二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去 ( No.703 )
日時: 2012/11/25 19:49
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)

第38章 バンの様子に異変を察したハル・・・その真意とは?

(ストーリーモード:ハル)
その2日後、いつものように学校に通った。
放課後は空手部の練習に参加し、夜まで猛練習した。

「ふぅ--------------」

いい汗をかきながら、空手の練習に取り組める。練習というのも、大会が近づいているのである。
ただ、気になるのは幼馴染のバンのことだ。最近、学校に来ないというのが気になって、様子がおかしいことに気づいていた。

(昨日、学校に来たのは良いけど・・・何か様子がおかしい)

リンのことが心配でたまらないのは何となく分かる。
今日は午前中の授業だけ受けて、午後は眠くなるからと言って帰ってしまった。
CCMに連絡しても繋がらない・・・そういえば、お母さんは友達の家に泊まりに行くと言っていたのを思い出す。

【母さん、今夜は友達の家に泊まりに行くから・・・俺は家にいるから、そこで待ってるぜ】

その言い方がどうしても引っかかる。バンの言動からして、何か知られたくないことでもあるのだろうかと推測できた。
だが、こればかりは気を緩めずに取り組んでやった方が良い。でも、リンがどこにいるかも掴めていないのは確かだ。

(リンを探すのには時間がかかるのだろうか。それほどでもないのに、何で苦戦しているのかな?)

授業の時、いつもは隣で居眠りしているはずのバンが珍しく起きていたことを思い出す。
いつもなら寝ているはずなのに、今日に限って起きるとは珍しい。

(うーん、何か理由があるのかな。あれだけ浮かない表情をしていたというのが引っかかるんだよねぇ・・・・・・)

彼なりの理由があったのかもしれないが、あれだけ起きていられたことは何らかの理由があるはずだ。

「ハル、部室に行こう」

チームメイトで親友の月島楓に促され、部室に入る。
同時に胴着を脱ぎ、私服に着替える。その様子を見ていた楓が優しく声をかけた。

「ハル、さっきから何を考え込んでんの?」
「うん・・・バンのこと知ってる?」
「山野君のことね・・・彼がどうかしたの?」

楓は私服に着替えた後、胴着をたたんで答える。

「うん・・・バンのヤツ、おかしいと思わない?」
「おかしいかぁ--------------確かにそうかもね」
「でしょ? バンのことだから、絶対に何かある!!」

そう言いながら意気込んで言う。バンのことだ、絶対に何かありそうだと思ったのだ。。
2日前の夜、バンに質問した時は答えようとしなかった。何か思い詰めているのだろうか・・・それとも違うのか?

「うーん・・・」
「そんなこと考えても仕方ないよ」

楓に促され、思わず苦笑する。確かにそこまで考え込んだら、悩みを吹っ切ることができない。
バンの家に行って、真相を聞きださないといけないからだ。

(とりあえず、部室を出た後に行ってみよう!)

そう思った途端、バンの家に行かなきゃいけない。
着替え終えたのと同時に部室を出る。

「あ、終わったのか?」

聞き覚えのある声がして振り返ると、同級生の立向居勇気がいた。
サッカー部の帰りだったらしく、サッカー部専用のショルダーバッグを背負っている。

「勇気!?」
「何でここに?」

声がハモったのと同時に勇気を見る。彼はポリポリと頭を掻く。

「楓を迎えに行こうかと思ってさ。最近は一緒に帰ってなかったよな?」

楓はうっ・・・と口を噤む。その様子だと何かあったのだろうか。
勇気と楓は幼馴染だから、ケンカするほど仲良くなっている。きっと、そうに違いない。

「何かあったの?」
「ケンカしたわけじゃないんだよ。こいつ、1人で帰りながら歩いていることが多いからさ」

勇気は無言で黙りこくっている楓を見やりながら気遣う。
そういえば、幼馴染だとか言ってたんだっけ・・・その辺はどうなのかと思った。

「本当に仲が良いの?」
「うん、仲は良い方だよ」

勇気は素直に答えながら、思わず苦笑する。
どうりで、楓が黙りこくっている理由が何となく分かったような気がした。

「今日は勇気と一緒に帰ったら?」
「うん・・・そうだね」

楓は頬を赤らめながら、勇気の元に駆け寄る。
素直な性格の勇気に頼りたいという思いを持っているのだろうか。

「一緒に帰ろう!」
「あぁ、良いよ。じゃあな、人見」

そう言って、勇気は手を振りながら立ち去る。
同時に楓も手を振って笑った。

「じゃあね!」
「うん、また明日ね!!」

-----------とは言ったものの、一緒に帰る人がいないのはどうかと思う。
それでも、バンの家に行きたいと思いながら走り出す。




数分後、河川敷を経て・・・バンの自宅に到着した。
家を見る限り、明かりがつけられていないことに気づいた。
部屋の明かりもついていなくて、真っ暗になっているということは寝ているのだろう。

「------------あれ?」

おかしいな・・・いつもなら明かりがついているはずなのに、今日は寝てしまったのだろうか。
いや、彼のことだ・・・酒を飲んで寝ているに違いない。
そう思いながら、ゆっくりと玄関に向かう。

「ドア、開いてるかな?」

試しにドアのノブを回してみる。
すると、少し開いた。開いているということは私のために開けておいてくれたのかもしれないが。

『ガチャ・・・』

ドアが開いてる・・・いつ泥棒が入ってもおかしくない状況だ。
このままでは危ういことになってしまうかもしれない。そう思いながら、フゥーッと息を吸う。

「---------バン、いるの? いるんだったら、返事しなさい!!」

シーンと静まり返る。叫んでも反応がないということは寝ている証拠。
きっと2階の部屋にいるんだろうな・・・そう思いながら、中に入ってお邪魔することにした。

「・・・2階に行ってみようかな」

不安をよそに違和感を感じてしまう。玄関のドアをしっかり閉めた後、電気スイッチを押す。
パッと明かりがついたので、2階に向かう。

(さては、あそこにいるのかな?)

2階に通じる階段を上り、バンの部屋に辿り着く。
どうやら、ドアは開いているようだ。思いっきり、部屋のドアを開けて入る。

「バン、い・・・っ!?」

目の前に現れた光景を見て驚く。バンは椅子に座ったまま、机に突っ伏して寝ている。
机の周りには、空き缶がいくつか転がっていた。

(酒飲んだのか・・・どれだけ気が済めば、飲めるの?)

バンを起こすにしてはかわいそうだと思ったが、やむを得ない。
部屋のドアをそっと閉め、ゆっくりと寝ているバンの机に近づく。
両腕を枕にして、突っ伏しながら爆睡している。

「す--------すか------------」

その口から放たれる酒臭さと寝息を聞いて納得する。
どうりで深酒したかもしれない・・・試しに起こしてみることにした。

「バン、起きて!」

ベットで寝てくれればと思うのだが、その様子だと深酒したらしい。
起こしても反応がないってことは、爆睡してしまっている証拠。

「どれだけ飲めば、気が済むのよ!」

溜息をつき、腰に手を当てる。
その時、机の上にメモ帳らしきものが乗せられているのを見つけた。

「--------ん?」

何だろう、このメモ帳。事件に関することでも書いてあるのかどうかは分からない。
バンが起きるまでにゆっくり読みたいところだが、取り出せそうもない。
問題はどうやって起こすかだけど・・・もう1回、試しに起こすことにした。

「バン、来たよ! いつまで寝てんの、いい加減にして起きてよ!!」
「んぁ〜?」

瞼が重くて開けられないのか、眠そうに身じろいだ。
その後、ゆっくりと目を開ける。眠気眼で私を見て、ゆっくり顔を上げた。

「あ、起きた?」

バンは眠そうに突っ伏したまま、狙いが定まらない目で私を見る。
どうやら寝てしまったということは自覚しているようだ。