二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 『イナGO』-アドニス〜永久欠番のリベロ〜 ( No.21 )
日時: 2012/11/16 14:38
名前: 優騎那 (ID: hoeZ6M68)

第九話 『革命の礎』

泣き虫キャプテンは、風格は割とキャプテンだった。
天馬の話に聞いて、どれだけ頼りない奴だろうと思っていたが、実際会ってみると出で立ちは少しばかり威厳があった。

「何の用だ。部外者は立ち入り禁止だぞ」

キャプテン—神童拓人というらしい—に思いっきり睨まれた。
他の選手もおれに注目している。

「まぁ、そうカッカするな。ほら…あの……あれだよ。あ〜、もういいや。忘れた」
「話の内容ぐだぐだ過ぎるぞお前!!」

背の低い色が黒い先輩—倉間典人—に叩かれた。
何話そうとしてた?
あぁ、あれか。

「思い出した!あんたら、サッカーやめた方がいいぜ」

さっきよりも凄みの増した目で見られた。

「何だと!?」
「話は聞いた。栄都と練習試合の時、あんたらが八百長指示に従って負けたって……。
ふざけんな…………!!」
「「「「……!!」」」」

おれは鬼のような冷たい顔でにらみ返した。
先輩方は悪寒を感じたか、表情筋が凍り付いている。

「おれ達だってやりたい?おもいっきり?できるものなら?
悪ぃがおれには、あんたらが勝負をなめてるとしか思えねぇ!!」
「お前に何が分かる!?」

ピンクの髪を耳の下でツインテールにした奴—霧野蘭丸—に胸ぐらを掴まれた。

「お前の顔、見たことあるぞ。和藁尊だな?」
「あぁ、そうだよ」
「"勝利の王子"なんて呼ばれてるお前に何が分かる!!負けたことがないお前に何が分かる!!勝負をなめてるのは、お前の方じゃないのか!!?」
「じゃぁ、勝利の定義って何だよ……」

霧野を突き飛ばして、奴をおれの目から視線をそらせないようにした。

「相手より1点でも多く点取ったらそれでいいのか!?
学校の価値がサッカーなんていう球技で決まっていいのか!?
こんな腐りきったサッカーやってて、あんたら楽しいか!!?
人間ならもっと自由だ!!!
あんたらが一番自分を人間扱いしてねぇんだろうが!!!」

叫びすぎて、喉が痛い。

「おれは……フランスで、サッカーが好きでも…才能に恵まれない選手を、一人だけ知ってる。
そいつは…シュートが全然決まらなくても、血ヘド吐いても、本気でしぶとくサッカーをやってる…………。
だからあんたらみたいに、ただ嘆いて何もしない奴が……大嫌いなんだよ………。
サッカーが好きなら、死にものぐるいでフィフスセクターに反旗翻しやがれ!!
あきらめない奴にしか勝利の快感は得られない!!戦うことを恐れる奴に自由はあり得ない!!
勝負なめんじゃねぇよ!!!!」

怒りをあらわにして、おれは雷門のグラウンドに背を向けた。

言いたいことは言った。
叫べるだけ叫んだ。
後は、剣城って奴を殴るだけだ。

おれが革命を起こす引き金になってやる。