二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去 ( No.516 )
日時: 2012/11/17 09:32
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)

第26章 富士本優実&長月レオン、登場!

(ストーリーモード:ハル)

トキオ大学からの帰り道、幼馴染の山野バンのことが心配でたまらなかった。
いつもなら居眠りしているけど、今回は授業に来ていない。サボりかと思えば、余計に苛立つ。

「ったく、何なのよー!」
「でも、ハル・・・・・・山野君も気にしてるんだと思う。リンちゃんのことが気がかりでならなかったんじゃない?」

月島楓に声をかけられて、思わず躊躇ってしまう。
しかし、夜に吹くそよ風が当たってくる。それを受け止め、気持ちよさそうに目を閉じて笑う。

「まぁ、しょうがないんじゃない?」
「それにしても、引っかかることがたくさんありすぎて・・・・・・」
「引っかかるって、何が?」
「リンちゃんのことよ。バンに電話したけど、出てくれないのよ」

あいつのことだから、酔っ払って寝ているに違いない。
家まで来て、押しかけたいというのは山々なのだが・・・・・・どうにもならない。

「くっ、バンに会えないのが嫌なんだけど!」
「嫌って言うほどじゃ悩んじゃうんじゃない?」
「それほどでもないって言えると思う!?」

どうも引っかかるし、リンのことが気になる。
いや、彼がいればいいだけの話なのに・・・・・・・バンを起こすのも気が引けた。

(どうでもいいか・・・・・・)

その時、駅の方から悲鳴が聞こえてきた。
まるで雄叫びに近いような感じ・・・・・・誰かが喚いているのかもしれない。

「ギャーッ!」

聞きなれない声を拾った私と楓は顔を見合わせながら、駅に向かった。




トキオシティ駅に駆けつけると、1人の少女が不良グループに絡まれていた。

「ちょっと放してよ!」

少女が喚くようにして、すすりながら泣く。不良グループのリーダー格が言い放った。

「このガキ、俺に逆らうんじゃねえ!」

居た堪れなくなった私は怒りのボルテージが最高潮に達したのと同時に、大声を上げた。

「こら---------------------っ! 女の子をいじめるな!!」

ギクッとして固まった不良グループは私を見て怯える。
ガルルル・・・・・・・と唸り声を上げながら、腕を組んだ。

「女の子に手を出したら、承知しないよ!」
「この女ァ・・・・・・俺に刃向かったら、承知しねーぞ!」

リーダー格の少年は私に向かって、蹴りを食らわせようとした。
その蹴りをガッチリと受け止めた。私はキッと鋭い目で睨みつける。

「受け止めた!?」
「だてに鍛えてないからね、私の蹴りをくらいなっ!」

ハァァッと叫びながら、右足を振り上げて蹴る。リーダー格の少年の頬に炸裂した。

「ぐはっ・・・・・・」

蹴り飛ばされたかのような感じで倒れこんだ。それを見た不良少年たちは唖然として見つめている。
少女は呆然として突っ立っていたので、何が起きたのか分からなかった。

「嘘ォ・・・・・・」

不良少年たちはリーダー格の子を連れて逃げ出した。
その場に残った私と楓は女の子のところに駆け寄り、優しく声をかける。

「大丈夫だった?」
「はい、ありがとうございます」

特徴は腰まで延びた髪を一つ結びにしていて、目は普通だ。
ピンク色の長袖ワンピースの下に黒色のスパッツを履いており、右肩にはとある模様がくっきりと残っていた。

「あの、私は富士本優実と言います。よろしくお願いします」
「優実ちゃんって言うのか、よろしくね。私は人見晴香、ハルって呼んで!」
「私は月島楓よ。よろしくね!」

楓と一緒に自己紹介を済ませた後、優実に話を聞くことにした。

「何があったの?」
「それが・・・・・・・」

学校の帰りがけに出くわしてしまったのだという。
そこに通りかかった私たちがいたから、助けを呼び出したそうだ。

「なるほど、それで絡まれちゃったのね」
「はい・・・・・・ハルさん、さっきの蹴りは凄かったです!」

優実はキラーンと目を輝きながら、両手を突き上げて言い放つ。
興奮気味にまくし立てる優実を見て思わず苦笑した。

「まぁ、空手やってるからね」
「でも、キョウヘイくんたちもいるから寂しくないですけど・・・・・・」

優実が言いかけたその時、聞きなれない青年の声が聞こえてきた。

「おーい、優実! こんなところにいたのか、帰るぞ」
「あっ、レオン兄ちゃん!」

髪型や服装はポケモンBWの主♂みたいな感じになっている。髪の色は黒髪であり、目は青だ。
ハーフみたいなものだろうか、親から遺伝を受け継いでいるのかもしれないが。

「あれ、ヒロと一緒にいた・・・・・・」

青年は目を丸くして、驚きを隠せなかった。
数日前にキタジマ模型店で会ったことがあるのを思い出す。

「あっ、もしかして・・・・・・」
「ああ、キョウヘイたちに指導してたんだ。そういえば、自己紹介してなかったな」

青年はコホンと咳払いしてから、私たちを見て自己紹介してくれた。

「俺は長月レオンって言うんだ。バンとヒロの友達だけど、よろしくな」
「私は人見晴香って言うんだ。ハルって呼んでね! よろしく!!」
「私は月島楓、よろしくね」

自己紹介を済ませ、レオンに質問した。

「もしかして、バンの知り合い?」
「知り合いって言うか、友達だよ。ヒロとは同じ年だから」
「ヒロと同じ年って・・・・・・ええ!?」
「そこまで驚くのも無理はないね。7年前のディテクター事件の後に留学してたんだ」

レオンは7年前のディテクター事件の後に留学していた。留学先はLシティだという。
そこで、ある程度の知識を得た上で日本に帰国した。そして、進学先のトキオ大学で社会学部に所属しているらしい。

「まぁ、そこまで行ける距離ではなかったけど・・・・・・」
「僕がいたからっていうのもあるよね?」

レオンの背後に見覚えのあるシルエットが視界に映った。
大空ヒロだった。トキオ大学でも仲良くしてもらっているので、大丈夫だ。

「ヒロォ!? 何でここに?」
「ボクシング部の帰りだよ。久しぶりだね、レオン」
「久しぶりだな、ヒロ。帰ってきたこと言えなくてごめんな」
「別にいいよ。レオンに会えてよかったなって思うんだ。でも・・・」

ヒロは私たちを見て、思わず溜息をついた。ヒロもバンのことが気になっているのだろう。
レオンは首を傾げて、私たちを見た。

「あのさ、何かあったのか?」
「バンが学校に来てないのよ」

レオンの目が大きく見開かれ、バンが学校に来ていないことに気づく。
いったい、どういうことだと言わんばかりに私たちを見つめた。

「どういうことだ、ヒロ?」
「ある事件を追っててね・・・・・・レオンに言うか迷ったんだけど、どうしようかな」

ヒロはポリポリと頬を掻きながら、顔を顰めていた。
レオンのことで何か問題があるのかと思い、首を傾げる。

「ヒロ、レオンに何か問題があるの?」
「それが大有りなんですよねー」

ヒロはレオンを見て、思わず苦笑しつつも話してくれた。

「実は彼、アスペルガー症候群を患っていてね。そのせいで言いたいことを言ってしまうのが1つの悩みです」
「ヒロ、ハルさんたちに言っちゃっていいの?」
「仕方ないだろう、レオンのこと信用してもらえそうもないしさー」

アスペルガー症候群って、自閉症の1つだったような気がする。
楓によると、コミュニケーション障害もその1つに含まれるという。

「なるほどね、レオンと仲良くしたいからよろしくね!」
「こんな俺でも良いの? もし良ければ、事件の調査も手伝うぜ」
「もちろん! バンに問い詰めてやるんだからっ!!」
「ハルさん、燃えてますねー! 私も手伝います!!」

優実もやる気が沸いてきたようで、意欲はありそうだ。
レオンも手伝うから、ヒロと一緒に捜査してもらうことになる。

(バン、あんたのところに行くから待ってなさい!)

レオンと優実の2人を仲間に入れたハルはバンに対する思いを抱きながら、決意を固めたのだった。