二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去 ( No.154 )
- 日時: 2012/10/14 14:22
- 名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)
短編1の続き(ナオ視点)
夜11時になった頃、Lマガを読みながら待っていた。
その時、玄関のインターホンが鳴った。
『ピンポーン』
ヒロが帰ってきたようだと悟った瞬間、玄関に向かった。
玄関のドアを開けると、目の前に山野バンがいた。
「こんばんは、バンさん・・・・・・ヒロは?」
「・・・ああ。ヒロのヤツ、酔い潰れちまったんだ」
顎をしゃくりながら、玄関の傍を見てみろというようなしぐさを見せて促す。
それに促され、チラリと見ると壁に背中を預けて寝ているヒロだった。
口から放たれる酒臭さが漂う。その様子を見る限り、酔い潰れていたのだろう。
「なんで、こんなになるまで飲んだんだろ?」
「偶然、居酒屋で会ってさ。その時に話したんだけど、かなり酔っ払ってたからさ」
「え、そうなんですか!? あいつ、自暴自棄に飲んだんじゃないのかな?」
「うーん、それなりに飲みまくってたからなぁ・・・・・・試しに起こしたけど、爆睡してるから連れて帰るかってなったんだ」
バンさんが言うには、愚痴まくってたから飲み過ぎたかもしれない。
それでも、酔い潰れるまでには時間がかからなかったらしい。
「・・・・・・というわけなんだよ」
「なるほどねぇ・・・・・・とりあえず、ヒロを起こしましょうか」
「そうだね、そろそろ起こすかぁー」
ヒロの視点にあわせるようにしてしゃがみこむ。
酔い潰れているのか、涎をたらしているヒロの様子を見て思わず苦笑する。
「ヒロ、ちょっと起きて」
肩を揺らしながら、優しく叩いて起こす。
ヒロは寝息を立てているのか、気持ち良さそうに爆睡している。
「ダメだ、こりゃ・・・・・・」
バンさんは頭を抱えながら、溜息をつく。
見事な酔っ払いになってしまっているようで、目覚める気配はない。
仕方なく、バンさんはヒロの上半身を起こして介抱する。
「とりあえず、中に入れてもらっていい?」
「は、はい・・・・・・」
家の中に入れ、玄関のドアを閉めた。
床にヒロを寝かせた後、どうやって連れ出そうかと相談する。
「バンさん、ヒロをどうやって連れ出すか・・・・・・そこですね」
「ああ、そうだな・・・・・・」
気持ち良さそうに寝ているヒロを見て溜息をついた。
こんなになるまで飲んだのが悪いと思いながら、目覚めてくれればと思っていたのだ。
「靴を脱いでおかなきゃ」
ヒロの靴を脱いだ。仕方がないので、酔っ払いを解放するなんてことはできない。
バンさんがヒロの頬を叩いて起こしてくれた。
「ヒロ、起きろ。家だぞ」
「んー・・・・・・・寝かしてくだひゃい・・・・・・・」
そう言った後に寝返りを打ったかと思えば、ヒロはまた寝息を立て始めた。
なかなか起きないのを良いことにして爆睡中。
「じゃあ、こいつをベッドまで運ぶからさ。部屋のドアを開けておいてくれる?」
「は、はいっ!」
ヒロの部屋のドアを開けておいた。
バンさんがヒロを背負いながら、部屋の中に入った。
2人かがりでベッドにヒロを寝かせ、毛布をかけてあげた。
「やっと終わったな」
「すみません、今日は助かりました」
「別に良いって・・・・・・じゃあ、俺はこれで」
玄関前までバンさんとゆっくり話しながら歩く。
「すいませんでした」
「大丈夫だよ、ヒロによろしく言っといてくれ」
玄関前で靴を履いたバンさんは苦笑しながらも、手を振って去った。
バンさんを見送った後、中に入って玄関のドアを閉める。
「さて・・・・・・」
どうして、こうなったのかを聞かなきゃいけない。
再び、ヒロの部屋に入ると・・・・・・中は真っ暗だった。
懐中電灯をつけて探してみると・・・・・・ヒロは床で寝ていた。
(ベットじゃなくて、床で寝てる?)
床で爆睡しながら、気持ち良さそうに寝ているヒロ。
その様子を見て苛立ったのか、私はヒロの体の急所を軽く蹴った。
すると、眠そうに顔をしかめて、うーんと唸り始めた。
「イタイイタイ、何してんのォー?」
ようやく、ヒロが目を覚ました。
ボンヤリと視界に私の姿が映ったのか、眠そうに見つめる。
ヒロに文句を言ってやろうかと思いながら、やっと言葉が出た。
「何してんのって、こっちの台詞なんだけど・・・」
「んー・・・・・・? あれ、僕は何でこんなところで寝てるんかな?」
「バンさんが背負って、この部屋まで連れてきてくれたんだよ」
もーバンさんに感謝しなさいって言いながら呟く。
ヒロはトロンとした目つきでボーッとしながら、私を見る。
「そういえばさぁ、どうしてナオがここにいるの?」
「この家の合鍵を使って、入らせてもらったよ」
ズボンのポケットから家の合鍵を取り出して見せる。
ヒロはその合鍵を見て、すぐに納得してくれた。
「ナオに会うのも久しぶりだな・・・・・・」
ヨロッと立ち上がりながら、千鳥足で歩く。
すると、ベッドにダイブして倒れ込んだ。
「ウイーッ、飲み過ぎたァ・・・・・・」
「飲み過ぎたこと分かってるなら、何であんなになるまで飲んだの?」
あらかじめ用意しておいた水の入ったコップを持って渡す。
ヒロは眠そうに上半身を起こし、右手でコップを受け取った後にゴクゴク飲んだ。
あれだけ飲んだのなら、何で自力で歩いて帰って来れなかったのか。
「しょうがないだろォ・・・・・ナオに会わずにして会ってられるかよ」
「・・・・・・え?」
ヒロの言葉が何気に引っかかった。
会わずにして会ってられるかってどういう意味だ!
「ちょ、どういうこと?」
「ナオに会ってないから、本音を話せないでいたんだよ。それで、バンさんに話を聞いてもらって吹っ切れたんだ」
そしたら、酔い潰れてしまったということになるのか。
酒を飲んで寝るのは良いけど、少しは私の気持ちを分かってほしい。
「まあ、やっと会えたしさぁ・・・・・・」
「ふざけんな、この・・・・・・少しは私の気持ちを分かってよ、心配してたんだから!」
ヒロの頭を殴りながら、怒りの拳骨を放った。
そのダメージを受け、ヒロはあまりの痛さに顔を顰める。
「いってぇ・・・・・・」
「これだから、飲み過ぎるんだよ! ったく、このバカ!!」
涙を流しながら、ヒロの胸に顔を埋めて叩く。
私を受け止めながら、ヒロは流石に反省しているようで優しく抱きしめてくれた。
「ごめん・・・・・・」
「ヒロのバカァ・・・・・・えっぐ・・・・・ひっぐ・・・・・」
幼馴染の背中を見てきた私は心優しいヒロのことが大好きだった。
そんな私の気持ちを理解しているはずがないのか、ヒロはいつも鈍感でいることが多かった。
そう思ったその時、沈黙を破ったのがヒロだった。
「ナオ、僕は何も思ってなかったわけじゃないよ」
「えっ・・・・・ヒロォ?」
埋めていた顔を上げて、ヒロを見る。
彼はヒックと呻きながら、構わずに話を続けた。
「ナオが僕を心配してたことは分かってた。けど、ナオになんて言ったら良いのか分からなかったんだよ」
「ヒロ・・・・・・」
「でも、記憶のないナオよりも・・・・・・僕は記憶が戻っているナオのことが好きだよ」
ヒロは私を優しく抱きしめながら、背中をポンポンと撫でる。
記憶が戻った時はヒロのことを思い出せたから嬉しかったのを覚えていたので、今も思い出すことができる。
「僕の大切な幼馴染・・・・・・それがナオだ」
「ヒロッ・・・・・・・うわぁぁぁ-----------ん!」
ヒロの胸に飛びつき、ベッドにダイブして倒れこんだ。
私がまた泣き出したことに驚いたのか、ヒロは目を丸くしていた。
「うわっ! ど、どうしたの?」
「えっぐ・・・・・・ひっぐ・・・・・・」
泣きながら、嗚咽を上げる私の姿を見ていたヒロは苦笑しながら抱き寄せた。
ヒロの胸に顔を埋めたまま、何も言えないでいた。
「ナオ、泣くなよォ・・・・・・そんな顔を見せたら、こっちが困るじゃないかぁ」
「・・・・・・っ!」
ヒロは優しそうに励ましながら、私の背中をポンポンと叩いて撫でた。
すると、眠気が迫ってきたことに気付いてウトウトし始めた。
「ナオ?」
「眠い・・・・・そろそろ寝ようよ」
「・・・・・ああ、そうだな」
眠気が迫ってくるのと同時に意識がまどろんでくる。
私は背中を見つめたまま、深い眠りに落ちた。
The End-----------------------------