二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去 ( No.819 )
- 日時: 2012/12/01 09:49
- 名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)
第41章の続き
(ストーリーモード:ハル)
翌朝、チュンチュンと雀の鳴く声が聞こえてくる。カーテンの隙間から太陽の光が差し込まれていた。
もう既に朝が来ているらしく、眠いのを堪えて目を覚ました。
「-----------------ぅん・・・・・・?」
眠そうに上半身を起こし、隣で気持ち良さそうに寝ているバンを見つめる。
こんな幼馴染が隣にいるとはいえ、彼は穏やかな寝息を立てている。
しかも涎を垂らして寝ている・・・昔と比べて変わらないところがあったりするのだ。
「バンもリンのことが心配なんだろうな」
リンがいないことに対して、寂しさを見せていた。なのに、酒浸りの日々を送って寝てばかりいたのだから-------------
飲んだくれて寝ていることの多い幼馴染を見ていると、こっちが不安になってくる。
(それでも、バンは何か調べ続けていたんだね)
昨日、バンは酒を飲んで寝ていたのにも関わらず・・・・・・私を受け入れ、謎解きに協力してほしいということさえあったのだろう。
(バンはきっと後悔しているだろうな、家で飲んでたからなぁー)
そのことで自分を責めていて、さんざん悩んだのだろう。
最近は家に引きこもって、学校に行かなかったのか分からなかった。
そんなバンのことが心配で放っておけなかったし、気分転換に行くついでに話を聞いてやろうと思ったのだ。
(そこで、リンの本当の過去が明かされた。まさか、本当に虐待を受けていたとは思わなかったけど・・・・・・)
何もかも信じられない、あまりにも衝撃的な出来事だったと言えよう。
だが、バンは2人の記憶がすり替えられていたことに納得できない・・・・・・記憶喪失とも近い状態で実の姉のことも覚えていないことに疑問を抱く。
(私も同感だった・・・・・・でも、私の記憶が正しければ----------)
ヒロの幼馴染の小野奈緒美(通称ナオ)は【過去の追憶】事件で記憶喪失になっていた。
しかし、ヒロと一緒にいることで少しずつ記憶を取り戻していった。
幼馴染と一緒にいることで記憶を取り戻すことができたのだ。
(今は完全に記憶が戻っているし、大丈夫だけど・・・・・・)
問題はナオを呼び寄せて、事情を説明するかというところだ。
そのことで悩んでいた・・・・・・私はバンに相談しようと思ったが、起きてからにした方が良いかなと思いながらも寝顔を見つめる。
「す-----------すか--------------」
寝息を立てながら、向こう側へ寝返りを打った。
気持ち良さそうに寝ている様子を見ていると、まるで弟のように見えた。
(バン--------------------)
ふと、バンの髪を弄りたくなってきた。ちょっとした悪戯心が芽生えるので、彼に気づかれないようにしつつも笑う。
ヒラリと髪の中に手を入れて弄ってみる。その時、ピクッと眠そうに顔を顰めて唸る。
「・・・・・・・ぅん・・・・・・」
バンの眠そうな声がしたかと思いきや、ビクッとした。
身じろぎながら、髪をポリポリ掻いていたバンはまた寝息を立て始めた。
「あーハラハラしちゃった・・・・・・」
寝息を立てて寝ているバンを見ると和やかなムードになっちゃいそうで怖い。
まぁ、仕方ないから起こそうと思ったその時-------------------
「うわっ!」
バンがいきなり私の方に向いて、寝返りを打ってきた。
眠そうに目を擦り、私を見つめた眼差しは真剣そのもの。
「おはよ、何やってんだよー」
「おっ、おはよう・・・・・・・」
一瞬、無言で黙りこくってしまう。バンは眠そうな目で見つめた後、欠伸して起きる。
そんな私の頭をゆっくり撫でながら話しかけてくれた。
「さっき、髪を弄り回してたろ?」
「えっ・・・・・・いつから気付いてたの?」
いつの間にか知らない間に気付かれていたとは思っていなかった。
バンは眠そうに上半身を起こし、垂らしてしまった涎を拭いながら言う。
「寝てたときに何か触ってきたような気がしたからさ。こんなときに限って、髪を弄りながら遊ぶの止めてくれねぇ?」
しまった、不意を突かれた・・・・・・バンさん、怖いんだけど!!
でも、優しいから良いんだけど・・・・・・・こういう時のバンは意外にも鋭いのだ。
「ご、ごめん--------------」
そう言って謝ると、バンは私の頭をクシャクシャ弄りながら撫でた。
その様子だと怒ってないらしく、許してくれるのだろう。
「別に良いって---------・・・・・・起きなかった俺も悪いし」
バンはそう言って眠そうに笑った。
そんな彼の眠そうな顔を見るのが好きだったのを思い出す。
幼馴染がいるし、氷介がいなくても寂しくないのだから-------------
(バンはいつも優しいし、私の話を聞いてくれた。兄さんが死んでからは幼馴染として支えてくれるし、大好きだけど----------)
そうやって、大好きな幼馴染のバンとつるんで遊ぶことが多かった。
家にくる度、バンは優しそうな眼差しで温かく迎えてくれた。
何か誘いがあった時は断れないバンのことだから、帰りに私の家に立ち寄ることもある。
「どうしたんだ、ハル?」
バンが眠そうに目を擦りながら、私を見て問いかける。やっぱり、バンは兄貴みたいで優しいから相談しやすかった。
そんな彼が大好きでたまらなかったのか、バンの腕にしがみつく。
「バン・・・・・・っ!」
いきなりしがみつかれたかと思いきや、バンは目を丸くする。
幼馴染だから言いたいこともたくさんある----------・・・・・・なのに、何で悩みを抱える時は1人で身ごもって飲んでることが何度かあった。
「あんたねぇ、酒の飲み過ぎ! いつも私に心配かけてばっかりで---------・・・・・・だから、私を頼りなさい!!」
あんぐりと口を開けていたが、すぐに私の手をとって握り返す。
何か忘れかけていたものがあったのだろうか------------------
「ハル・・・・・・」
「1人で勝手に悩んで飲みながら寝てるって言うのは、どうなの?」
キツく据えてやらないこともない・・・・・・幼馴染が悩んでるのに、相談に乗らなきゃいけないこともある。
直太のことで悩んだ時だってそうだ。居酒屋で酒を飲んで寝ていたし、何かあったことは何となく察していたのだ。
「うん・・・・・・いつも飲んだくれてて、本当にごめん。ハルがいたこと忘れてたから相談できなかった」
「-----------え?」
バンはうなだれたが、すぐに顔を上げて見つめる。
その眼差しが・・・・・・まるで、私を捉えているかのようだった。
「俺が酔い潰れて寝てたときは起こしてくれたよな-------------・・・・・・本当に申し訳ないことしちゃったなって思うくらい、反省してたんだ」
バンの一言を聞いて、何か納得することができない。
幼馴染だからって、別に頼らなくてもいい・・・・・・彼がそう言いたいのは、こういうことではないか。
「でも、酒浸りになるのはやめるよ」
「----------は?」
酒浸りになるの止めるってどういうことだ?
バンは苦笑しつつも、頬をポリポリ掻きながら笑って答えてくれた。
「ついでに言うと、リンたちを助け出すまでは我慢しとこうかなって思って考えてたんだ」
我慢ですか・・・・・・まぁ、バンがそう決めたのなら、私はそれでも構わない。
リンに対するバンの思いを大切にして、謎解きに挑むしかない。
それで立ち直ってくれたら良いと思っていたのだから---------------
「うん、そうだね!」
バンに向かって、明るく笑顔を見せた。
揺るぎない決意を胸に入れ、私たちはトキオ大学に向かうことにした。