二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去 ( No.315 )
- 日時: 2012/10/23 19:37
- 名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)
第12章が終わったところですが、新展開の第13章に入る前に短編を更新します。
今回はヒロナオ編です。第2弾となるヒロナオの短編オリジナルストーリーを楽しんでいってください!
短編2:ヒロナオ
タイトル:ヒロに対する恋心(ナオ視点)
大学2年生になった秋頃、大学の学祭が行われる時期に入りつつある。
その時期になり、空手部の練習に取り組んでいた矢先のこと。いつものように部活を終えて帰ろうとした。
「おーい、ナオ!」
聞きなれた声を聞いて、振り返ると幼馴染の大空ヒロがいた。
彼はグレースヒルズに住んでいることもあり、自宅がそれほど近かったこともあって帰るのが日課になっている。
「ヒロ、終わったの?」
「終わったというか、うん・・・・・・」
「何よ、私んちに泊まりたいとか言いたいんじゃないの?」
ヒロと歩きながら、肩を並べている。その大きな背中を見てきた私はヒロに対する複雑な思いを抱いていた。
(ヒロ・・・・・・)
心優しいヒロのことだから、いつもは人懐っこい笑顔を見せてくれる。
そんな彼を見ていると、イケメンっぽくなっているようにしか見えない。
「どうしたの、ナオ?」
「あ、ううん・・・・・・」
幼馴染であることに変わりはないのに、なぜか恋というものに目覚めてしまったのだろうか。
それとも幼馴染としての思いを抱いた上で、ヒロを見ているつもりなのか。
「ねえ、ヒロ・・・・・・」
「んー?」
「夏祭りとか行ってないよね?」
「なんだよ、急に・・・・・・」
昔の記憶を思い出せば、夏祭りに行ったことが懐かしく思えてしまう。
ヒロと一緒に走り回りながら遊んだ日々を思い出しながら、あの頃に戻りたいとつくづく思った。
「でも、あの頃には戻れないよね・・・・・・」
両親を巻き込んで、交通事故に至ったあの日のことが鮮明によみがえってしまう。
あの日、両親を巻き込ませた上で事故に陥りなければ・・・きっと、2人は生きていたかもしれない。
「なーに言ってんだよ、おまえのせいじゃないよ」
「でも・・・・・・」
「前にも言ったろ? 記憶が戻った後のナオがいてくれれば十分だって」
ヒロは苦笑しながら、私を見て笑いつつも励ましてくれた。
記憶が戻った後はこうして、ヒロと一緒に帰りながら歩くことが多い。
心優しい幼馴染がいて、あたり前のことだと思う。バンさんやハルさんたちもいてくれて、私は周りの人々に囲まれて生きているんだなって思った。
「うん、そうだね・・・・・・・・」
ヒロを見て歩きながら俯いた。私の気持ちが分かるはずないと思ったのは気のせいだろうか。
それでもヒロは優しく接しながら、気遣ってくれている。
「ナオ?」
心配そうに覗き込んでいるヒロを見て、思わず躊躇った。
幼馴染なのに、何でこうなっちゃうんだろうと思いながら咎めることさえできない。
「あ、ううん・・・・・・なんでもない、先に帰るね」
ヒロが引き止めようとしても後戻りはできない。
幼馴染なのに、悩みとか尽きないのは確かだ。複雑な思いを抱きながら走り出して、グレースヒルズの自宅に戻った。
数日後、部活の練習を終えて帰ろうとした矢先のこと。
空手部のキャプテンを務めており、先輩である人見晴香さんに呼び出される。
「ナオ、帰る前にちょっと良いかな?」
「あ、はい・・・・・・」
ハルさんはいつも優しく話しかけてくれるので、良き相談相手になってくれた。
今回も話しかけてくれたということは、何かありそうだ。
「ヒロが落ち込んでたよ。ナオ、ヒロと何があったの?」
「・・・・・っ!」
数日前の夜に関する記憶がよみがえる。
ヒロと一緒に帰ったあの日、先に走って帰ってしまったことを後悔していたのだ。
「まあ、無理しなくて良いけどね。バンが話を聞いてくれたからね」
「ええ、バンさんが?」
「うん。その話を聞く限りじゃあ、ケンカしたわけではなさそうだね」
「はい・・・・・・最近、何かヒロのこと見てたら・・・・・・」
「恋心を持って、片思いするようになったってことかな?」
確かにハルさんの言うとおり、恋心を抱いてしまった。
ヒロになんて言えば良いか分からない。幼馴染であることは変わらないはずなのに、何でこうなってしまうのだろう。
「なるほどね、まあ分からなくもないかな」
「え、どういうことですか?」
私は首を傾げつつ、ハルさんを見つめる。
ハルさんは苦笑しながら、私の視線に合わせるようにして答えてくれた。
「最近、ヒロは酒を飲んで帰ってることが多いみたいね」
「えええええええええ!?」
あのヒロが酒を飲んで帰ってくることが多い?
まさか、そんなことで気を紛らわせて飲みまくったというのか。
いや、それは有り得ないかもしれないが・・・・・・酒を飲んで帰ることが日常の日課になっているらしい。
「何で、あいつ・・・・・・」
「まあ、そこまでして無茶なことをしでかすんだよね」
ハルさんは苦笑しながら、私を見つつも腕を組んだ。
ヒロが帰ってきたら、どういうことか聞いておかないといけない。
私の話を聞いてくれたハルさんには感謝しているから、本当に助かった。
「ハルさん、私の話を聞いてくれてありがとうございました!」
「おお、気をつけて帰りなさい」
「はーい!!」
部室を出て、帰路に着いた。
グレースヒルズに差し掛かった頃、時間は9時半ちょっと前になっていた。
「あー帰ってこれた!」
自宅に入ろうとしたその時、私の首に手を回す音が聞こえた。
すぐに振り返ると、かなり酔っ払っているヒロが突っ立っている。
「待ってたんだぞ〜」
「ヒロ!? うわ、酒臭い」
口から放たれる酒臭さを感じながら、私は鼻をつまんで呟く。
その様子を見る限り、酒を飲みまくったことが伺えた。
「まったく、もう・・・・・・私の家に上がる?」
「うん・・・・・・」
フラフラと千鳥足で歩きながら、私の家の中に入る。
靴を脱ぎながら、居間に向かって歩き出す。
「ふぃー」
居間にある食卓とも言えるテーブルが設置されている。
その前に置かれていた椅子を引いて座った。すると、ヒロはテーブルに突っ伏して寝息を立てる。
「すー・・・・・・すかー・・・・・・」
そこで寝たら、風邪を引いてしまうはずだ。
ヒロは居酒屋で酒を飲みながら、夕飯を食べてきたのだろう。
私は冷蔵庫に入っているものを取り出し、料理を作ることにした。
今夜のご飯は私の大好きなチャーハンだ。チャーハンって言っても、ベーコンといり卵を入れて炒めながら冷たいご飯を混ぜて作るものだ。
「よし、できた!」
チャーハンが出来上がり、完成したものを1つの皿に乗せた。
テーブルに突っ伏して寝ているヒロの向かい側の席に座る。
「いただきます」
スプーンを持って、チャーハンを食べようとした時。
寝ていたヒロは眠そうに顔を上げ、チャーハンを見つめる。
「あ、匂いがしたと思ったら・・・・・・チャーハン?」
「うん、まあね・・・・・・」
食べながら、ヒロを見て答える。自分が作ったものは特別だ。
ヒロは眠そうな目で私を見て、優しく話しかけた。
「・・・・・・ハルさんと話したんだろォ?」
いきなり唐突なことを言い出すかと思えば、そのことだったのか。
まあ、確かにハルさんと話したことは間違いないと思う。