二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去 ( No.603 )
日時: 2012/11/20 21:48
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)

短編4の続き(ナオ視点)

しばらくして、7時間が経過した頃には夜10時になっていた。
酔い潰れて、いつの間にか知らない間に寝てしまった私はカウンターに突っ伏していた。

「うぅん・・・・・・」

眠そうに目を開けると、傍に置いてあるCCMのランプが点いていた。
それに気づき、突っ伏したまま開くと着信ありが3件も入っている。

(いつの間にか寝てたんだな、私・・・・・・)

着信ありを開くと、差出人は人見晴香と大空ヒロの2人、母親からだった。
コールしてくれたのに、気づかなかったのかな。

「飲み過ぎたんだな、どうかしてるよ・・・・・・」

他愛もない一言を呟いたその時、返ってこないかと思われた返事が聞こえた。

「誰がどうかしてるって?」

隣の席に座っている女性を見て驚く。空手部の練習に行っているはずの人見晴香がいた。

「ハルさん・・・・・・何でここにいるんですかぁー?」
「学校にも来ないで、急にサボったかと思えば・・・・・・昼間から酒浸り?」

ハルは苦笑しながら、私を見つめて言う。
痛いところを突いてくるハル・・・・・・いつも優しいし、気遣うことができる山野バンの幼馴染が目の前にいて当たり前だ。

「空手の練習は?」
「もう終わったよ。ここで夕飯を食べようと思ってたら、ナオがいるからビックリした」

2回も起こしたけど、なかなか起きなかったから爆睡してるんだろうと思って、ソッと寝かしておいたらしい。
彼女の機転で気づいて起きたのは、久しぶりだった。

「お母さんに電話して聞いたら、大学にも来てないのーって言い出すし。何かあったの?」
「別にィ・・・・・・何もないって、ヒック」

泥酔していることは明らかに汲み取れていたので、ハルも心配していたに違いなかった。
彼女はここで食事を済ませて帰ることにしていたので、その時に別れて帰ろうかと思っていたのだ。

「1杯飲んでから帰ります」
「そんな状態で帰るの? ナオ、本当に飲みすぎよ」
「いいじゃないれすかぁ〜飲んでもさぁ・・・・・」
「良くないよ、飲み過ぎたら寝ちゃうかもしれないんじゃない?」
「良いでしょ、飲ませてくらさい〜」

グラスに残った酒を一気に飲み干し、おかわりーって言いながら呟く。
その様子を見ていたハルは首を傾げながら気づいている。

「ちょっと、その台詞・・・・・・・」
「あん? 何か言った?」
「ヒロもあんたのこと、本気で心配してたんだから!」

ハルは顔をしかめながら、すぐに言い放つ。

「そんなこと言われても分かりましぇ〜ん」

コップに酒を注がれて運ばれたのと同時に受け取って、煽るように飲んだ。
飲んだ後、カウンターに突っ伏して寝てしまった。





数分後、誰かにおぶさられていることに気づいて目を覚ました。

「・・・・・・んぅ?」

ボンヤリとした視界に見覚えのあるアホ毛の青年が目に映った。
何か温かいと思ったら、ヒロの背中だったと気づいて呟く。

「ヒロォ・・・・・・」
「んー?」

声を聞いて、私が起きたと気づいたヒロは苦笑しながら言う。

「ナオ、起きたのか」
「何でおんぶしてるの?」
「居酒屋に行ったら、カウンターに突っ伏して寝てたんだよ。おまえを起こすの大変だったんだぞー」

ヒロは苦笑しながら、私を背負ったまま歩いて答える。
幼馴染だから、気を許してしまうのだろう。そういえば、何でヒロがいるの?

「ヒロがここにいるってことは・・・・・・」
「そう、ハルさんに呼ばれて迎えに来たとこ。それでナオが酔い潰れてるの見てビックリしたぞ」
「そっかぁ・・・・・・」

ヒロの優しさに気づくことができた瞬間、ホッとしたのも束の間に目を閉じた。





しばらくして、気持ち良さそうに寝ていた私を呼ぶ声が聞こえた。

「・・・・・・ナオ! ナオ起きて」
「んぅ・・・・・」

目を覚ますと、ヒロが目の前にいた。どうやら、グレースヒルズにあるヒロの家らしい。
自宅よりもこっちの方が近いからということで判断したのだろう。
周りを見回すと、ヒロの部屋だった。どうやら、ヒロのベッドで寝かされていたらしい。

「あっ、靴・・・・・・」
「ああ、僕が脱いでおいたよ。水飲む?」

準備周到に水の入ったコップを差し出す。素直にありがたくいただくことにした。

「うん、ありがと・・・・・・」

ゴクゴク飲んだ後、ヒロに渡す。そういえば、イケメンになったな。
ヒロはいつも優しくて明るいし、素直なところもあるから好きだけど・・・どうして気遣ってくれるんだろう。

「どうしたの、ナオ?」
「ねえ、ヒロ・・・・・・目の前からいなくなったりしないでよ」

ようやく言うことができたので、ヒロを見ると驚きを隠せないようで躊躇っていた。
あいた口が塞がらなかったのかもしれないが、幼馴染が目の前からいなくなるのは嫌だと思ったのだ。

「急にどうしたんだ、ナオ?」

パジャマに着替えたヒロは首を傾げながら、私の隣に座って聞く。
彼がいなくなるのが嫌で不安があったし、聞きたいこともある。それが怖くて、ヒロに嫌われるんじゃないか。

「もしかして、悪夢を見ちゃったの?」
「うん・・・・・・・」
「どんな夢を見たの?」
「ヒロが目の前からいなくなる夢・・・」

そのことを聞いたヒロはあることを思い出す。
先輩の山野バンから聞いた話と酷似しているのだということに気づいた。
バンもハルが目の前からいなくなるという夢を見たと語っていたので、間違いないと理解できた。

「なんだ、そんなことか」
「人が真面目に話してるのに、酷くない?」
「ごめんごめん、ナオはそんなに嫌な夢を見る方じゃないよね?」
「うん、そうだけど・・・・・・・」
「大丈夫、僕がついてるから安心して寝ちまえばいいんだ」

ヒロはニッコリ笑いながら励まして言う。そういうところがヒロの優しさ。
それが伝わるのに、時間かからなかった。

「・・・・・・っ、ありがと・・・・・・・」

ポロポロと涙が溢れてきて、思わず号泣してしまった。
ヒロはソッと抱きしめながら笑って、優しく撫でてくれた。

「いつものナオらしくないな。おまえのことが好きだから」
「ヒロ・・・・・・ッ、私・・・・・・ヒロに嫌われるんじゃないかと・・・・・・」
「泣くなよ、僕はナオのこと嫌ってないよ。ナオ、おまえらしくいてくれれば十分だからな」
「ヒロォ、ありがと・・・・・」

ヒロの腕の中で泣き疲れた後、寝入ってしまった。
不安そうに語るナオを見たのも初めてだったし、最初はどうしようかと思っていたのだ。

(ナオ、僕がいるから安心して寝ちゃいなよ)

ナオを見て呆れる。飲みすぎで影響を受けなきゃいい。

「さぁ、寝ようか」

ナオを手繰り寄せたのと同時に睡魔が襲ってきた。
意識がまどろんでくる中、ヒロとナオは深い眠りに落ちた。



The End-----------------------------------------