二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去 ( No.688 )
- 日時: 2012/11/25 13:19
- 名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)
第37章 リン&キラの幼馴染・宇津野志穂、登場!(後編)・・・知り合った経緯とは?
(ストーリーモード:ハル)
場所を変え、プライベートルームに移った。中は落ち着いた雰囲気になっていて、割と綺麗だ。
ソファに座り、隣に座っているバンを見た。うなだれていたようで、私たちに居場所を知られたみたいな表情を表している。
「俺が言いたいのは、おまえらがこんなところにいるのかってことだ」
「だから、バンの後を追ってきたって言ってんの! 聞いてる?」
「あぁ、聞いてるよ。ヒロたちまでついてきて、何がしたいんだよ・・・・・・」
「それ言う? 私たちが気遣って話してるんだから、どういうことか聞かせてもらうわ!」
バンは顔を顰めながら、私を見てうなだれる。その様子を見て聞いた女性が私に言った。
「すいませんでした・・・・・・」
「あっ、君は謝らなくてもいいから! 用があるのは、こいつだから」
女性を見て、慌てながら大丈夫だと言い張る。バンは不満そうに私を見た。
その様子を見る限り、何か落ち込んでいるようだった。
「ちょっと、出てくる。志穂はここで待ってろ」
「えっ、ちょっ・・・・・・・」
席を立って、プライベートルームのドアを開けて出て行くバン。
その背中を見送りながら、呆然として突っ立っていた。
「ったく、あのバカ・・・・・・何を考えてるのよ!」
「ハルさん、落ち着いて。この人の話を聞いた方が良いんじゃないですか?」
ヒロが私の怒りを抑えながら気遣って、女性の方に振り向く。
女性は私たちを見て、すぐに自己紹介してくれた。
「私は宇津野志穂と言います。トキオ大学の教育学部に通う大学2年生ですけど、よろしくお願いします」
大学2年生って・・・・・・ヒロとナオの同級生か。
トキオ大学で知り合ったのかどうかは定かではないが、ここで知り合った可能性が高い。
「私は人見晴香。バンの幼馴染だけど、よろしくね! ハルって呼んで」
「僕は大空ヒロ。大学2年だけど、トキオ大学の社会学部に通ってます。よろしく!」
「私は小野奈緒美! ヒロと同じく。学部も一緒だけど、ヒロの幼馴染なんだ。これからもよろしくね!!」
お互いに自己紹介しあった時点で志穂は素直に頷いて、ドアの向こうにいるバンを見て思いながら考え込んだ。
「バンさんに会ったという経緯から話した方が良いでしょうか?」
「そうだね。まずはその話を聞かせてくれるかな?」
「はい。バンさんと出会ったのは----------------」
志穂はポツリポツリと語りながら、少しずつ話し始めた。
バンとの出会いは2週間前の夜、【Detective bar】の2階にある立ち飲みバーでゆっくり飲んでいた時のことだった。
「おい、そこの女。俺と一緒に酒を飲まないか?」
柄の悪い男性を見て、すかさず後ずさりして顰める。気づいた時は階段の前まで迫られていた。
その時、派手に男性の背中を蹴る音が聞こえた。男はずり落ちるようにして、仰向けに伏せて倒れ込んでいる。
「ったく、ゴチャゴチャと騒いでうるせーなぁ」
クセ毛のある青年を見て驚く。イケメンになっていて、容姿もスラリと背が高く、カッコイイくらいに思えたのだ。
「あ、大丈夫? 俺と一緒に下で飲もうぜ」
「は、はい・・・・・・・」
青年と一緒に階段を降りて、プライベートルームに向かった。
プライベートルームを借りて、その青年に自己紹介した。
「私は宇津野志穂と言います」
「俺は山野バン。まぁ、よろしくな」
酒の入ったグラスを持って、ゆっくり飲むバン。
そんな彼を見て、志穂はニッコリ笑った。すると、バンが意外なことを言い出す。
「君を見た時、ハルかと思っちゃったよ」
「知り合いがいるんですか?」
「うん・・・・・・俺の知り合いって言うか、幼馴染だな。っていうか、何でこんなところにいたの?」
「たまに来ることが多いんですよね。その時に飲むこともあります」
「へぇ、そうなんだ・・・・・・今日は俺と話しながら飲もうぜ」
グラスを持ちながら、バンは志穂を見つめた。初めて見た時はハルではないかと思い込んでしまい、人違いだと認識した。
「はい。バンさんはどこの大学に行ってるんですか?」
「俺はトキオ大学だよ。教育学部に通ってる」
「えっ、私もトキオ大学ですよ! 教育学部ですけど、コースは?」
「特別支援教育コース。君は?」
「私は社会科コースですよ。うわー違うなぁ・・・・・・」
「まぁ、そういうこと言うなよ。俺は大学に行ってないからサボリだけどね」
サボってんのか、この人はと思いながら、志穂はチラリと見る。
楽しそうに酒を飲みながら語るバンの姿を見ていて、何か調べこんでいるのかなって思い込んでしまう。
いや、それほどでもないだろうが・・・・・・バンの優しさに惹かれてしまうのも時間の問題だ。
ふと、バンの左手に握られているものを見て驚愕した。見覚えのあるものが握られていたのだ。
「バンさん、そのお守りは?」
「あぁ、これか。俺の妹だよ」
「でも、これは見覚えがありますねぇ・・・・・・」
赤い布巾着を見て、記憶を手繰り寄せる。リンという名前の少女が持っていたのを思い出す。
間違いない、リンのものだと確信した。それでは、リンがいる場所が分かったようなものだ。
「バンさん、そのお守りのことですけど・・・・・・もしかして、あの子のものでしょうか?」
「あの子ォ?」
「はい。リンっていう子なんですけど・・・・・・」
その言葉が放たれたのと同時にバンの目が大きく見開かれる。
リンの知り合いだという女性は宇津野志穂だったのではないか。
「リンのこと知ってんのか?」
「やっぱり知ってたんですね。旧姓は小海だったと思います」
「ああ、そういえば・・・・・・・あいつ、そんなこと言ってたな」
バンは何かを思い出しながら考え込んだ。リンの知り合いが志穂だとして、このお守りはリンの物だと分かる。
しかし、リンの行方は今も分からぬままだ。どこに潜んでいるのかすらも掴めない状態になっていた。
「リンの過去さえ知ってれば良かったかもしれないな」
「バンさん・・・・・・?」
「まぁ、気にすんな。今日は忘れて飲み明かそうか」
その後は楽しく飲みながら、騒ぎつつも話しながら夜を明かしていくのだった。
現在に至り、全てを話し終えた志穂は私たちを見て纏める。
「・・・・・・というわけで知り合いました」
「でも、バンの浮かない表情が気になるわ」
バンの浮かない表情・・・・・・あと、リンの過去も知りたい。
ヒロとナオも興味深そうに聞いていたが、リンの過去を聞かされていなかったというのが現状だ。
「さっき、バンに話をきいてもらってたとか言ってたよね。何の話をしていたの?」
「リンのことですよ。あと、早間綺羅という少年のことも」
山野リンと早間綺羅という少年の関係が気になってきた。
5年前、行方不明になった早間綺羅という少年は生きているのか分からぬままだ。
「そういえば、キョウヘイがキラと対戦したとか・・・・・・」
ヒロが思い出しながら、記憶を手繰り寄せる。立向居から聞いたという。
キョウヘイたちが対戦した時、キラの表情が気がかりになっていたと言っていたそうだ。
「その時は何か虚ろな目つきをしていたらしいとも聞いてました」
「虚ろな目つきねぇ・・・・・・」
キラの表情が急に気になったのか、志穂はうなだれたまま顰める。
「まさか、キラが生きていたとは・・・・・・」
「でも、何かにかかってるみたいだとか言ってたな」
ヒロの言葉を聞いた瞬間、1つの結論に辿り着いた。
もしかして、キラは催眠術にかかってしまっているのではないか。
「ちょっと待った、ヒロ!」
「え、ハルさん?」
「もしかするとアレかもよ」
私はあることを思い出しながら、記憶を手繰り寄せた。
カレンが催眠術師だとして、催眠を使うことのできる人物は1人だけ。
つまり、カレンは何らかの理由で催眠術を会得したと見られる。そうだとすると、キラはそれにかかったということになってしまう。
「催眠術にかかったかもしれない」
「どういうことですか、ハルさん」
「うん、この手を生かさないことには気がすまないのね。だから、カレンが犯人であることも考えられるわ」
そう言いながら、腕を組んだ。その時、ドアを開けて入る音がした。
振り返ると、ウイスキーの瓶を持ちながら立っているバンの姿が目に入った。