二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去 ( No.504 )
日時: 2012/11/15 23:31
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)

短編5の続き(バン視点)

2日経った夜、俺はトキオ大学近くの居酒屋で酒を飲んでいた。
グビグビと飲みながら、中に酒が入ったグラスを煽る。ハルにどんな顔をして会えば良いか分からなかった。

(一昨日の夜、ハルが家で待っていてくれたのは覚えてる・・・・・・)

当時は飲み過ぎたのか、かなり酔っていたのだろう。
ハルに甘えて抱きつくなんて有り得ない。その記憶すらないというのもあるが、ハルに会う顔がないのだ。

「はぁ・・・・・・どんな顔をして会えばいいんだ」

ちびりと酒を煽り、飲んでいた俺は顔を顰めた。そこにいたバーデンダーが俺を見て言った。

「君、飲み過ぎじゃないかね」
「良いんですよ、飲みすぎてもさぁ・・・・・・今の俺はあいつに会う顔すらないんだ」

一気に煽ると、派手にドンッとグラスを握ったまま叩く。
飲み過ぎて、何が悪いんだよって言いたいくらいだ。ハルがここに来るわけではないので、会うつもりはなかった。

「うお、何があったのか知らないけど・・・・・・僕でよければ聞こうか?」
「別に良いですよ。大したことじゃないから・・・・・・」

俺はバーテンダーに話すつもりでいたけど、その気になれなかった。
ゆっくり酒を飲みながら過ごす時間が気に入っていたので、気が済むまで飲むしかないというのが現状だ。
それでも、ゆっくり寛ぎながら飲むことのできる場所・・・・・・それが居酒屋だ。

「おーい、今日は度の強い酒をくれ」
「はい、かしこまりました」

バーテンダーに言いながら、グラスに酒が注がれるまでの間にCCMを開く。
ふと、1通のメールが来ていた。差出人は幼馴染の人見晴香だった。

【バン、話があるけど・・・・・・いい? 今どこ?】

俺に話したいことって・・・・・・何だろう?
とりあえず、場所を教えた方がいいかなって思いながら打ち込む。

【大学の近くの居酒屋にいるよ、部活が終わったら来てくれ。俺、もしかしたら寝てるかもしれないから起こしといて】

メールの文章を打った後、黙りこくったままで返信を送った。
俺、何かしたかなーって思いながら、グラスに入った酒を見つめる。

「仕方がないけど、ハルが来るまでの間はゆっくり寛いでいた方が良いかな」

苦笑しつつも呟いた後で、一気に飲み干した。飲むと気持ちが良くなって、どうでも良いやって思えるようになる。
度の強い酒を飲みながら堪能できる時間がほしいこともあったので、楽しませてもらうことができた。



しばらくして、4時間が経過した頃には夜10時ちょうど。
カウンターに突っ伏して寝ていた俺の肩を揺り起こしながら、優しく話しかけてきた。

「バン、起きてよ」
「ぅーん・・・・・・」

揺り起こされたのと同時に唸り声を上げながら、眠そうに顔を顰める。
眠くてたまらないのか、目覚める気にもなれなかった。その瞬間、強く揺り起こされて話しかけられた。

「バン、ここで寝てたら・・・・・・風邪引くよ!」
「うーにゃむぅ・・・・・・んぁ?」

ようやく、意識が戻ってきて眠そうに目を開けると・・・・・・ボンヤリと視界が映った。
幼馴染の人見晴香が心配そうに覗き込んでいる。ハルの姿を捉え、眠そうに目を擦った。

「・・・・・・ハル?」
「空手部の練習、終わって来たんだけど・・・・・・バンが気持ち良さそうに寝てたから起こしといたんだよ」
「起こしても、俺が起きなかったって言いたいのかぁ?」
「そんな感じ。飲み過ぎは良くないでしょ!」

ハルに突っ込まれて、顔を顰めながら突っ伏した。
今にも眠りそうな感じだったこともあって、本題に入ることに。

「そういやぁ、メールで言ってたヤツなんだけど・・・・・・」
「ああ、話したいことがあるって言ってたよね。その前に夕飯を食べないとね」

ハルは構わずに、バーテンダーに向かって注文した。
カルピスサワーと焼き鳥を注文しつつ、モグモグと食べている。

「ハル、何の話がしたいんだよ」
「うん。2日前のアレが気になってね・・・・・・目の前から消えるのが嫌だってこと?」
「何でそれ知って・・・・・・」
「あれ覚えてないの?」
「ああ、覚えてねーよ」 
「そっかぁ・・・・・・バンは酔ってたから、記憶にないかもしれないね」

ハルは苦笑しながら、簡単に要約して纏めてくれた。
酒を飲んで帰った後、いきなり抱きしめてきた時に言い放ったのを聞いたそうだ。

【目の前から消えていなくなったりしないよなぁ?】

そんなこと言っていたのを聞いたらしく、脳裏に残ってしまったらしい。
よっぽど、悪夢を見たせいで不安になってしまったのかもしれない。
確かにそんなこと言ったような記憶がある・・・・・・けど、それが本当かどうかは分からない。

「・・・んで、俺に言いに来たのはそれだけ?」
「ううん、それだけじゃないわ。あと1つ、気になることがあって聞こうと思ったの」
「気になることって・・・・・・なんだよ、それ」
「バン、もしかして・・・・・・悪夢を見ちゃったの?」

ついに聞かれるだろうと思っていた質問。それに答えるわけにはいかず、悩んでいたのだ。
ハルが気になっていたことって・・・・・・悪夢のことだったのか。

(流石にそこまで言われたら観念するしかねーな)

苦笑しつつも、グラスに残っていた酒を飲み干して話すことを決意した。

「俺、3日前の夜に悪夢を見ちまったんだ・・・・・・」
「3日前に悪夢を見た!?」
「ああ、しかもリアルだったからな・・・・・・ハルに顔を合わせることができなくて、もの凄く怖かったって言うのと俺の前から消えていなくなったりしたら嫌だっていう気持ちがあったんだよ」

酒をグラスに注ぎながら呟いて、顔を顰めた。ハルに言ったら怖がられるかもしれない。
確かにリアルだったし、恐怖を感じてしまうほど怖かったから覚えている。

「なんだ、そんなことかぁー」
「そんなことかってなんだよ、俺が真面目に話してるんだぞォ?」
「うん、聞いてるよ。でも、私はバンのことが好きだから・・・・・・目の前からいなくなったりしないよ」

ハルの言葉を聞いて、驚きを隠せなかった。あの時、すぐに気づいていたのか。
酔っ払ってたこともあって、寝惚けて言おうとしたところまでは良かった。意識が途切れて、その後の記憶が全くない。

「ハル、俺の話を聞いてたんならさぁ・・・・・・」
「バン? 急にどうしたの?」
「ちょっと良いよな、俺んちで寝ないかぁ?」
「良いけど・・・・・・・・なんで?」
「おまえがいないと寂しいからさ、添い寝しちゃダメ?」
「ここでは無理だって、家まで送るから」

ハルに咎められて、人差し指で俺の口を封印した。
俺は顔を顰めながら、強引なところは相変わらずだと思いながら笑う。

「良いのかよ、リンや健太たちがいるんだぞ」
「別に良いの、私は細かいことをあまり気にしないからさ」
「そっかぁー・・・・・・あと1杯飲んだら帰ろうぜ」

酒を煽りながら飲んだ後、ハルと一緒に居酒屋を出たのだった。