二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去 ( No.495 )
日時: 2012/11/14 18:43
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)

短編5の続き(バン視点)

しばらくして、7時間が経過した頃には夜10時になっていた。
酔い潰れて、いつの間にか知らない間に寝てしまった俺はカウンターに突っ伏していた。

「うぅん・・・・・・」

眠そうに目を開けると、傍に置いてあるCCMのランプが点いていた。
それに気づき、突っ伏したまま開くと着信ありが3件も入っている。

(いつの間にか寝てたんだな、俺・・・・・・)

着信ありを開くと、差出人は人見晴香と母親からだった。
コールしてくれたのに、気づかなかったのかな。

「飲み過ぎちまったんだな、どうかしてるよ・・・・・・」

他愛もない一言を呟いたその時、返ってこないかと思われた返事が聞こえた。

「誰がどうかしてるって?」

隣の席に座っている女性を見て驚く。空手部の練習に行っているはずの高橋輝美がいた。

「テル・・・・・・何でここにいるんだよ」
「学校にも来ないで、急にサボったかと思えば・・・・・・昼間から酒浸り?」

テルは苦笑しながら、俺を見つめて言う。
痛いところを突いてくるテル・・・・・・いつもお調子者で、気遣うことができる幼馴染が目の前にいて当たり前だ。

「空手の練習は?」
「もう終わったよ。ここで夕飯を食べようと思ってたら、バンがいるからビックリした」

2回も起こしたけど、なかなか起きなかったから爆睡してるんだろうと思って、ソッと寝かしておいたらしい。
彼女の機転で気づいて起きたのは、久しぶりだった。

「お母さんに電話して聞いたら、大学にも来てないのーって言い出すし。何かあったの?」
「別に・・・・・・何もないって、ヒック」

泥酔していることは明らかに汲み取れていたので、テルも心配していたに違いなかった。
テルはここで食事を済ませて帰ることにしていたので、彼女と別れて帰ろうかと思っていたのだ。

「1杯飲んでから帰る」
「いいけど、何で?」
「おまえがいると、うるせーよ」

グラスに残った酒を一気に飲み干し、おかわりーって言いながら呟く。
その様子を見ていたテルは首を傾げながら気づいている。

「ちょっと、その台詞・・・・・・・」
「あん? 何か言ったかぁ?」
「ハルもあんたのこと、本気で心配してたんだから!」

テルは顔をしかめながら、すぐに言い放つ。

「そんなこと言われても分かんないよ」

コップに酒を注がれて運ばれたのと同時に受け取って、煽るように飲んだ。



テルと別れて、帰路についた。ハルが俺の家で待ってることなんて有り得ないだろうな。
そう思いながら、千鳥足で歩いて帰った。
 
「ふぃー」

飲み過ぎたのか、玄関前まで辿り着いたのと同時にドアを開ける。

「お帰り、兄さん」
「たらいまー」

健太が待っていてくれていたので、2階でハルがいると教えてくれた。
その証拠に玄関に置いてある靴がハルのものだと分かったからだ。

「ハルがここにいるのかぁ?」
「いるよ。2階で待ってるから行ってあげなよ」

健太は直太たちと一緒に居たので、1階で寛いでるからゆっくりしていってーと言いながら笑う。

「おう、サンキュー」

2階に駆け上がり、部屋に着いて開けると・・・・・・ハルがソファに座りながら、Lマガの雑誌を読んでいた。

「あ、お帰り。遅かったね・・・・・・」

フラフラと歩きながら、ベッドに傾れ込むかのようにして倒れこんだ。
酔いが回ってきたせいで寝惚けているのかどうかも分からない。ハルは雑誌を閉じて、ソファに置いてから駆け寄った。

「遅かったけど、何してたの?」
「別に・・・・・・」
「嘘つけー! さては酒飲んでたな?」

ハルに人差し指でデコピンされて、顔をしかめて起きる。

「痛っ! 何すんだよ、知ってんのかぁ」
「知ってるよ。そこで飲んで寝てたみたいだーって、そこの店の店長が言ってたって教えてくれてさ」

それに何があったのかというような顔をしながら、俺を見つめる。
視線を注がれたら困るので、ハルを抱きしめた。

「ちょ、バン!?」
「ちょっとでいいからさぁ・・・・・・・」
「バン、もしかして酔っ払ってるの?」

ハルに咎められても、黙りこくったまま抱きしめた。
そうだ、目の前には彼女がいるんだ。悪夢を見られないで済むのはいいけど、彼女の真意を知りたい。

「なあ、ハル・・・・・・」
「何? 急に改まって・・・・・・」
「目の前から消えていなくなったりしないよなぁ?」

トロンと目が据わっている俺の様子を見て、首を傾げた。
酔っ払っているのか、寝惚けているのかまだ分からない。

「急にどうしたの? 話が分からないんだけど・・・・・・」
「いなくなったりしたら困るって・・・・・・」

ゴロンと横たわりながら、ハルを見つめた。
しばらく見ない間に可愛くなって、どうしようもないくらいに大人っぽくなっている。

「もしかして、嫌な夢を見ちゃった?」
「んー・・・・・・そんなところかなぁ」
「何、そんなにリアルだったの?」

ハルは興味深そうに俺を見て笑う。
何か自分がからかわれているようで気になったので、深い眠りに落ちた。