二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去 ( No.615 )
日時: 2012/11/21 20:37
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)

第31章 再会Ⅰ ハルに忍び寄る魔の手、その正体は?

(ストーリーモード:ハル)

一ノ瀬心愛の営んでいるレストランを後にしたハルと直紀は山野家に向かっていた。

「バンがいるのか気になるけど・・・・・・あいつに会えなかったら嫌だなぁー」
「そんなこと言わないで、お母さんに聞けば良いじゃないか」
「でも、誰かに後をつけられたらどうすんの!?」

直紀に突っ込みながら、顔を顰めて言う。バンのことになると考え込んでしまう。
今もまだ不安を拭うことができないでいるのは確かだし、バンに会った時はなんて言えば良いのか分からない。

「でも、バンはハルに会いたいと思ってるんじゃないの?」
「まさか、それは有り得ないって! 幼馴染がいないから辛いとかそういうのはないよ」
「僕、思うんだけど・・・・・・ハル、もしかして強がってる?」
「———ッ!」

直紀に図星を突かれてしまうとは情けない。それでも強がりを見せているのは間違いない。
幼馴染だから、気になることがいくつかある。バンが学校に通っていないことだけじゃない。
何か調べているのではないかと思うと、どこかで会えるような気がしてならなかった。

「そんなんじゃないよ、直紀!」
「どうして、そう言えるんだ?」
「だって、バンに会えないことが嫌なわけじゃない。でも、話したいことや聞きたいこともあるのに————」

言いかけた瞬間、直紀が無言で抱きしめて慰める。あまり無理しないで欲しいということだろうか。
直紀の気持ちは分かるけれど、今はバンに会って聞くことが先決だ。

「とりあえず、バンの家に行こう!」
「あっ、ああ・・・・・・」

直紀と一緒にバンの自宅へ向かった。



山野家に到着し、インターホンを押した。すると、玄関のドアが開く。
そこに現れたのは、バンの母親・山野真理絵だった。

「あら、ハルちゃんじゃない。それに直紀君も」
「お久しぶりです。バンはいますか?」

直紀がバンについて質問すると、真理絵は顔を顰めながら溜息をついた。
バンのことで悩んでいたのだろうか、その様子を見るとかなり心配しているようだ。

「バンはいないわ。さっき、どこかに出かけたわ」
「行き先は?」
「聞いたけど、『気にしなくていいから』って言って出てったわ」
「あのバカ・・・・・・・何を考えて、どこに行ったのよー」

プウーッと頬を膨らませながら、右手で顔を覆った。
直紀も苦笑しつつ、私の肩に手を置いて言った。

「バンがいないことは確からしいな。どうする?」
「どうするって・・・・・・直紀はバイト?」
「ああ、これからバイトだよ。ハルは?」
「私は・・・・・・・」

この先のことが不安になり、目の前にいる幼馴染の船津直紀とバンの母親・真理絵の2人を見つめた。
バンに会えなかったら、どうしようかと思っていても複雑な気持ちになってしまう。
それが気になってしまい、直紀たちを見て思わず困惑気味に躊躇った。

「どうした、ハル?」
「ハルちゃん、顔色悪いよ」

2人に声をかけられて、いきなり動揺を隠せない。
私は怯えきったまま、直紀を置いていって走り出すようにして去った。

「ちょっ、ハル!?」

直紀の呼びかけにも応じず、夢中になって走りながら逃げていったのだった。





山野家を出てから逃げまくった頃には既に深夜1時になっていた。
私は家に帰る気にもなれず、途方に道を歩きながら溜息をつく。

「直紀たちに申し訳ないことしちゃったな・・・・・・」

バンのお母さんにも謝らなきゃな・・・・・・これからどうしようか。
そう思いながら考え込んでいたその時、背後に何か違和感を感じた。

「--------------ん?」

後ろを振り返ると、誰もいなかった。夜だから、余計に暗く感じるのだろう。
いや、それほどでもないような気がする。そう、まるで誰かが後をつけているような気がしてならない。

(まさか、誰かが後を追っているのか?)

一目散に向かって走り出して逃げ切りながら、ミソラ商店街の裏通りに回り込んだ。

「くっ!」

目の見えない何かが迫ろうとしている・・・・・・・それが気にならないわけにはいかない。
思い切って、声を出しながら叫んだ。

「・・・・・・そこに誰かいるの?」

声を上げながら呟いてみた。すると、返ってこないはずの返事が来た。

「あら、気づいてた? 私のことが気になるかしら?」

どこかで聞いたことのある声・・・・・・そう、まるで冷静に把握しているような感じだ。
冷や汗が伝う中、コツコツと歩いてくる音が向こうから聞こえてくる。

(ヤバい、この感じ・・・・・・何、この違和感)

向かい側からやってきた人物のシルエットを見て、あることに気づく。
居酒屋で行われたLBXバトル大会の決勝戦でバンが戦った女性と酷似している。

「そこまでよ、人見晴香」
「っ、あなたは・・・・・・・カレン・キャベルン!?」

目の前に現れた1人の女性を見て、呆然とする。
LBXバトル大会で行方をくらまし、どこかに潜んでいた可能性がある。
カレンが目の前にいるということは、いったい何か企んでいるのか?

(カレン・キャベルン、何をするつもりなの?)

今までにない違和感を感じつつ、カレンを睨みつけた。
これから、カレンはいったい何をしようとしているのか---------------