二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去 ( No.747 )
日時: 2012/11/26 17:55
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)

第40章が終わった時点ですが、短編を描いちゃいます!
今回はどっちにするか迷ったんですけど、バンハルで行きます!!
それでは、バンハルの短編スタートォ!!

短編6(バンハル)
タイトル:もう1人の兄(ハル視点)

大学3年生の冬、寒さが増してきた頃には冷えていた。その帰りに寄った居酒屋で酒を飲んでいた。

「ハル、寒いからって熱燗飲んで寝る気?」
「楓ェー・・・・・・そんなこと言わずにさ、私の愚痴に付き合ってよ」
「はぁ・・・・・・」

空手部のチームメイトで親友の月島楓を誘って行ったものの、当の自分は泥酔状態に近かった。
酔ってて、愚痴を言いながらも飲んだくれてる私の姿を見ては呆れている。
酒には弱いが、飲むと泥酔しそうになってしまうのが弱点とも言えるだろう。

「あんのバカ兄貴が行かなきゃ済んだかもしれないのにー」
「兄貴って・・・・・・誰のことよ、ハル?」
「ヒック、うちの兄貴ー死んでんだよ、もう・・・・・・」

その過去のことを知らなかった楓はハルを見て驚く。
兄がいたことを知らなかったが、幼馴染の山野バンなら知っているのかもしれない。
楓は携帯を取り出して、アドレス帳を開いて検索する。【山野バン】のところを押してコールした。

「楓、何してんのォ〜?」
「あんたは黙ってなさい。あ、バン? あのね・・・・・・」

楓はどうやら、バンに頼んで迎えに来てもらうようだ。気遣いは嬉しいが、もう少し居たい。
電話を終えた後、楓はバッグに入れて呟いた。

「バンに迎えに来てもらうから」
「楓、余計なことしてェー・・・・・・許さないんだからぁ〜」
「あんたが先に酔い潰れるのが悪いんでしょ!」

楓に突っ込まれながらも、顔を顰める。度の強い酒を注いで飲んだ。
飲んだのと同時に少しずつ、ゆっくりと意識が薄れていった。


翌朝、チュンチュンと雀の鳴く声が聞こえる。カーテンの隙間から太陽の光が差し込まれていた。
気づいたら、見覚えのある青年の腕の中に入っていた・・・・・・幼馴染の山野バンの姿が映る。

「・・・・・・バン?」

あれ、何で寝てたんだっけ?
上半身を起こし、周りを見回した。紛れもなく、私の部屋だった。
隣で寝ているバンは気持ち良さそうに寝息を立てていて、起きる気配がない。

「あれ、何で寝てたんだっけ・・・・・・」

度の強い酒を飲んだ後の記憶が全くない。飲んだところまでは覚えているはずだ。
なのに、記憶をなくすほどに寝てしまったってことは何かしでかしたのか?

「バン起きてよ! 聞きたいことがあるんだけど・・・・・・」
「んー・・・・・・」

肩をユサユサ起こすと、バンは涎を垂らした口の端を微笑むようにしつつもムニャムニャと言いながら寝入ってしまう。
気持ち良さそうに寝ているバンを起こすのはもったいないと思うが、もう少し強く起こす。

「ねえ起きてってば!」
「んぁ〜?」

バンの瞳がゆっくり開かれ、眠気眼で私を見る。既に起きてたのかと思えば、朝8時ちょうど。
時間を確認すると、バンは眠そうに目を擦って起き上がった。

「なんだよ、気持ち良さそうに寝てたのにさぁ・・・・・・」
「寝てたのが悪い! てか、何でいるの?」
「もしかして、覚えてないの?」

バンは眠そうに欠伸しながら、だるそうに私を見て言い放つ。
覚えていないけど、もしかして運んでくれたりしたとか?

「度の強い酒を飲んだところまでは覚えてるけど、その後の記憶が全くない」
「あーやっぱりそうだよな。昨日、月島に言われて迎えに行ったら寝てるんだもん」
「寝てた? 私が?」
「そう、テーブルに突っ伏して爆睡してたぞ。起こしたけど、寝言を呟いた後に寝惚けてさ。その後、また寝ちゃって起こすの大変だったんだぞ」

泥酔した後の失態を聞いて、顔を青ざめる。バンは苦笑しながら、私の頭を優しく撫でた。
細かいことは気にしてないから良いものの、バンに介抱されて帰るなんて・・・・・・そんなことをしたのは久しぶりだった。

「ごめん、迷惑かけちゃって」
「良いんだ。おまえ、ヒョウちゃんだけだったよな?」
「え、何のこと?」
「おまえのCCMに着信が来てたぞ」
「えっ、誰から?」
「さぁ? もう1人の兄貴だって言ってた」

バンにCCMを渡されて、画面を開くと着信履歴が残っている。
その見知らぬ電話番号にかけて、やっとの思いで声を絞り出した。

「もしもし?」
『ハル、久しぶりだな。僕のこと覚えてる?』

氷介に似たようなハスキーボイス、まるでそっくりだと思えない。
その声を聞いて、もう1人の兄を思い浮かべた。人見光一、氷介の双子の弟であり、アメリカに残っている。
懐かしい声を聞いて、テンションが上がった。

「光一兄さん!?」
『あぁ、そうだ。悪戯電話かと思ったろ?』
「ビックリしたぁ〜! 兄さん、久しぶりじゃん。急にどうしたの?」
『僕、日本に引っ越すことにしたよ』
「えっ、光一兄さん・・・・・・・もしかして、私のところへ?」

光一が日本に帰ってくる。久しぶりの再会を待ちわびていた。
バンは光一のこと覚えていないので、アメリカに留学していたことを知らない。
今更、双子だったなんて言えるはずがないと思っていたのだから------------

『ああ、氷介のことはニュースで聞いた。辛い思いさせてごめんな』
「光一兄さんが居てくれれば十分だから、本当に助かるよ」
『そっか、もうすぐ帰るから。帰ったら、飲みにでも行こうか』
「おっ、良いね! ねえ、幼馴染も誘っていい?」
『山野バン君のことか? 僕も彼に会ってみたいと思ってたところだ』
「マジで? 帰ってきたら、私の家に来てー!!」
『うん、必ず行くよ。バン君によろしく言っといてくれ』
「うんっ! じゃあ、またねー!!」

そう言いながら、電話を終えた。眠そうに転寝しながらこけているバンの顔を軽く叩く。
寝惚け眼で私を見て、やっと終わったようだと悟ったようで眠いのを堪えた。

「んぁ・・・・・・終わったのかぁー」
「うん、終わったよ。ごめんね、喋り捲ってて」
「大丈夫だよ。誰からだったの、あの着信?」
「うん、もう1人の兄。ヒョウちゃんの弟ね」
「もう1人の・・・・・・兄? そんなヤツがいたのかぁ?」

バンの目が大きく見開かれ、一気に睡魔が吹っ飛んだ。双子だと知らなかったんだろう。
人見光一は氷介の双子の弟。顔もそっくりで喧嘩するほど仲が良かった。
光一が中1の時に単身渡米でアメリカに渡り、その後はアメリカでの生活に馴染みながら生きてきた。
氷介のことは知っていたので、バンも面識がある。光一とは会った記憶が全くなかった。

「うん、いたよ。バンは覚えてないかもね」
「ふぅん・・・・・・名前はなんて言うんだよ?」
「人見光一。ヒョウちゃんと同じ年だけど、今は24歳くらいかな」
「光一って、もしかしてアルバムに載ってた人?」

アルバムに載せられていた写真を見て思い出したのか、面識はないらしい。
そこで、再会する予定の場所を話し合いながら相談しようかと思っていたのだ。