二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去 ( No.683 )
- 日時: 2012/11/25 14:06
- 名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)
第36章 リン&キラの幼馴染・宇津野志穂、登場!(前編)・・・【Detective bar】に隠された秘密とは?
(ストーリーモード:ハル)
夜9時ちょうど、部活を終えた私はあらかじめ呼び出しておいた人と待ち合わせしていた。
「ハルさーん!」
ピョコピョコとアホ毛を動かしながらやってきた青年を見る。
後輩の大空ヒロだった。そう、ヒロを呼び出したのには理由があった。
バンの行き先を掴むために協力してくれそうな人はヒロしかいなかったのだ。
「おっ、ヒロ。待ってたよ」
「いえ、こちらも部活終わったところですよ。僕を呼び出しといて、急にどうしたんですか?」
「うん、今夜はバンの後を追って行ってみなきゃ分からないの」
「バンさんの後を追うって、何かあったんですか?」
「まぁ、御託はいいから行くよ。詳しいことはそこに行けば分かるはずよ」
ヒロを促して、バンの後を追いかけようとしたその時。背後から聞き覚えのある声が聞こえた。
「あれっ、ヒロじゃん。それにハルさんまで何してんの?」
振り返るとヒロの幼馴染・小野奈緒美が突っ立っていた。空手部の後輩なのに、なぜか鋭いところがあって通用しない。
「ナオ・・・・・・」
「2人揃って、どこに行くんですか?」
「いや、その・・・・・・・」
「上手く誤魔化しても無駄ですよ。バンさんの後を追うんでしょ?」
ナオは本当に鋭くて、キッパリと意見を言ってくれる。ヒロもナオの登場には驚いたものの、すぐに頷いていた。
流石に逆らったら、連れて行けるわけではないと思ったので観念した。
「うぅ、そこまで言うなら分かったよ。ナオも協力してくれる?」
「良いですよ。せっかくだから、ヒロも入れて3人で行ってみましょう」
ナオは面白そうなことがあるに違いないと思ったのか、楽しそうに話している。
ヒロは思わず苦笑しつつも、ナオの気持ちが分からないまでもなかった。
「よし、それじゃあ行こうか!」
3人で直紀の家の近くにある例のバーに向かって歩いていった。
1時間後、ミソラ商店街を隔てたメインストリートの近くに直紀の家がある。
ようやく、そこに辿り着いた場所・・・・・・見慣れない風景に釘付けになった。
居酒屋なのか、バーなのかも分からないところだ。そこのドアを見る限り、ヨーロッパ風になっていて押すと開けることができるようになっている。
「ここが例の店みたいね・・・・・・」
「というより、バンさんがここにいるとしか思えませんね」
ヒロはうーんと首を傾げて唸った。ナオも初めて見るところだと思っていたようだ。
確かにヨーロッパ風の店みたいだけど、中はどうなっているんだろう。
ナオがドアに手をかけて開けようとしたその時、どこからか物音が聞こえてきた。
「しっ、誰か来た! 隠れよう」
その隙間に入り、私たちは様子を伺う。そこに現れたのは、見覚えのあるクセ毛の青年だった。
間違いなく、幼馴染の山野バン・・・・・・いったい、そこで何をしているんだと思いながら伺う。
「本当にバンさんだ・・・・・・最近、学校にも来ないで何してんだろ?」
「そこが気になるのよねぇ、あいつの様子がおかしいなんてことは有り得ない」
「そうなんですか・・・・・・・」
ヒロと話しながら、バンの様子を伺う。バンはドアを開けて、店の中に入った。
その様子を見ていたナオが私に向かって話しかける。
「ハルさん、3人で入ってしまった方が良くないですか?」
「そうねぇ・・・・・・・」
「とりあえず、入ってみましょうよ。ヒロも一緒に行こう」
ナオに促され、店の中に入ることにした。中に入ると、目の前に映った光景を見てビックリする。
驚くことに、見覚えのある風景画を見ているかのようでシャーロック・ホームズの世界に入ったようだ。
「いらっしゃい、見慣れない顔だね」
マスターらしき男性がカウンターに座るよう促してくれた。
私たちは素直に頷き、席に着いた。マスターの人が自己紹介する。
「俺は数野修一って言うんだ。ここの店のマスターをやっている」
礼儀正しい青年だと思わせる風格が漂っている。それにつられて、私たちも自己紹介することにした。
「私は人見晴香って言います。私のことはハルって呼んでください」
「僕は大空ヒロです。よろしくお願いします!」
「私は小野奈緒美です。ナオって呼んでくださいね。こちらこそよろしくお願いします」
自己紹介が済んだ時点でさっそく、店について聞きたいことがあったので質問した。
「カズさんに質問します。【Detective bar】っていう名前はどのようにして名づけられたんですか?」
「そうだね。この店は俺がある人に譲り受けたものでね・・・・・・探偵たちが集うかのような店にしたいって言っていた人がいて、店名を【Detective bar】にしたんだ」
数野さんはある人に譲り受けてもらった場所がこの店だと述べる。
つまり、数野さんにとって大切なものを失わせたくないために店の中をリメイクして作ったのだという。
「まぁ、料理や酒を嗜んでくれれば良いだけの話だけどね」
「へぇ・・・・・・じゃあ、この店は数野さんが使っているということになるんですか?」
「ああ、そういうことになるね。俺のところにやってくる人たちはほとんどが大学生だな」
大学生って言えば、ここに来ているのはバンだけじゃないのか。
この店はまさに大学生探偵が集うような感じになっているし、ここで話すのも良いかもしれない。
「うーん、なるほどね・・・・・・」
「ハルちゃんを見た時は志穂ちゃんかと思ったよ」
「えっ、どういうことなんですか? もしかして、私に似たような人がいるってこと?」
「うん、そうだよ。彼女は今、男と話し込んでいるところだ。11時になれば出ると思うから」
男と話し込んでいるって言うか、その相手はバンだとしか思えない。
幼馴染とは言えども、会ってみたいという気持ちがあった。その様子を見かねたヒロが優しく話しかける。
「ハルさん、バンさんじゃなくても良いんじゃないですか?」
「でも、バンに会えるわけじゃないし・・・・・・・」
私とヒロの話を聞いていた数野さんは首を傾げて言う。
「君たち、もしかしてバンの知り合いか?」
「えっ、はい。そうですけど・・・・・・・」
「そうか。バンとはどんな関係なんだい?」
どんな関係って言われても、バンの幼馴染なんだけどね。
ヒロとナオも何を言ったら良いのか分からないという表情を表した。
「私はバンの幼馴染です。小さい頃からずっと仲が良かったし、今もそうですけどね」
「僕はバンさんの後輩です。中1の時から仲良くしてもらってます」
「私もヒロと同じく。でも、高1の時にバンさんと知り合ったから短いかな」
それぞれ言いながら、バンとの関係を述べた。数野さんは納得したようで、向かい側のドアをチラリと見やる。
あそこに何かドアがある・・・・・・もしかして、そこにバンがいるということか。
「あそこにドアがあるだろう?」
「はい。あのドアの向こうはどうなってるんですか?」
「プライベートルームと呼ばれる場所だ。ここでは言えない話や悩みを聞いたりするところなんだ」
「へぇー・・・・・・・階段があるけど、2階に通じてるんですか?」
「うむ。通じているというか、立ち飲みバーだけどね」
「じゃあ、ここは居酒屋みたいなところなんですね」
プライベートルームは客の要望によって作られたという。ここでは言えない話や悩みを共有して話す場所になっている。
「でも、バンはここで何をしてるのかなぁ・・・・・・」
「さぁね。そこは本人に聞いてみれば良いんじゃないの?」
「数野さん、酷いっ! 何で教えてくれないんですか!!」
そう言いながら、数野さんに突っ込みかけようとしていたその時だった。
2階から階段を降りる音が聞こえてきて、そこにやってきた人物を見て驚く。
「あれ、ハル? それにヒロやナオまで・・・・・・」
「バン! あんた、こんなところで何やってんの!?」
顔を赤らめたバンを見て突っ込みながら歩み寄る。隣にいる女性も何が起きたのか困惑していた。
どうやら、バンとつるんでいる女性のようだ。よく見てみたら、私に似ている。
「こっちの台詞だ。おまえら、ここで何してんだぁ?」
「バンのことが心配だからに決まってるでしょ!」
バンに突っ込みながら言う私の様子を見た女性が話しかける。
「あの、バンさんには話を聞いてもらってたんです」
「・・・・・・え?」
女性の言葉を聞いて驚く。ヒロとナオも呆然として、女性を見つめていた。
バンは女性に言いあぐねていたのか、観念する。
「おい、志穂ォ・・・・・・そこまで言わなくてもいいんじゃねぇ?」
「バンさんの知り合いなら、話をした方がいいかなって思いまして・・・・・・」
「おまえ、11時に帰るんじゃねーの?」
「今日は深夜まで付き合いますよ。そこの方たちに話したいこともあるし・・・・・・」
志穂と呼ばれた女性は人懐っこく笑顔を見せながら、私たちを見つめた。
どうやら、バンの知り合いだということが分かった。そこで、私たちはプライベートルームを利用して聞くことになった。