二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去 ( No.692 )
日時: 2012/11/25 17:09
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)

第37章の続き

(ストーリーモード:ハル)

ウイスキーを手に持っているバンの姿を見て思わず絶句。
酒浸りになって、あんなに飲んだくれるバンの姿を見るのは久しぶりだ。

「バン、飲み過ぎだよ!」
「うるせぇ、飲まずにいられるかってんだよ」
「飲んでるのはいいけど、どれだけ飲んでるの」
「あー飲み過ぎて、何が悪いんだ。オレは悪くないぞォー」

ウイスキーの瓶を手に持って、ソファーに座り込む。
その様子を見かねたのか、志穂は腕時計を見た。時間は深夜2時ちょうどになっていた。

「あっ、そろそろ帰らないと」
「そっか、長引かせてごめんね。バンがあんなに飲むから」
「大丈夫ですよ。バンさんには優しくしてもらってますから」
「そっか、本当にごめんね。バン、志穂ちゃん帰るってー」

ウイスキーの瓶が空になって転がり込んでいた。その先に映ったのは酔い潰れて眠っているバンの姿。
その様子を見て溜息をつく私たち。酒を飲まなければ良い人なのは分かるが、あれだけ飲んで寝るのも久しぶりに見た。

「はぁ・・・・・・ったく、人の気も知らないで。のん気に寝てやがる」
「まぁまぁ、ハルさん。バンさんは酒が好きみたいですしね。じゃ、バンさんによろしく言っといて下さい」
「うん、分かった。志穂ちゃん、気をつけて帰ってねー!」

そう言いながら、志穂を見送った。後は、酔い潰れて寝ているバンをどうやって起こすか。
べろんべろんに酔っ払って、正体をなくすまでに飲み干すのは良くない。
そんなこと分かっていても、飲み過ぎて寝ちゃうのがバンらしい。

「しょうがないなぁ、バンを起こそうか」
「そうですね。僕も付き添いますから。女の子だと背負うの大変でしょ?」

ヒロが提案してくれたので、2人で送っていくことになった。
気持ち良さそうに伏せて寝ていたバンを起こし、声をかけてみる。

「バン、起きて。私が誰だか分かる?」
「んぅ・・・・・・ハル?」

ぼんやりと目を開け、眠気眼で私を見る。意識はあるみたいだけど、今にも寝てしまいそうだ。
ヒロがバンの右手を引っ張り、肩を貸す。バンは眠そうに唸りながら、目を閉じた。

「とりあえず、こいつを送ってからにしよっか。説教してやらんと気が済まんわ!」
「そうですね。どっちの方にします?」

久しぶりにバンの家に行くことにした。お母さんは出かけているのかもしれないので、健太と直太の2人がいるのだろう。

「じゃあ、バンの家に行こう」
「そうですね。ナオ、おまえは先に帰ってて。バンさんを送っていくから」

ヒロはナオに言いながら、優しく悟る。ナオは素直に言うことを聞いて、先にプライベートルームを出た。
私たちもその後に続いて、【Detective bar】を後にした。




数分後、やっとの思いで山野家に到着した。家の明かりはつけられていなく、寝ているのだろう。
玄関の前に突っ立って、バンのズボンのポケットを手探りする。

「・・・・・・あった!」

家の鍵を取り出し、玄関のドアを開ける。

『ガチャ』

ドアを開け、廊下の電気をつける。ヒロとバンを入れて閉めた。
ヒロはバンを下ろして、床に寝かせた。バンはムニャムニャと寝言を言っている。

「起きないね。とりあえず、2階に連れて行こう」
「はい!」

バンの靴を脱がせた後、ヒロがバンを背負いながらも2階の階段を上る。
私はバンを押しながら、ヒロを励ます。やっとの思いで2階に辿り着いたかと思えば、バンは今にもずり落ちそうだ。

「バンさん、もうすぐ部屋に着くから。起きてください」
「んぁ・・・・・・・」

眠そうに目を開け、周りを見回す。自宅だと分かると眠そうに目を擦りながら、ヒロの手を放して歩く。
フラフラとおぼつかない足取りで歩いているバンの後を追い、部屋に入るのを見届けた。

「大丈夫か、バンのヤツ・・・・・・」
「かなり酔ってますねぇー」

バンが部屋に入ったのを見て、中を覗く。床に伏せたまま、気持ち良さそうに寝てしまっていた。
さっきの行動は寝惚けながら歩いていたということか。バンの前まで歩み寄り、優しく起こす。

「バン、起きてよ。床で寝るなー!」
「ぅうん・・・・・・」

夢の世界に旅立って眠っているのを見て、ヒロが問う。

「とりあえず、ベッドに移動させますか」
「そうね。よっと・・・・・・」

バンを連れて、ベッドの上に寝かせた。ヒロは溜息をつきながら、部屋を出る。
私は玄関でヒロを見送ろうとしたが、何かに掴まれた。

「ん?」

バンの右手が服の裾を掴んでいる。離さないでくれという意図なのかどうか分からない。
ヒロは私を気遣いながら、部屋を出た。

「じゃあ、バンさんによろしく言っといて下さいね」
「ちょ、ヒロォー!」

呆然として座り込んだまま、掴んで離さないバンの方を振り向く。
いつの間にか起きていたのか、眠そうに上半身を起こした。何か様子がおかしいことに気づく。
かなり酔っているようで、どれだけ飲んだのかは知らない。

「どわっ、バン!?」
「ハル、ごめんなぁ・・・・・・」

寝惚けているようではないと分かり、水を持っていった方がいいのかと質問した。

「バン、水飲む?」
「あっ、あぁ・・・・・・」
「じゃあ、持ってくるから待ってて」

部屋を出て、洗面所にあるコップを取り出して水を入れる。
それを入れて戻った後、眠そうなバンに水の入ったコップを差し出す。

「はい、水」
「サンキュ・・・・・・」

ゴクゴク飲んだ後、机にコップを置いた。バンはベッドに倒れ込んで伏せた。
私はベッドの前に体を預けて座りながら、足を跨いだ。

「バン、志穂ちゃんに聞いたわよ」
「ああ・・・・・・オレも聞いてたよ」

今、なんて言った?
ちゃんと聞いてたって・・・・・・どういうこと?

「ちょ、聞いてたって・・・・・・・」
「水をさすようで悪いけど、柄の悪いヤツが絡んでたのは確かだぜ」
「そりゃ、そうだけど・・・大学が一緒なのは分かったけどさ、事件の調査の方はどうなの?」
「んーまあまあかな? オレが調べてたのはリンとキラの関係だけじゃないんだよ」
「ええ、2人の関係が分かったとでも言いたいわけ?」
「ああ、だいたいな。その話は後でいいよなぁー」

あの時と同じだ。1年前の事件でもそんな感じだったのを思い出す。
バンは健太と直太が誘拐されたことを気にしていた。それで、私がわざわざ家まで来て話すのを躊躇ったことは覚えている。

「今回はダメ! 聞かせてくれなきゃ困るよ」
「ハル・・・・・・」
「まぁ、バンが浮気してるわけじゃないって分かってたからさ」
「オレはそこまでするつもりじゃなかったんだけどさぁー」
「うん、酔ってるもんね・・・・・・って」

バンに押し倒されて、目を丸くしつつも見て驚く。
まさか、そこまでするとは思ってなかった。いや、それは有り得ないと思っていたのだが。

「なななっ、何すんのー!?」
「何って、別にしてねえよ。さっさと寝ようぜ」
「えっ・・・・・・何で?」
「オレ、ハルに心配かけちまったからさ。そのお詫びだよ」

そう言って、ゴロンと横たわったかと思えば爆睡している。
穏やかな寝息を立てるバンの腕の中に入り、温かさを感じた。
睡魔が襲ってきて、目を閉じた。意識がまどろんでいく中、深い眠りに落ちた。