二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去 ( No.196 )
日時: 2012/10/15 21:32
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)

そんな俺を見た健太は納得しながら、そういうことかと言って呟き始めた。

「ははあ・・・どうりで、姉さんの様子がおかしかったわけだ」
「・・・え?」

俺は健太を見て思わず首を傾げた。
すると、健太は直太を見て頷きながら、腕を組んだ。

「あの日、姉さんが急いで帰ってきた理由が分かったよ。あいつの様子がおかしかったのは・・・そんなことがあったからなんだ」

ハルも健太の言葉を聞いて頷いた。
ああ、なるほどな・・・まあ、直太は俺にとって大切な家族であるわけだしなぁ・・・

「でも・・・」

健太と直太、ハルを見て答えた。
3人は首を傾げながら、顔を見合わせる。

「「「・・・でも?」」」

リンがどんな風にして生きてきたかも知らなかったのに、どうして気付いてやれなかったんだろう。
その話を聞いていれば、こんなことにならないで済んだかもしれない。

「でも、あいつは辛い思いしたくなかったんじゃないのかなぁ・・・気持ちは痛いほど分かる。けど、あいつは・・・」

辛い思いをしたくなかった・・・その気持ちは痛いほど分かる。
そんな俺を見た健太は微笑みながらも溜息をついた。

「・・・いや、姉さんはそんなことを考えるようなヤツじゃないよ」
「・・・なんで、そう言えるんだよ?」

俺は健太を見て呟いた。
彼の言っている意味が分からない。
健太は自分なりに感じ取ったのか、ポツリポツリとゆっくり話し始めた。


「ここに来てから、何も考えなくなったような顔をするようになったし・・・バン兄さんのおかげで安心して生きてこれたと思ってるんじゃないか?」

その話を聞いた俺はハッと気づいた。
そういえば、そんな感じだったような気がする。
最近、彼女は1人でやってきた。その時は身長が160cmしかなかったから驚いたけど・・・彼女は俺を見るなり、かなり怯えきっていた。彼女に対し、優しく接するように心掛けた。
それを心掛けて接していくうちに少しずつ心を開いていった・・・そこまでは良かった。

(そういえば、リンの心の闇を見出せないでいたのかもしれないな・・・)

確かによく考えたら、彼女の心の闇を見出せずにいた。
過去の話を聞く機会を設けようとしなかったことが心残りだった。
なぜ、あの時・・・どうして気づいてやれなかったんだろうか?

「・・・俺、あいつの心の闇を見抜くことができなくてさぁ・・・あの時、どうして気づいてやれなかったのか」

そう言って呟きながら、溜息をつくと・・・そんな俺を見た健太は優しく話しかけた。

「ううん、そんなことないさ・・・いつものバン兄さんらしくないよ。ここ最近だけど、姉さんはバン兄さんのこと心配してたし・・・」

リンが俺のこと心配してた?
突然のことで、驚きを隠せない。健太の言葉を聞いていた直太が口を開いた。

「うん、健太兄ちゃんの言うとおりだよ。リン姉ちゃんはいつもバン兄ちゃんのことを気遣ってたし、それに心配してたからね」

最近になって、そんなこと言わなかったのに・・・あいつ、俺に話しかけられずにいたんだな。

「なんだよ・・・俺のことを心配してたなら言ってくれれば良かったのになぁ」

そう言いながら呟いていたその時、コンコンとドアのノック音が聞こえた。
こんな時間に誰だろうかと思いながら、部屋のドアを開ける。

「・・・・・・え?」

目の前にいたのは、隣の部屋で寝ていたはずのリンだった。
いつの間にか起きていたらしく、その場に佇んでいる。

「おまえ、いつから起きて・・・」
「最初から聞いてた・・・兄さん、ごめんなさい」

リンが謝っているのは、この前のことだろうか。
あの時は、流石に俺も言い過ぎたかなって思っている。

「いや、別に謝らなくても良いんだよ。謝るのは俺の方だ」
「・・・え?」

呆然と見つめているリンを思いっきり抱きしめた。
虐待されたことは何となく気付いていたのに、そこを指摘しようと思っていたんだよな。
今、思えば・・・俺の考え方が甘かったかもしれない。

(リンに辛い思いさせちまったのは、俺だからな)

流石に反省しているから、今頃になって謝っても仕方がない。
そんな俺を見たリンは首を傾げながら言った。

「・・・バン兄さん?」
「リン、本当に心配かけてごめんな。おまえの話を聞いてやれなくて・・・」

俺は苦笑しながらも、リンを見て呟いた。
そんな俺を見たリンはううん・・・と首を振りながら呟いた。

「別に兄さんのせいじゃないよ。私、バン兄さんと健太の話を聞いていて思ったことがあるんだ」

リンが俺たちの話を聞いていて思ったことがあるというのは何だろう?
そこが気になっていたので、リンの話を聞くことにした。

「・・・なんだ?」
「私、バン兄さんと出会えなかったら・・・どうなっていたかなぁって思うんだ。こうして、バン兄さんの優しさに触れていくことで少しずつ心を開いていけたよ」

リンは俺の優しさに触れていくことで、少しずつ心を開いていくことができた。
だから、リンは俺の大切な妹でありたいと思う。
そんな彼女の話を聞いた俺はああ・・・と言いかけて呟いた。

「・・・うん、そうだな」
「仲直りしようよ!」

リンは俺に歩み寄り、素直に甘えて抱きしめながら言った。
そんな彼女の様子を見たハルは苦笑していた。

「リン、バンがどんなに心配してたか分かってるの?」
「お、おい・・・ハル?」

ハルが何を言い出すのかと思えば・・・彼女はリンのことを思って言ってるのかもしれない。
ハルはリンの視線に合わせながら、ゆっくり歩み寄る。

「バンはリンのことを妹だと思っているし、周りに大切な家族がいることを忘れないようにね!」

リンは交互に俺とハルを見つめながら、キョトンとしていた。
健太と直太は顔を見合わせながら、苦笑しつつも頷いた。リンはいつもの明るい笑顔に戻った。

「うん! バン兄さんが大好きだから、これからも仲良くしようよ!!」
「あぁ、そうだな・・・俺もリンのことが大好きだし、これからもずっと仲良くしような」

そう言って、リンの頭を撫でた。
健太と直太、ハルは顔を見合わせながら、笑顔を見せた。

「良かったな、姉さん・・・バン兄さんと仲直りできて安心したろ?」
「うん! バン兄さん、大好き!!」

リンにギュッと抱きしめられた瞬間、俺は彼女の頭をクシャクシャ撫で回した。
こいつ、本当に可愛いヤツだなぁ・・・っていうか、俺の話を聞いてくれたハル、健太と直太には本当に感謝している。

「ハル、健太、直太・・・」

3人を見回しながら、顔を上げて言う。

「「「ん?」」」

ハル、健太と直太の3人は俺を見て思わず首を傾げる。
照れくさそうに溜息をつき、お礼を述べた。

「3人とも、俺の話を聞いてくれてありがとなぁ・・・」

ハルが笑顔を見せながら立ち上がる。
同時に俺のところに立ち寄ったかと思えば、頭を弄くり回した。

「バカね、こういう時は幼馴染を頼りなさい!」
「えっ・・・」
「だいたい、あんたはいつも強がって・・・おまけに酒を飲んだくれてるし、何を考えてんのよ!」

いつも強がっているかぁ・・・そう言われてみれば、確かに俺も気付いてたけど・・・ハルにそこまで指摘されるとは思っていなかった。

「ごめん・・・」
「まったく、もう・・・私たちに心配かけるようなことしないでよね」

ハルは苦笑しながら溜息をつく。
健太が欠伸して、隣の部屋に戻った。
直太も健太の後に続いて、おやすみなさいと言って挨拶してから出た。

「私、隣の部屋で寝るよ。おやすみ、兄さん」
「ああ、おやすみ」

そう言って、隣の部屋に戻ったリンと別れた。