二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去 ( No.643 )
- 日時: 2012/11/23 14:06
- 名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)
第33章の続き
(ストーリーモード:バン)
よく考えたら、彼女は夜道を歩いて彷徨うタイプではない。
(もし、そうだとしても・・・・・・・)
彼女がどこにいるかも分からないままでは、探す余裕すらない。
記憶を探りながら、ハルが行きそうな場所を手当たり次第、捜索するしかないのか。
あるいは、行きそうな場所さえなければ商店街の裏通り・・・・・・少なくとも可能性はある。
「とりあえず、片っ端から探すしかないかぁー」
そう言いながら呟いていたその時、CCMの着信音が鳴った。
すかさず、CCMを開くと母親の真理絵からだった。耳に当てて言う。
「もしもし、母さん?」
『バン、こんな時間まで飲んでたの?』
「飲んでたんだから良いだろォー」
『良くない! すぐに帰りなさい』
「これから帰るけど・・・・・・その前にハルを探すよ」
ヒックと呻きながら、商店街に設置されているベンチに座った。
真理絵は訝しげに首を傾げて驚く。ハルがいないことを知ったのだろう。
『ハルちゃんのことだけど、お母さんが訪ねてきて。帰ってこないけど、どうしたのかしらって・・・・・・・』
「ハルのお母さんが訪ねてきた?」
『ええ、手当たり次第に探しまくったらしいんだけど・・・・・・見つからないって言い出すし』
彼女が行きそうな場所は全てダメだということになる。つまり残されている場所は商店街のどこか。
そこを中心にして探すしかないと思いながら考える。まず、ハルはどこかをほっつき歩いていた。
もし、いないとしてもメインストリートではない場所にいるのかもしれない。
「そっか、見つからないなら良いんだ。後は俺に任せて」
『えっ、バン・・・・・・』
「まぁ、ハルは俺が連れて帰るから。良いよな?」
『うん、お願いね』
そう言って、通話を終えた。さて、その後はどうするか・・・・・・商店街を探すあたり、シーンと静まり返っている。
店は全て閉められているし、中に居るわけがない。ということは、裏通りにいる可能性が高い。
「しょうがねえ、あそこには行きたくないけどよォ・・・・・・」
そう言って、缶ビールを煽って飲み干した。空になったのを確認して、袋に入れる。
その時、コツコツと何か歩く音が聞こえてくる。ベンチの後ろに隠れて伺う。
(ん、あいつは・・・・・・)
1人の女性が向こうから歩いてくる。その女性を見て、どこかで見たような気がした。
居酒屋で行われた、LBXバトル大会の決勝戦で戦った人だ。確か、名前はカレン・キャベルンと言ったか。
(なぜ、こんなところにいるんだ?)
そうだとしても、彼女がここら辺を歩いているということはハルの後を追いかけているのか。
いや、それとも裏通りに向かっているのかもしれない。とりあえず、彼女の後を追いかけることにした。
裏通りに入ると、真っ暗闇になっていて闇を誘っているかのような感じだ。
その後を追いかけながら、慎重に歩いていく。この先に何があるか分からない。
気を引き締めて捜索しながら、ハルを探すことにする。
(ここにいるのなら、彼女は1人で佇んでいるのかも)
そういった確信はないが、カレンの後を追いかけつつも慎重に推理した。
まず、25年前の惨劇・・・・・・父親が抹殺された挙句の果てに爆破されてしまった。
犯人を追いかけて殺そうとするつもりでいたのだろう。
(父親が残した1つの手掛かり、確固たる証拠は1つ・・・・・・)
連続爆弾事件との関連も気になるけれど、少しだけ分かってきた。
5年前の行方不明事件もカレンがやった可能性が高まる。つまり、早間綺羅はカレンによって催眠をかけられているということだ。
(早間綺羅、リンの知り合いか何か・・・・・・)
よく分からないが、探すに越したことはない。
今はハルを見つけることが先決だ。そう思いながら、慎重に後を追いかける。
やっとの思いで辿りついたのは、古ぼけているビルの前だった。
(あれは・・・・・・)
見覚えのある女性・・・・・・幼馴染の人見晴香だった。
彼女を見つけたかと思えば、あのカレンがいた。どうやら、ハルの後を追いかけてきたようだ。
(ハル・・・・・・・)
ふと、耳に聞き覚えのある声が入ってきて様子を伺う。
ハルとカレンは対峙しながら、お互いに睨み合っている。
彼女が狙う目的は分からなかったが、ハルの後を追ってきたのだと想像できる。
しかし、目の前に彼女がいるということは何らかの理由があるはず。
「あなたは・・・・・・居酒屋で行われたLBXバトル大会の決勝戦でバンと戦っていた人ですよね?」
「そうよ。私はカレン・キャベルン、お見知りおきを」
カレンが自己紹介しながら、礼儀正しく言う。つまり、ハルに用事があってきたのだろう。
でも、カレンの異名は【殺しのヴィーナス】って言ってたような気がする。
「だったら、私のことを知ってるのはなぜ?」
「山野バンの幼馴染でしょ?」
「なっ、何で分かった?」
こいつ、俺の幼馴染だと知っている・・・・・・カレンはある程度、情報を把握している可能性が高い。
(これはいったい・・・・・・どういうことだ?)
カレンが何をしようとしているのか、想像がつかない。
あまりにも面食らったけど、彼女は何か悪いことをしていたとか聞いた記憶があったのを思い出す。
警視庁で直井さんや由美さんから聞いた話を思い出して考える。
25年前の事件に関係していることが分かるので、ハルも把握していた。
(25年前の惨劇が関係していると言ってたな・・・・・・)
25年前の惨劇というのは、イタリアのミラノで起きた事件。
イタリアのマフィアが組織として動いている場所でカレンの父親が殺されて亡くなった。
その出来事をきっかけに、父親を殺した人物を追っているという話が出ていたらしい。
(殺した犯人が厄介だとか聞いたな・・・・・・)
殺した犯人がちょっと厄介なのは分かるけれど、いったい何が起きたのか。
由美さんの話によると、犯人は爆弾を仕掛けるといったものに関して強いらしい。
つまり、犯人は爆弾を仕掛けることしか考えていないという人物だということが判明した。
「もしかして、カレンは25年前の惨劇で殺された父親の仇を取りたいんでしょ?」
「うるさいわね! 小娘、承知しないわ!!」
カレンは声を荒げて言う。いきなりハルを睨みつけておいてどうするつもりだ。
ハルはファイティングポーズを構えて、相手を睨みつけながら問うた。
「そもそも、私を狙うのはどうして?」
「山野バンの幼馴染だということが気に入らないし、目障りなんだよ」
「目障りねぇ・・・・・・よく言ってくれるじゃん、あんたなんかに命は渡さない!!」
そうだ、油断しない方が良い。カレンに殺されるよりはまだマシだ。
だけど、逃げ道が塞がれてて追い詰められる状況になっている。どうしたらいいのか悩んでいた。
(くっ、どうやって逃げ切ろう)
相手はヴィーナス・・・・・・・厄介な人と出くわしちゃったから逃げ切るにしても無理だ。
どうしようかと思いながら、目の前にいるカレンを睨みつけた。
「山野バンの居場所を教えてもらおうか!」
カレンの目的が何となく分かった。ハルの後を追いかけていたのは、俺の居場所を聞き出すためだった。
実際に知らないって言ったら殺されるかもしれない。このままだとハルが危ない!
とりあえず、死を覚悟するしかなかった。俺が助けに来るとは思ってないのか。
「知らないよ!」
「フン、本当に知らないみたいだね。なら、こうしてやるか」
カレンはポケットからナイフを取り出した。それを見た瞬間、ヤバいと悟った。
しかし、その時はもう既に遅し---------------------------
「これで死ねェェェ--------------------!」
ナイフを持ったまま、カレンがハルに突っ込んで襲い掛かってきた。
同時に俺は缶ビールを放りだして、空中に上げる。それを見計らった上で右足を振り上げて蹴った。
「これでくらえ!」
右手で持っていたナイフを弾いた。カレンはその場に蹲って、顔を顰めていた。
やっとの思いでハルを守りきったというわけだ。