二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去 ( No.328 )
- 日時: 2012/10/24 22:00
- 名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)
第13章が思ったより早く終わったんで、バンハルの短編を描きます!
バンハル編は今回で第3作目です!!
短編3(バンハル編)
タイトル:中2になって成長した幼馴染(ハル視点)
大学生になってから、約3年が過ぎようとしていた。
3年生になって、上級生としての自覚を持ち始める頃になろうとしていた矢先のことである。
今回は期末試験があったので、それを終えた頃にはすっかり夕方になっていた。
「山野君のことが嫌なわけではないんじゃないの?」
チームメイトで親友の月島楓に話しかけられた。
バンのことは嫌なわけではないが、優しくてカッコいい。
「まさか、それは有り得ないよ!」
青年になって、イケメンとして成長したバン。
そんな幼馴染のことを思うようになったのは、いつ頃だったか。
心優しい幼馴染がいて、当たり前の日常になっているのは間違いない。
「山野君ってさ、案外と酒を飲むことが好きなんだね」
「バンはね、飲むことが好きみたいだから困っちゃうんだよー」
「今日は空手部の練習もないし、山野君を誘って飲みにでも行ったら?」
楓は私を気遣いながら、バンとの相思相愛を認識しているようだった。
いつも楓はからかうことが多いのだが、今回に限っては違うような気がする。
「楓、あんた・・・・・・急にどうしたの?」
「山野君とハルを見てると、本当に仲が良いんだもん」
ゴソゴソとポケットを探りながら、楓は何かを出す。
目の前に差し出されたものは、LBXバトル大会参加チケット。
「居酒屋でLBXバトル大会があるよ。せっかくだから行けば?」
「ありがと、でも・・・・・・」
「まあ、そこまで無理しなくて良いからね」
楓は手を振りながら、その場から立ち去った。
左手の中に入っている2枚のチケットを見つめながら、溜息をついた。
「はぁ・・・・・・」
幼馴染として話せるのは、山野バンしかいない。
男子はいつもふざけながら遊んでいることが多いので、素直なバンでも流石に乗り気じゃないかもしれない。
(いっそのこと、誘ってみようか)
そう思いながら考え込んでいたその時、後ろからポンと肩を叩かれた。
振り返ると、幼馴染の山野バンがいた。
「ハル、ボーッとしてないで突っ立ってるなよ」
「ごめん、どうしたの?」
ボーッとしていたことに気付き、バンに謝りながら質問した。
ここに来たということは何か理由があるのだろうか。
「俺と一緒に居酒屋に行かない?」
「いいけど・・・・・・」
「なんだよ、乗り気じゃないの?」
「ううん、別にそんなことないよー」
「そうかぁー?」
仲良く会話しながら、大学の中を歩いていく。
バンの話によると、居酒屋で飲み放題つきメニューが出るそうだ。
そのときに私を誘って、飲みに行くことを考えたらしい。
「それでさ、ハルと一緒なら良いよな?」
「私は別に構わないんだけど・・・・・・今晩、行くの?」
「そう、だからさー俺と一緒に行こうぜ!」
酒のことになると、調子に乗ってしまうバン。
そんな彼を見ていると、何か面白く笑えた。
「どうしたの、ハル?」
「何でもないよー」
首を振りながら、慌てて答える。訝しげに見つめるバン。
幼馴染だからか、何か言いたそうな感じがしてならないのだ。
やがて、夜になった頃には居酒屋に入っていた。
その店の店員によって案内された2人用の個室で佇みながら話す。
「へーここが噂の個室か」
「そうみたいだな、直紀が前に言ってたから来てみたんだ」
周りを見回すと、まるでアンティーク風になっていて可愛らしさが芽生えてくる。
そのアンティークを感じさせないオーラ、彷彿さが伺えた。
目の前にはテレビとカラオケセットみたいなものが置かれている。
「うわー何か凄いな!」
「噂じゃあ、カップル専用だとか」
「何それ! でも、何か綺麗だよねー」
うっとりと見とれてしまいそうになるくらい、惚れてしまう。
隣に座っているバンは苦笑しながら、頬杖をつく。
「まあ、良いんじゃないか?」
「でも、ここで飲み放題のメニューが出るんでしょ?」
「ああ、そういうことだよ。まあ、俺も食べながら飲むしな」
「あまり飲みすぎないでよ、バン! 酔い潰れたら介抱しないからね!」
幼馴染に突っ込みながら、冗談っぽく話しかける。
バンはポリポリと頬を掻きながら、照れくさそうに顔をしかめた。
「まあ、良いじゃん、思いっきり楽しめれば良いんだから」
今日は思いっきり楽しむことにして、メニューが届くのを待っていた。
例のメニューが届いた後、バンと話しながら食べつつ、ゆっくり楽しんだ。
時間が経ち、11時ちょうどになる頃には酔い潰れて寝ていた。
隣の席に座っていたバンはテーブルに突っ伏しながら、両腕を枕にして伏せている。
「あーあ、飲みすぎるなって言ったのに・・・・・・」
苦笑しつつも、バンの頬を突いてみる。
爆睡しているのか、未だ目覚める気配はない。
(まったく、バンは相変わらず飲み過ぎちゃうんだから)
酔い潰れたバンを背負いながら歩くのもつらいだろうし、起こすのは大丈夫だ。
大好きな幼馴染と再会したあの頃が懐かしい。アメリカにいた頃のことを思い出してしまうのも、バンの存在があってこそだ。
(バン、いつも心配かけてばかりでごめんね)
イケメンになっていて、チヤホヤされるようになったバンを見ていて、何度か嫉妬したことがある。
それでも、自分のことを大切にしてくれるバンはいつも優しくしてくれた。
(バン、あなたはこうなってしまうのかな・・・・・・)
幼馴染だからこそ、信頼できる仲間がいるのだと思う。
バンはいつでも立ち向かっていかないといけないって言いながらも優しい眼差しで私に語りかけてくれた姿が忘れられなかった。
(どうせなら、あの頃に戻りたい------------------------)
隣で気持ちよさそうに突っ伏して寝ているバンを見て、中2時代の記憶が鮮明によみがえった。