二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去 ( No.203 )
日時: 2012/10/16 11:23
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)

第9章の続き

(ストーリーモード:バン)

3人を見送った後、やれやれと思いながら溜息をつく。
こんな時に限って、ハルが泊まっているのか。

「ハル、おまえ・・・・・・」

ハルに向かって言いかけた瞬間、バチィッと派手に平手打ちする音がした。
そのダメージを食らったとき、俺は何が起こったのか分からなかった。

「バンのバカ・・・・・・いつも無茶ばっかりして、どれだけ心配かけたと思ってんの!」
「いってぇ・・・・・・何すんだよ、いきなり殴って」

不満そうな顔をして怒るハルの姿を見たのは、本当に久しぶりだ。
酒を飲んで寝ていた俺の気持ちを汲み取っていたこともあってか、ワナワナと手を震わせながらも怒りが込み上げてきたのだろう。

「毎日、酒を飲んでばかりでいるバンを見てたらさ・・・・・・何か心配でたまらなかった」
「心配って・・・・・・でも、俺は・・・・・・」
「だから、それがいけないの!!」

うーガルルル・・・・・・・と唸りながら怒っている。その怒りはいつもと違って、完全にキレている。
ハルのそんな姿を見たことがなかったので、流石になんて言えば良いのか分からない。

「バンはいつも、帰りに酒を飲んでることが多いでしょ!」
「うっ、そりゃあ・・・・・・確かにそうだけどさぁ」
「だから、飲み過ぎは良くないの! そこまで飲みまくったらキレるどころか、完全に呆れてると思うんだよ」

ハルは俺のことを心配して言ってくれているようだけど・・・・・・確かに飲み過ぎたらダメだよな。
よく言われてみると、飲み過ぎるのは良くないと分かっていても飲み過ぎてしまうことが多い。

「おまえな、その言い方は良くないぜ」
「あのね、バンはいつも飲んでて楽しいと思ってるかもしれないけどさ。あれだけ飲んだら、その場で寝てしまうのは間違いないと思うね」

そういわれてみれば、どこでも寝てしまうことが多いみたいだ。
この時点で気付かなかったけど、ハルに何度か起こされたこともあった。
それで説教を受けながら聞いていたけど、当時は眠かったから寝てしまったらしい。

(でも、かなり酔っ払っていたから爆睡してたかもしれないな)

その時の記憶が全くなかったし、ハルに聞いた時点で納得できた。
でも、幼馴染だから気付くことが多いかもしれない。ハルは幼馴染だということもあってか、いざという時は頼りになる。

「なんだ、そりゃ・・・・・・まるで俺が酔っ払ってるようにしか見えないじゃん〜?」
「あんたねぇ、そういうところは相変わらずだなぁ・・・・・・まったく、もう!」

呆れながら、遠い目で俺を見て溜息をつく。
それで呆れられることには慣れたし、俺にとってはどうでも良いことだった。
酒を飲んでいれば、気を紛らわすことができた。

「そんなことはどうでもいいじゃん・・・・・・」

フラフラと千鳥足で歩きながら、ベッドにダイブして倒れ込んだ。
まだ飲み過ぎているのか、眠くてたまらないのだろう。

「バン、話を聞いてんの?」

ハルが呆れながら、俺のベッドの上に乗って座る。
いきなり座り込んで、それを言うか。話はちゃんと聞いてるから大丈夫だ。

「あのなぁ、おまえが寝るところは俺のベッドじゃなくて、ソファベットだぞ」
「うるさいっ、バンのことが心配だから放っておけないの」

頬を赤らめながら、顔を顰めて言い出すハル。
俺のことが心配だって・・・・・・何を言い出すのかと思えば、そんなことか。

「なーに照れてんだよ、ハル?」
「別に照れてるわけじゃないよ、バンのことが心配なんだよ!」
「そんなこと言わなくても分かってるし、飲み過ぎてるのはいつものことだろォ?」

眠そうに横たわったまま、ハルを見上げて言う。
幼馴染がいないと不安になるものなんだろうかと気付く。
それでも、周りには俺のことを心配してくれる仲間、家族がいる。

「そりゃ、いつも飲み過ぎてるもんね。あんたが帰ってきたときは起こしてやってるけど、少しは私が苦労してることくらい分かってよ」

ハルは俺の頬を優しく撫でながら、いつも自分が起こしてやってる身なんだから分かってほしいと訴えている。
その話を聞くたびに少しずつ、自覚しているけれど・・・・・・つい、酒を飲み過ぎてしまったこともあったのを思い出す。

「なんだ、そんなことかぁー」
「のんきに言ってないで、少しは何か言ってよ!」
「うるせぇな・・・・・・酒を飲んでて、何が悪いんだよ」
「そりゃ、酒を飲むのは良いけどさ。あれだけ飲んだら、本当に困るよ」

介抱してあげているのに、少しだけでも感じてくれれば良いのに・・・・・・と言いながら溜息をついている。
本日、何度目の溜息をついてるんだか・・・・・・・ハルのヤツ、溜息をつくことが多すぎる。

「おまえ、何度も溜息をついて・・・・・・多すぎねぇ?」
「あんたのせいよ、何もかもメチャクチャになったの!」

イライラ度が上昇してくるにつれて、怒りが増してくる。
ハルの苛立ちは思ったよりも怖い。そんな彼女を見たら、何も言えないくらいに逆らえる状態ではない。

「メチャクチャになったって・・・・・・俺は別に悪口も言ってないし」
「いい加減にせんか、分かっとるわい!」

ハルは不満そうに立ち上がり、冷蔵庫に入っている焼酎の缶を開けて飲み干した。
いきなり唐突な行動をして、焼酎を開けて飲み干すって・・・・・・それは有り得ない。

「お、おい・・・・・・」

上半身を起こしながら、ゆっくり立ち上がる。
ハルのところに駆け寄り、空になった焼酎の缶を見て驚く。

「ちょっ・・・・・・」
「だ〜か〜らぁ〜・・・・・・飲み干していいでしょォ〜」

焼酎の缶を持ちながら、べべれけになっている彼女を見て呆れた。
どれだけ飲めば、気が済むんだと言いたいくらいだ。

「ハル、焼酎を飲むな!」

苛立っているのは、何となく分かっていた。
ハルから焼酎の缶を引ったくり、ゴミ箱に捨てた。
それを見て、不満そうに言い出して反論するハル。

「えー・・・・・・だって、飲んでもいいれしょ〜」

ダメだ、こりゃ・・・・・・完全に泥酔してしまっている。
とりあえず、ハルを介抱して寝かせてやるしかないのだろう。

「今日はこれくらいにして・・・・・・」

俺のベットで寝ようかと言い出した時には、深い眠りに入っていた。

「は、ハル?」
「すー・・・すかー・・・・・・」

ハルの寝息が聞こえてくる。
まるで穏やかな寝息を立てて、気持ち良さそうに丸まって爆睡している。

「飲み過ぎだぞ、ハル」

ハルのやることは毎回、唐突だしな・・・・・・今回は何をやらかすかと思えば、おまけに焼酎を飲み干してしまった。
なのに、怒りが収まらないことを理由にして飲み干すのはどうなのか。

「ったく、世話のやけるヤツだなぁ」

ハルの上半身を起こしながら、ソファベットに連れて行く。
翌日になれば、記憶がなくなっているかもしれない。

(こいつが目を覚ましたら、いきさつを話した方が良いかもしれないな)

苦笑しながら、ソファベットの毛布を剥がす。
ハルを寝かして、風邪を引かないようにして優しくかける。

「本当にしょうがないヤツだな」

溜息をつき、自分のベットに戻る。
ふと眠気が迫ってきたので、ゆっくり目を閉じる。

(おやすみ、ハル・・・・・・)

そう思いながら、意識がまどろんでくる。俺の意識はゆっくりと夢の中に入っていく。
何事もなかったかのように、深い眠りに落ちた。