二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去 ( No.344 )
日時: 2012/10/28 22:47
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)

短編3の続き(ハル視点)

その時、バンがコホンと咳払いした。
後ろにいる氷介を思い出しながら振り返った。

「よう、バン・・・・・・」
「ヒョウちゃんだよね?」
「おお、久しぶりだな。大きくなってんじゃねーの、バン」

氷介のことも覚えていてくれたことが嬉しかった。
バンとは仲良く遊んでいたので、氷介もその1人だった。
お互いに成長した姿を見せることができて安心したのも束の間、バンが思い出して言った。

「そういえば、何でここにいるの?」
「一時帰国したんだよ。その理由はバンの家で話しても良いかな?」
「え? ここで話せないことなのかぁー?」

周りを見回しつつ、ヒロを見て思わず首を傾げる。
何やら事情がありそうだと察したのか、キタジマ模型店を出た方が良いかもしれないと思ったのだろう。

「店長、俺たちは帰るから。ヒロも一緒に来るか?」
「はい! せっかくだから、お邪魔させてもらっても良いですか?」
「うん。あ、ヒョウちゃんも来る?」

私とヒロを見て頷きながら考え込んだのか、バンは兄の氷介を見やる。
氷介は溜息をつき、もう少しだけ見回してから遊びに行くって言いながらも店を出た。

「あのバカ兄貴、バンが気遣ってくれてんのにィ〜!」

ガルルルル・・・・・・と唸りながら怒る私を見ていたバンとヒロ。
2人は思わず苦笑しつつも溜息をついて、肩を竦めた。

「しょうがないよな、せっかく帰って来たんだから会いたい人もいるだろうしさ」
「そうだよねぇ・・・・・・まあ、バンに会って話すのも良いよね!」
「でも、アメリカの話も聞きたいくらいだからな・・・・・・せっかくだから、俺んちに泊まってけよ」

泊まってけって言われても、両親がどう言うかも分からない。
まあ、快く承諾してくれれば・・・・・・の話だけど、とりあえず電話してみることにした。

「もしもし、お母さん?」
『あら、どうしたの?』
「今日はバンのところに泊まっても良いかな? 着替えとか持って来れない?」
『良いわよ、バン君なら許せそうだからね』

あっさりOKが出てしまった。バンは幼馴染だから、今夜は泊まることを快諾してくれるそうだ。
夜に持っていくらしい。それまで夕飯を食べさせてもらいつつも待っていた方が良いと言われた。

「うん、分かった! じゃあねー」

電話を終えて、CCMを切った。バンは電話が終わったのを見計らって、先に歩き出す。

「あっ、ちょっと待ってよ!」

バンの後を追いかけながら、河川敷に向かった。
ヒロと一緒に肩を並べて歩きながら、バンの背中を見つめる。

(しばらく見ないうちに逞しくなっちゃって・・・・・・)

幼馴染であることは変わらないはずなのに、どんどん大きくなっていく。
身長を越された今はバンの方が高いし、イケメンっぽくてカッコいい。

「ヒロ、バンは背が高くなったよね」
「そうですか? 確かに僕よりも背が高い方だと思いますよ」

ヒロはアホ毛をピョコピョコ動かしつつも、バンを見て頷く。
確かによく考えたら、昔は小さかったのになーと思い出して比べる。
バンは幼い頃から優しく接してくれるし、その姿はまったく変わらない。

「でも、体育祭があるらしいのは聞いてたんですけどね・・・・・・」
「そうなんだ。ヒロはどこの中学?」
「ミソラ二中ですよ、バンさんより1つ下ですもん」
「ああ、中1だっけ?」

後輩なので、何だかんだで仲良くしてくれるヒロ。
ピョコピョコと跳ねるアホ毛が可愛くてたまらないけど、イケメンっぽいところもある。

「まあ、僕も出ると思いますけどねー」
「へーでもさぁ・・・・・・」

ヒロを見て思い出しながら、先を歩きながら黙っているバンを見やる。
無言で歩いているけど、どうしたんだろうかと思いながら考えた。

「ねえ、バン・・・・・・」
「んー? なんだよ」
「さっきから黙りこくって・・・・・・急にどうしたの?」
「別に何でもないよ、気にしなくて良いんだぞ」

バンはふてくされながらも顔をしかめつつ、すぐ答えてくれる。
その様子を見かねたヒロが私のところに歩み寄り、耳を寄せた。

「ハルさん、ここだけの話なんですけど・・・・・・ゴニョゴニョ」

耳に当てながら、ヒロの話を聞いた。その話を聞いた瞬間、バンの背中を見て驚く。

「・・・・・え?」

レックスっていう人のことが忘れられないでいるのか。
どうりで、バンが沈痛な表情をした理由が何となく分かった。

「レックスっていう人のことが気になるね」

ヒロは無言で黙りながら、コクリと頷く。
2人とも沈痛な表情をして、急にどうしたのだろうか。

(とりあえず、2人の話を聞いてみないことには分からないか)

やがて、バンの自宅に着いた。その玄関のドアを開けると、母親の山野真理絵が温かく出迎えてくれた。

「あら、ハルちゃんじゃない。久しぶりねー」
「どうも、お久しぶりです」

バンのお母さんは相変わらず優しい人で、今も仲良くしてもらっている。
それを見かねたのか、バンは生意気そうに突っ込む。

「母さん、挨拶は良いからジュースとか用意しといてよ」
「あら、よく言うわね」

中2なのに、反抗期になっちゃったのねーと言いながらも笑ってからかう。
ヒロと顔を見合わせながら、思わず苦笑してしまった。

「なんだよ・・・・・・」
「まあ良いから、2階に行こうよ」

靴を脱いで上がりながら、2階に通じる階段を駆け上った。



2階に駆け上がり、バンの部屋に入った。

「うわぁー・・・・・・この部屋に来るの久しぶりだなぁ」
「ああ、確かにそうだな。この部屋は昔と変わってないから」
「へー・・・・・・そうなんだ」

ベッドの前に座り込み、改めて周りを見回す。
昔と比べて変わらないな・・・部屋の風景も幼い頃に来た時と比べて変わっていないことが伺えた。
ふと机の上に写真立てが立てられているのを見つける。

「ん?」

写真立てを見ると・・・バンと見知らぬ男が一緒に写っている。
それにしても、隣に写っている男の人・・・髪型は全体的に青色になっているが、目は茶色で顎に髭を生やしている。
服装はパーカーを羽織っているところから知り合いだったのだろうか。

「この人・・・どっかで見たな」

中1の時、テレビで見たような記憶があるんだけど・・・誰なのか思い出せない。

「ねえ、バン・・・・・」
「んー?」
「バンの机に写真立てが立てられていたよね・・・隣に写っている男の人は誰?」

バンの机に置かれている写真立てを指差しながら見つめる。
この写真立てはレックスこと檜山蓮という男の人と撮ったものだ。

「あぁ、この人はレックスだよ」
「レックス・・・?」

私は首を傾げながら問うた。
そういえば、まだ話していなかったなぁ・・・そう思ったバンは私の隣に座り込んだ。

「バン?」
「おまえにはまだ話してなかったね」

バンは写真立てを持ちながら呟く。
過去の記憶を思い出してしまいそうで怖いのだろうか。勇気を振り絞って話すことにしたようだが、バンは顔をしかめる。