二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去 ( No.348 )
- 日時: 2012/10/29 08:09
- 名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)
しかし、ここからが本当の最終決戦とも言える戦いだった。
バンとヒロにとっては想像以上に苦戦を強いられたというのだ。
「俺たちがここまで粘って戦うしかなかったんだ」
「はい、僕もまったく同感でしたよ。それでも、諦めなかったんですよね」
ヒロは苦笑しながらも、思い出すのが辛いのだろう。
それはバンも同感だったようで、ゼウスとの決着が終わった後は最終任務を達成したようだ。
「ゼウスとの戦いが着いた後、真実さんは拳銃を出して頭を撃とうとしてました」
「その時、ランが空手で蹴り回して弾き飛ばしたんだ」
「うわぁ・・・・・・そんなに大変だったんだね」
花咲ランという子は空手で優勝したことのある実力派の1人。
バンたちに見出され、3人目の戦士として一緒に戦ったらしい。
「ああ。レックスのことは今も忘れてなかったし、真実さんにレックスが死ぬ直前に託した言葉について伝えておいたのさ」
バンの記憶はレックスが死ぬ直前に託した言葉に関することだった。
その記憶がハッキリ思い出せるようだったので、真実にできるだけ伝えたそうだ。
「そしたら、真実さんも分かってくれました」
「ああ、流石に投降したみたいだけどな」
辛い記憶を思い出さなくても良いのにと思いながらも頷いた。
バンの肩を叩きながら、励まして言う。
「バン、そんなに無理して話さなくて良いからさ。本当によく頑張ったね」
「・・・・・・ああ。サンキューな」
バンはヒロと顔を見合わせながら頷きつつ、顔を顰める。
それでも幼馴染が生きてくれて良かった。そう思いながら、見つめていたその時、ヒロが思い出して言った。
「そういえば、ハルさんがここに来た理由を聞いてなかったなー」
「ああ、そうだったね。私がここに来た理由はね、バンに会いたかったって言うのもあるんだけど・・・・・・」
バッグを漁りながら、アメリカのお土産を取り出す。
バンに渡そうと思っていた、誕生日プレゼントを用意していたのだ。
「はい、遅くなったけど・・・・・・14歳の誕生日おめでとう!」
「お、俺にプレゼントくれちゃって良いのかぁー?」
「良いの、遠慮なく開けてくれても良いし!」
その言葉を聞きながら、両手で受け止めて開けるバン。
ヒロは何が入っているのかと思いながら、ジッと見つめていた。
シュルリと紐を解く音がして、床に落とす。その箱を覆っている紙をゆっくり破りながら、慎重に開けていく。
「お?」
バンの目の前に現れた、四角い箱。その中には何が入っているのだろうか。
慎重に1つの箱の蓋を開ける。目の前に現れたのは、バンそっくりのキーホルダーだった。
「うわぁ、俺そっくりじゃん! こんなのもらって良いのか?」
「もちろん、アメリカで作ってきたんだからね」
バンに満足してもらえたようで、本当に安心した。
その時、食い入るようにして見つめていたヒロも笑って頷く。
「ハルさん、本当に凄いですねー」
「へへへ・・・・・・バンには渡せなかったし、帰ってきた時にでも渡しちゃおうかと思ってたの」
「へぇーそうなんですか!」
アメリカでルークの知り合いに相談して作ったんだけど、気に入っちゃったのかな。
あと1つの目的とか言わなきゃいけないんだっけ、体育祭は見に行くつもりでいるということだ。
「あのね、バン・・・・・・あと1つの目的もあって、日本に戻ってきたの」
「あと1つの目的?」
「うん、体育祭見に行くんだけど・・・・・・」
「おまえがぁ? 俺は別に大したことしてないし、リレーに出るつもりはなかったんだけどな」
バンは笑いながら、私を見て思わず苦笑する。
元々、運動神経は良い方だったけど・・・・・・リレー選手として出る予定だそうだ。
なぜ、出るつもりはなかったのかと思いながらも首を傾げる。
「何で出るつもりはなかったの?」
「俺、寝ててさー。その時にテルに起こされて、黒板を見たら・・・・・・俺の名前が書かれてて、男子リレーに出るってなっちまった」
やっぱり寝てたんかい、そこまで爆睡してたとは思わなかった。
テルとアミからメールで聞いてたけど、本当だったようだと納得した。
「あんた、本当に居眠りしてたんだねー」
「知ってんの、ハル?」
「ええ、知ってますとも。アミから聞いてたよー」
「アミのヤツ、余計なことすんなよ」
バンは顔をしかめながら、溜息をついた。
その様子を見ていたヒロも思わず苦笑する。
「まぁ、分からなくもないかな・・・・・・」
「ヒロ、バカにしてんのかぁ?」
「バカにしてませんよ、バンさんっ!」
ギャーギャー騒ぎながらも仲良くふさげ合うバンとヒロ。
何だかんだで仲がいいようだと思いながら、フッと笑った。
(バンも元気そうで良かった)
土曜日の体育祭を楽しみにしながら、あの日の夜はバンと仲良く話すことができたのだ。
大学生になった今は酒を飲めるほどまでになっていたけど、そこまで飲んでいるバンを見ているとホントにハラハラしてしまう。
「バン・・・・・・」
隣の席に座って、テーブルに突っ伏しているバン。
そんな彼を見つめながら、溜息をついた。幼馴染がいて、当たり前のことである。
彼がいると、なぜか安心できるのだろうか・・・・・・ふと時間を見て、バンを起こさないといけないようだ。
「もう12時半か、そろそろ起こすか」
そう言いつつも、バンの背中をユラユラ起こしながら話しかける。
「バン、起きて。もう12時だよー」
「ぅん・・・・・・」
「いつまで寝てんの、目を覚ましなさい」
「んー・・・・・・ハルゥ?」
眠そうに顔を上げ、バンは寝ぼけ眼で私を見つめる。
居酒屋にいるのだと気づき、知らない間に涎を垂らしてしまったらしい。
バンは眠そうに右手で垂らしてしまった涎を拭った。
「うへぇ・・・・・・こんな時間まで寝ちまってたのかぁ」
「うん、そろそろ帰ろうよ。立てる?」
「ああ、何とかなぁ・・・・・・」
フラフラ歩きながらも、バランスを崩さないようにして立っていた。
私は背中を支えながら、会計に向かった。バンに外で待つようにと指示して、会計を済ませる。
「バンのヤツ、大丈夫かねぇ・・・・・・」
あれだけ飲みまくったら寝ちゃいそうになるよねぇ・・・・・・そう思いながら、店を出た。
酔っ払っているのか、階段で蹲るようにして寝ていたバン。
「バン、そこで寝てたら風邪を引くって」
「ぅー・・・・・・終わったの?」
「会計なら終わったよ。ほら、帰るよ!」
ちゃんと立ってよーって言いながらも、バンの上半身を起こす。
フラフラと歩きながら、手すりに掴まって駆け上る。
「大丈夫か、バンのヤツ・・・・・」
酔っ払いを相手にするのが大変だけど、バンなら特別だ。
それでも、寝てしまいそうにならないか気になってしまうのである。