二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去 ( No.433 )
- 日時: 2012/11/06 23:35
- 名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)
第17章の続き
(ストーリーモード:立向居)
翌日、トキオ大学でいつものように授業を受けた後の昼休みに楓を連れて行った。
「勇気、急に私を連れてきてどうしたの?」
「あいつのところに行くんだよ」
「ああ、太陽ね。それがどうかしたの?」
「実は・・・・・・・」
昨夜、信助から電話がかかってきたことを話した。週末の土曜日にやることが決まり、一緒にやってくれそうな人を思い出しながら考えた上で苦渋の決断を下すしかなかった。
「だから、青峰しかいないということになるんだ」
「なるほどねーそれで、体育館にいる太陽を呼び寄せるってことね」
つまり、スポーツ万能である青峰太陽しかいない。彼はなんたって、奇跡の世代の1人である青峰大輝の兄だ。
「そういうことだ。太陽に頼むしかないから、俺の話を聞いてくれるかどうか分からないな」
「太陽なら大丈夫じゃない?」
楓は笑って、俺を見る。青峰ならできそうな感じがしてならなかった。
なぜなら、あいつはバスケ馬鹿なのだ。大輝もその1人であるが、バスケの実力は持ってしても、俺の実力を上回るほどの能力を発揮してしまう。
(太陽も大輝もなかなか実力はあるけど、サッカーできそうなのが太陽しかいないっていうのはどうだかな)
そう思いながら、楓を連れて体育館に向かった。
数分後、体育館に着いた俺は周りを見回しながら探す。
ふと、キュッキュッと音を鳴らしながら動く青年の姿が目に入った。
「あれは・・・・・・」
紛れもなく、青峰太陽だった。顔は大輝よりはマシだけど、ちょっと肌が黒い。
髪型はボーイッシュな感じになっていて、青い髪を靡かせている。目は両目ともに太陽の色に近い黄色になっていて、綺麗さを感じさせないオーラを醸し出している。
(太陽のヤツ、よくやってるなー)
キュッキュッと音を鳴らしながら、ダムダムとバスケットボールを叩きつつも見事なボール捌きを操ってからシュート体勢に入った。
「おっ・・・・・」
同時に太陽はボールを持ったまま走りこみ、ジャンプした後に左手で置くようにしてレイアップシュートを決めた。
「凄い、太陽!」
「あっ、バカ・・・・・・」
楓が急に声を出したので、すかさずフォローしようとした。その時はもう既に遅し。
とっくに気づいた楓は顔を青ざめながら、俺に向かってうなだれる。
「勇気、太陽に気づかれちゃった・・・・・・」
「はぁ・・・・・・ったく、しょうがないな」
2人で苦笑しながら、顔を見合わせていた。その様子に気づいた太陽がボールを持ったまま駆け寄る。
「よっ、たちむー。急に来て、どうしたの?」
「太陽、週末の土曜日は空いてる?」
「週末の土曜っすか? 空いてますけど・・・・・・」
太陽は俺を見ながら、怪訝そうに首を傾げる。
楓が突っ込みながら話しかけてくれた。
「サッカーバトルやってくれない?」
「俺が? 何で?」
「4対4のチームバトルでやるんだけど、おまえもどうだ?」
「チームバトル? 面白そうだな、大輝も一緒に連れてきてやろうぜ」
「そう言うと思っていたよ。太陽、サッカーはどれくらいできそう?」
「まあ、ある程度はできますよ。たちむーがそこまで言うなら、俺も協力してやるぜ」
太陽もあっさり受け入れてくれたので、快く引き受けてくれることに感謝した。
青峰兄弟をチームに入れることができたのは良いとして、もう1つの問題が深まる。
それは兄の直毅についてだ。直毅が承諾するかどうかも分からないまま、聞けそうにもなかったのだ。
「うーん・・・・・・」
「どうしたんすか、何かあったの?」
「直毅のことで悩んでるんだよなぁ・・・・・・」
その台詞を聞き逃さなかったのか、楓が俺を見て突っ込みをかける。
「なんで悩んでるの?」
「酒浸りになってる兄貴の状態を考えれば、サッカーできるかどうかも分からないよな」
「あーそれは一理あるかもね。太陽、誰か知り合いはいない?」
「あっ、黄瀬ならどうですかね? あいつ、模倣できる能力を持ってたから運動神経は抜群だぜ」
青峰の知り合いに奇跡の世代の1人である黄瀬涼太がいたことを思い出す。
そういえば、前に会ったことがあったのを思い出した。確か、大輝が連れてきてくれたんだ。
その時にバスケの練習相手になって付き合ってあげたのを覚えている。
「じゃあ、直毅がダメになったときのことも考えて・・・・・・黄瀬も呼び寄せるしかないな」
「そういうことなら、俺に任せときな! 大輝には俺から言っておく」
「悪いな、太陽。大輝にもよろしく言っといてくれ」
「おう、じゃあなー」
そう言って、太陽はバスケの練習に戻った。後は直毅に話してみるだけか。
ちょっと複雑かもしれないが、夜になってから自宅で待ち伏せて聞くしかない。
やがて、時間が経って・・・・・・夜11時ちょうど。
寝静まる頃、俺は部屋で直毅が帰ってくるまで待っていた。
すると、どこからか物音がして振り返ると・・・・・・部屋のドアが開いたかと思えば、直毅がふらつきながら帰ってきた。
「ウーイ、勇気ィ・・・帰ったぞォ〜」
「やっぱり飲んだんだな。ほら立って」
「んー・・・・・・」
直毅を背負いながら、ベッドに寝かす。どこで飲んだのかも知らないし、きっと飲みすぎていたのだろう。
へべれけに酔っ払って帰ってきて、聞きたいことがあるのになーと思いながら顰めた。
「直毅」
「んー・・・・・・なんだよ、俺は眠いっつーの」
「週末の土曜、空いてる?」
「土曜日ィ? 何なんだよ、もう・・・・・・」
「サッカーバトルやるんだけど、直毅も一緒にやらない?」
直毅に話しかけたら、うとうとしつつも眠そうに見つめた。
何か目が据わっていて、あからさまに俺を見ているかのような目つきをしている。
「な、直毅?」
「サッカーやってねーし、そんな俺が出ていいのかぁ?」
「別に良いよ。直毅のやりたいポジジョンで良いし、俺は直毅と一緒にやりたいんだ」
直毅に直訴しながら頼み込んだ。もちろん、予定がないことを祈っている。
すると、身じろいだのかと思えば・・・・・・直毅は眠そうに上半身を起こす。
「こんな俺でいいの? 本気を出しても知らねーぞォ?」
「別に良いよ。直毅が一緒にいてくれたら、俺はそれで十分だよ」
「そういうことなら引き受けても良いぜ」
直毅はヒックと呻きながら、俺を見て頷いた。
想像以上に快諾したことが良かったのか、直毅は上機嫌になっている。
思ったよりやってくれそうな予感がしてならなかったのは気のせいか。
「そうか。ちょうど良かった、4対4のチームバトルやるんだけどさ」
「あーそっか、チームバトルやんのかぁ・・・・・・」
「何、やりたくないの?」
「いや、別にそう言ってるわけじゃねえ。俺が言いたいのはなぁ・・・・・・」
ヒックと呻きながら言う直毅は顔を顰めつつも、俺を見て呟く。
同時に突っ伏して、深い眠りに落ちてしまった。直毅の寝入りを見たら驚くのは久しぶりだった。
「直毅?」
「すー・・・・・・すかー・・・・・・・」
酒を飲んだのが効いたらしく、睡魔に襲われて寝入ってしまったのか。
あるいは飲みすぎていたのかもしれないが、週末の土曜日の決戦が楽しみになってきた。
(よーし、信助たちに勝たないとダメだな)
気合を入れなくてどうする!
自分がチームをまとめなきゃいけないので、しっかりやるだけ。
(週末の土曜日の決戦が楽しみだな)
俺は窓の外に映った光景を見つめながら、土曜日のチームバトルに思いを馳せた。
勝負することはサッカーも楽しむこと、それが唯一の救いだ。本気を出し合っていかないといけないので、全力を出し切っていくつもりでいる。
(やるからには頑張らないと!)
その思いを胸に入れ、気持ちを高めようとしていた。
勝負の時が迫ろうとしている・・・・・・サッカーバトル対決を制するのはどちらなのか?