由でもあるんじゃないだろうか。
「どうしたの、バン兄さん?」
「いや、何でもないよ」
リンに悟られないようにするため、落ち着いて答えた。
訝しそうに見つめていたが、リンは先に歩き始める。
(虐待されたことが原因ならば、俺たちに預かったということになるんじゃないのか?)
そう考えていれば、リンは心を開かないはずだ。
どうりで、リンが俺に心を開こうとしない理由が分かってきそうな気がする。
「おい、リン・・・・・・」
「何、兄さん?」
リンは俺を見て、首を傾げながら歩み寄った。
彼女を見ながら、肩を並べて歩きつつも試しに質問した。
「おまえ、もしかして虐待されたことがあるのか?」
「・・・っ!」
リンはビクッと怯えながら、顔を強張らせた。
ブルブルッと怯えているリンの様子を見て驚く。
「リン?」
いきなり、顔を青ざめて・・・どうしたんだ?
急に様子がおかしくなったので、リンに何があったのか問い質そうと思っていたその時。
「おい、リン?」
「バッ・・・・・・」
リンは俺を見て、顔を上げて動揺を隠せないような苛立ちを募っていた。
これは何かある。絶対に何かありそうだと確信したその時、リンは俺を見て言い放った。
「バン兄さんに分かるはずがないもんっ!」
「あっ、ちょっ・・・・・・」
リンは怯えきった顔を強張らせたまま号泣しながら、先に走り出した。
呆然と立ち去りながら走るリンを見つめた。まるで何が起きたのか分からないという状況だ。
「リン・・・」
この時、俺はリンの複雑な心境に気付いていなかった。
しかし、この日を境に悩む日々を送ってしまうことになる。