二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去 ( No.95 )
日時: 2012/10/12 21:34
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)

第8章の続き

(ストーリーモード:バン)

帰り道、リンと一緒に肩を並べながら歩いていた。

「おい、リン」

リンはビクッと怯えながら、俺を見る。
怒っているとかそういうのじゃないから、そんな目で見なくても良いのにと思いながら溜息をついた。

「夜は危険なの分かってるんだろ?」
「うん・・・・・・」

シュンとうなだれながら、ガクッと肩を落とすリン。
その様子だと反省しているようだが、夜中に出歩いて良いわけじゃない。

「ハルの話を聞く限りじゃあ、望月の妹と一緒に抜け出したみたいだな?」
「うっ・・・・・・」
「それにジンも一緒にいたらしいし、その時に隙を突かれて逃げられたなんてこと言ってさ」

ハルから話を聞いたときは本当なのかと思って疑った。
話を聞く限り、危険なところを探検しに行く可能性も有り得るだろう。
流石にジンもトキオシティに行ったとは想像していなかったらしく、運よく兄の幸介が優と会話していた時の記憶を思い出してくれたこともあって助け出せた。

「ごめん、バン兄さん・・・・・・」
「こんな時間に高校生が歩いていい時間じゃないぞ」

顔を顰めながら、リンの頭を優しく撫でた。
妹が危険なところに行くと言ったら驚くだろうし、流石に俺もビックリした。

「うん・・・・・・」
「まあ、たまには・・・こんなこともあるさ、今回は仕方ないから見逃してやるよ」

リンのことだから、何をしでかすかと思えば探検しに行くだろうと思った。
優の誘いに乗られたのか、リンは探検した気分になっていたのだ。

「兄さん、何で私が廃墟ビルにいるって分かったの?」
「ああ、話すと長いけどな・・・・・・」

歩きながら、リンに向かってポツリポツリと話し始めた。




事の発端は5時間前に遡る。
時間は6時ちょうどになっていた。
俺はトキオシティ駅近くの居酒屋で酒を飲んでいた。
いつもは誰かに誘われて飲むということになっていたが、今日は1人で飲んで帰ることにしようと思って決めていたのだ。

「ここで飲むのも悪くないよな」

カウンター席に佇みながら座る俺は酒をお猪口に注ぎこんだ。
酒の入ったお猪口を眺めながら、リンのことを思い出す。

(リンも少しずつ慣れてきたかな・・・・・・)

妹のリンは大人しいから、俺が酔っ払って帰ってきたときは玄関で出迎えてくれる。
そんな彼女のことが可愛くてたまらなかったのか、まるで妹のような存在だと思っていた。

(リンは健太と直太のことを気遣っていた)

姉としての役割をこなしたいという思いはあるが、健太と直太の会話についていけないこともあるのだろう。
兄としての役割を担いながらサポートすることもできるが、リンと仲良くしてもらっているから大丈夫だ。

(まあ、ここで誰かに会うわけじゃないよな)

この居酒屋は俺の隠れスポットと言っても良いほど、地下に入っている。
居酒屋の雰囲気が好きだからというのもあるが、飲み過ぎはほどほどにしなきゃいけない。

(そのことを分かってて、飲み過ぎるのはどうだかなぁ)

ハルに突っ込まれながら、何とか帰ってこれたという記憶もうっすらとしか残ってない。
俺にとっては、どうでも良いことだった・・・・・・酒浸りになっていようが、呆れられるのも承知で飲みまくっていたからだ。

(まあ、今日はゆっくり飲んで楽しもうかな)

左手でお猪口を持ちながら、口に運ぶ。
そのお猪口に入っている酒を飲んだ。


飲み始めてから4時間が経過した頃には酔い潰れ、テーブルに突っ伏していた。

「す------------すか-----------------」

寝息を立てていたとき、ムニャムニャと呟きながら起きる気になれない。
その時、ズボンのポケットに入っているCCMの着信音が鳴った。

『プルルル・・・・・・』

その音を聞いた瞬間、眠そうに身じろいだ。
重そうな瞼を開けるのがやっとだったが、左手でズボンのポケットに入っているCCMを取り出して開く。

「んぅ・・・・・」

こんな時間に誰だよ・・・・・・そう思いながら、CCMを開くと画面にはハルからの着信が載っていた。
仕方なく、テレビ電話を通すことにした。

『あっ、やっと繋がった! 電話しても出ないからさ、今どこ?』
「なんだよォ・・・・・・酒を飲んで寝てたときに電話すんな」

不満そうに言いながら、顔を顰める。
カウンターに突っ伏したまま、CCMを置く。
ハルは溜息をつきながら、俺に質問して問いかける。

『そ、そんなことよりも! リンちゃんは?』
「リン? あいつなら、家に帰ってるはずじゃないかぁ?」

リンは空手部の練習が終わった後、自宅に戻ってきているはずだ。
こんな時間にハルが電話してきたということは何かあったのか。

『さっき、バンの家に行ったけど・・・・・・リンもいないって!』
「あ? リンがいない・・・・・・?」

酔いの浸った頭で状況を把握しようとするにも、飲み過ぎたのが効いたかもしれない。
リンがいないってことは、絶対に何かあるはずだ。

『うん、どっかに行ったかもしれない・・・っていうか、どこにいるの?』
「トキオシティ駅近くの居酒屋だよ」
『トキオシティ!? あんた、何でそんなところにいんのよ!!』

居酒屋にいることを知って驚くハル。
トキオシティはたまに遊びに行くことが多いから、飲みに行くのが楽しみでたまらなかった。

「良いだろォ・・・・・・別に飲んでもさぁ」
『いやいや、良くない! のんきに飲んでる場合じゃないでしょ!!』

ハルの鋭いツッコミを聞いて、顔を顰める俺。
のんきに飲んだって良いじゃんかよ、少しくらい飲ませてくれても構わない。

「あのな、俺の楽しみをぶち壊す気かぁ?」
『そのつもりはないけど、あんたが泥酔したら困るって!』
「そこまで泥酔してるわけじゃないんだよ、ったく・・・・・・」

泥酔しているわけじゃないのに、そこで突っ込む必要あるか。
ハルのヤツ、何やら慌しそうだけど・・・・・・何かあったことは間違いなく読み取れた。

『とにかく、今から行くよ! トキオシティ駅に向かうから!!』
「え、今から来るって言うのかぁ?」
『当たり前でしょ、そこで会って話さないとダメだからね!』

うわぁ・・・・・・マジかよ、ハルと会うなんて思ってなかった。
まあ、こんなこともあるから仕方がないかもしれないけれど・・・・・・ハルに会って、詳しく話を聞いてみる必要がありそうだ。

「ちぇっ、分かったよ・・・・・・トキオシティ駅前で待ち合わせな?」
『うん、ジンも一緒に来るから!』
「えっ、ジンも一緒に来る?」
『そうだよ、その時に会おう! じゃあね!!』

いきなり通話が切れたかと思いきや、ハルの慌しさに違和感を感じた。
これは何かありそうだな、ハルのヤツはリンのことで話があると言っていたから気になる。

(これは何かありそうだな・・・・・・)

しかもジンと一緒に来るって・・・・・・どういうつもりだか知らないけど、その時に会えば良いだろう。