二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去 ( No.194 )
日時: 2012/10/15 21:01
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)

第9章の続き

(ストーリーモード:バン)

数分後、寝入ってしまった俺を起こす声が聞こえた。

「・・・ん、バンさん! 家に着きましたよ」
「うぅんー・・・・・・?」

ヒロの声が聞こえたのと同時に意識が戻った。
目の前に映った光景は紛れもなく自宅前だ。

「あぁ、俺んちだっけ・・・」

ヒロに担がれたまま、いつの間にか知らない間に寝入ってしまったようだ。
心配そうに様子を伺うハルは俺の身体を支えながら言った。

「バン、自力で歩ける?」
「へーきだって、大丈夫だからさぁ・・・」

ヒロから離れ、フラフラと千鳥足で歩き出す。
ハルは俺の後を追うようにして、玄関まで追いかけた。

「ねえ、バン」
「んー?」
「バンの家に泊まっていい?」

突然の申し出に目を見張った瞬間、ハルを見て驚く。
彼女のことだから、事の真相を聞きだすつもりでいたのだと察した。

「あー良いけどさぁ・・・・・・」
「えっ、良いの?」
「あぁ・・・ってわけだから、中に入るぞ」

そう言った後、ヒロと別れて玄関に向かう。
ハルと一緒に玄関のドアを開けて入った。

「ただいまぁ・・・」
「お帰り、遅かったね・・・あら、ハルちゃんじゃない」

俺の帰りを待っていてくれたのか、母さんがヒョコリと現れた。
ハルは母さんを見て挨拶した。

「今日はバンの部屋に泊まらせていただきます」
「そういうことならOKよ。バン、彼女を悲しませないでね」

母さんはウインクしながら、俺をからかうかのような目でニヤリと笑った。
なんだよ・・・いきなりからかってくるなよ。

「-------ったく、いつもからかうの止めろよな」
「あら、良いじゃない。バンのことだから惚れてるんでしょー」
「うるせーほっとけ、俺は2階に行くから」

靴を脱いで上がった瞬間、母親のからかい方が気に入らなかった。
いつも俺をからかいながら、笑って話しかけてくれる母さんだけど・・・・・・何となく気付いていたのだろうか。

「ハル、母さんは放っといて、2階に行こうぜ」
「うっ、うん・・・」

ハルを促し、2階に通じる階段を駆け上る。
フラフラしながら歩く俺の背中を支えながらサポートしてくれた。

「バン、しっかりしなさいよ!」
「へいへい・・・・・・・」

飲み過ぎたことを自覚しているのか、ふわぁーと欠伸が出てきた。
何だか眠くなってきたし、どうしても寝たい気分になっていた。

「バン、眠いの?」
「うっせぇ、おまえに言われる筋合いなんかねーよ」

ハルに指摘されていそうな予感がしたからか、先に歩き出す。




やがて、部屋に辿り着いたのと同時にドアを開ける。
隣の部屋で寝ているはずの健太と直太が待っていてくれたのだ。

「お帰り、遅かったな・・・・・・兄貴」
「お帰りなさい、バン兄ちゃん!!」

健太と直太は笑顔で温かく出迎えてくれて、珍しいことに帰ってくるまで待っていてくれたのだろう。
直太が俺に歩み寄り、甘えるようなしぐさをして抱きついてきた。

「直太ァ、俺は酔ってんだぞォー」
「うん、知ってるよー」

人懐っこい笑顔を見せた直太はニッコリと笑みを浮かべた。
健太は隣にいるハルを見て驚きながら、思わず苦笑した。

「・・・・・・っていうか、ハルさんが何でここにいるの?」
「バンの家に泊まるから、今夜はお世話になります♪」

お世話になりますって・・・・・・いくらなんでも、その言い方はないだろう。
そりゃ、いきなり泊まるって言ったんだから驚くよな。

「はぁ・・・・・・」

俺は溜息をつき、ショルダーバックを床に置く。
そういえば、リンの姿が見えない。それに気付いた俺は健太に問いかける。

「そういやぁ、リンは?」
「ああ、隣の部屋で寝てるけどな」

そうか、リンは隣の部屋で寝ているのか。
まあ、3人で住むことには違和感があるかもしれない。

(確か、3人部屋になったんだよなぁ・・・・・・)

2人が大きくなったから、自分の部屋くらい与えても良いって言って、父さんが用意してくれた。
俺の部屋は誰もいないから、ゆっくり過ごせるのは良い。ソファベットは友達が来た時用にセットしてあるのだ。

「バン・・・」

ハルが首を傾げながら話しかける。
健太はさっきまで読んでいた本を閉じ、俺を見据えた。

「リン姉さんと何があったの?」

ハルに諭され、何を話したら良いのか分からなくなっていた。
その様子を見かねた健太と直太は顔を見合わせながら、コクリと頷く。

「バン兄ちゃん、僕も話を聞いてあげるからさ」
「直太・・・・・・」

直太に何が分かるんだと言いたいくらい、キレそうになりかけた。
その怒りを抑えようとしたその時、健太がようやく口を開けた。

「姉さんに何か言われたんだろ?」
「・・・ああ」

うなだれながら、ベッドの前に座り込んだ俺は溜息をついた。
ハルは俺の視線に合わせるようにしてしゃがみ込み、話を聞く気になっているようだ。

(ハル、健太と直太・・・・・・)


リンのことで何か言われたのは初めてだった。
健太と直太、ハルも俺の変化に気付いていたのだろうか。

「バン兄さん、俺と直太が気付いていないとでも思ったのか?」
「・・・え? どういうことだ・・・・・・」

健太が放たれた言葉を聞いて驚く。
もしかして、前から気付いていたのか?

「最近、酒を飲んで帰ってくることが多いし・・・母さんも凄く心配してたよ」
「そうだよ、健太兄ちゃんの言うとおりさ。僕も少しずつ気付いたし、バン兄ちゃんの悩みを聞いておかないと気がすまないんだよ!」

健太と直太は溜息をつき、俺の視線に合わせるようにして座り込んだ。
様子を見かねたハルが視線に合わせるようにしてしゃがみ込む。

「私も気付いてた・・・これは何かあると思ってたんだよ」
「ハル・・・」
「バンのことだから、絶対に何かしでかしたなって思って気付いてた」

ハルも薄々、そのことに気付いていたのだろう。
健太が俺を見て思わず首を傾げた。

「最近はバン兄さんの様子がおかしかったからなぁ・・・酒を飲んで帰ってくることが多かったし、俺も何かありそうだなって思ってたんだよ」

どうやら、健太も気付いていたようで俺の様子がおかしいことを察したようだ。
ハルが俺の肩を叩いて言った。

「私たちで良かったら聞くよ」

ハルの言葉を聞いた健太と直太も強く頷いた。
ここには仲間がいるんだということを思い出させてくれそうだ。
3人に話を聞いてもらわないといけないなと思い、キッと見据えた。

「ハル・・・健太・・・サンキューな」

そうだったな・・・酒を飲んでて忘れかけていた。
俺の周りには幼馴染や弟がいるということを思い出させてくれた。

「分かった・・・話すよ」

観念したように言いながら、2人を見回した。
ハルと健太は顔を見合わせながら、満足そうに頷いた。

「じゃあ、何があったのか話してよ」
「うん・・・実は----------」

1週間前の夜、居酒屋で酒を飲んでいたことから始まる。その時にハルから電話が来て、リンがいないことを知った。
ミソラ学園高校前で友人と一緒にいるリンを目撃したことを聞いて知り、ジンと一緒に捜索していくことになった。
噂の地下室があるという廃墟ビルに向かったかもしれないと推測したことだけではなく、その廃墟ビルでジンがリンたちを見つけ、地下室まで追いかけて向かったことや地下室で男と戦って倒したことなどを話した。

「・・・というわけなんだ」

一通り、話し終えたのを見計らったハルは溜息をつく。
やっぱり、リンにそんなことを言われたのが気になったんだろう。

「俺が虐待について指摘しなきゃ済んだかもしれないのによォ・・・」
「いや、そんなことないさ」

健太が口を開いて、自信に満ち溢れた目で俺を見つめる。
そんなことないって・・・どういうことだ?